日本共産党

2004年6月15日(火)「しんぶん赤旗」

年金改革――やり直しの国民的討論をおこそう

静岡での演説会 不破議長の訴えから


 静岡市で十三日に開かれた日本共産党演説会で、不破哲三議長がおこなった演説のうち、年金問題にふれた部分(大要)を紹介します。


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演説する不破哲三議長=13日、静岡市、静岡グランシップ

 いま国の政治で、もっとも大きな問題になっているのは、なんといっても年金の問題です。だいたいどのマスコミが調査しても国民の七割から八割が反対。それがはっきりしているなかで、自民党・公明党は、国会で強行採決したのです。私は三十四年国会で仕事をしましたが、それを振り返っても、与党がこれほどの無法を平気でやるのを見たのは初めてであります。絶対に、年金問題をこれで終わりにするわけにはいきません。

 「国会で通ったら仕方がない」という声ももちろんありますが、今朝のテレビで紹介された世論調査でも八割以上の人が「やり直し」を求めていました。これがまさに国民の世論だと思います。

 みなさん、そういう無法なことをやった人びとには、今度の参議院選挙できっぱり審判を下して、年金討議のほんとうのやり直しをさせようではありませんか。(拍手)

 日本共産党は、やり直しの法案「年金改悪廃止法案」を用意しました。いまの改悪法の実施を中止させて、あらためて国民的な討論を大もとからやろうじゃないか、そういう法案です。

 そのやり直しの討論をやるためにも、年金では何が問題なのかということをみんながはっきりみる必要があります。今日は、そのための、いくつかの点をお話ししたいと思います。

ヨーロッパとちがって年金はつらい話題

 私たちが痛感するのは、同じ資本主義国でも、ヨーロッパと日本では、国民のみなさんのあいだで年金が話題になるなり方がたいへん違うことです。

 私どもは「しんぶん赤旗」を出しておりまして、世界中に特派員を送っています。ヨーロッパから帰ってきた赤旗特派員に聞きますと、たとえばフランスです。自分の子どもがいっている幼稚園の先生に会いますと「私はまもなく年金生活に入るんですよ」とにこにこしている。ルノーというフランス最大の自動車工場がありますが、そこに取材にいきますと、年配の労働者が「おれは近く年金なんだ」とこれも楽しそうに話すといいます。つまり、ヨーロッパでは年金生活に入るということは楽しい話題なんですね。

 ところが、日本では、年金が楽しい話題になっているでしょうか。つらい話題にしかなりません。政府の統計をみますと、国民年金だけをもらっている方が約九百万人いますが、そのなかで月六万円以上をもらっている方が22%。六万円でも暮らしが成り立たないのですが、それでも五人に一人です。四万円以下の方が46%、つまり二人に一人です。そういう貧しい年金だからつらい話題になるのは当たり前ということなんです。

 なぜ、日本の年金制度はこんなに貧しくつらいのか。その大もとを考えないと、まともな年金制度にしようじゃないかといっても答えが出てきません。

年金の貧しさの根源は、税金の使い方にある

 ヨーロッパとどこがちがうのかというと、まず、国の税金の使い方がちがうのです。社会保障というのは、国民の生活を支える一番大事なものですから、資本主義の国でも、ヨーロッパでは、ここに一番多くの税金を使います。国や地方が社会保障に回している税金の額を経済の規模におうじて比べますと、日本で使っている税金の額はだいたいドイツ、イギリス、フランスの二分の一から三分の一です。つまり、ヨーロッパ並みに税金を使うとしたら、みなさんが払っている税金の中から今の二倍から三倍のお金を社会保障にまわして当たり前ということになるのです。

 なぜ、日本では、社会保障にまわす税金がそんなに少なくなるのかというと、ヨーロッパとちがって税金の一番の使い道となっているのが社会保障ではなく、ゼネコンが喜ぶ公共事業なんですよ。公共事業に使っている税金を経済の規模の割合で見ますと、日本はフランスの一・五倍、ドイツの三倍、イギリスの四倍にもなります。九〇年代には、日本では、国と地方の税金のうち、公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円と、二対一の割合に決まっていました。このごろは、予算が苦しくなったのと公共事業中心が評判が悪いので、公共事業四十兆円、社会保障二十五兆円と少し変わってきましたが、それでも予算を使う一番が公共事業ということは変わらないのです。こんな国は世界にはほかにないんですね。

 だから、国でも地方でも、自民党・公明党流の考え方で政治をやっているところでは、たとえその事業が赤字になっても公共事業がいいとなる。静岡でも静岡空港を建設するといって大騒ぎだそうですね。採算が絶対に成り立たなくて赤字になることは間違いないとわかっていても、こっちが大事だということで、県民、国民の暮らしを第一にしようという考えがない。そこに、同じ資本主義国でもヨーロッパがたどりついたところと、いまの日本の状況の大違いがあるんですよ。

 ここを直さないと、「改革」といっても国民の暮らしを助ける改革は出てこない。私はそのなによりの証拠が、今度の政府の年金「改革」だと思います。

「改革」というが国民はふんだりけったり

 「改革」というから、いまよりましになるとたいていの人は思います。しかし政府の説明を聞きますと、“国民が年金のために払う掛け金は、これから十四年間、毎年あがります”という話です。その額は総額で毎年七千億円ずつ上がるというのです。最初の年に七千億円増えたら、次の年はそれに七千億円追加して一兆四千億円の負担増になる、その次はまた七千億円追加して二兆一千億円の負担増。こういう調子で十四年間つづくんですね。では、もらう年金の方はどうなるのかというと、これは毎年ずーっと下がっていく。私が悪口をいっているのではない。首相も担当大臣も、“掛け金は上がります、もらえる分は減ります”と責任をもって太鼓判を押しています。

 十四年間上がりつづけるというから十四年間の総額を計算してみますと、なんと国民負担は七十兆七千億円も増えるのです。それで、もらう年金がどんどん減るのですから、まさに国民は、ふんだりけったりです。

 なぜこうなるのか。それは、日本の年金や社会保障の最大の問題点である税金の使い方の逆立ちに目を向けない、そこに手をつけないから、お金のつじつまをあわせようとすると、国民の負担だけが増えることになるのです。

同じ国民負担でも民主党は消費税増税の方式

 では、野党はどうか。いま野党第一党は民主党で、対案を出しています。しかしこの一番の問題点に手をつけないという点では同じなんですね。政府とどこがちがうかというと、自民党の人がこのあいだいっていました。自民党が右のポケットからとろうと思うのを民主党は左のポケットからとろうとしているだけだ、と(笑い声)。自民党は国民から年金の掛け金でとる。民主党は消費税でとる。このちがいだけだというのです。

 実際は、民主党の案はいまの5%の消費税に3%上積みするということです。3%といいますと、年間七兆二千億円の消費税増税ですよ。この増税を三年後に始めるという話ですから、さきほどの計算と同じように、これから十四年先まで計算すると、なんと合計七十九兆二千億円、政府の「改革」以上の規模になります。それを自民党、公明党は右のポケット、つまり社会保障の年金の掛け金からとろうというのだが、民主党は左のポケット、つまり消費税で国民全部から一律にとるという、それがちがうだけです。

 こうなるとだれが喜ぶかといいますと、民主党案が一番いいといっているのは、財界・大企業なんですよ。掛け金だったら厚生年金の分は会社が半分もつでしょ。だから、七十兆円の国民負担といわれるうち、ほぼ三十兆円は企業がもつことになって、一般国民の肩にかかるのは四十兆円だけとなる。ところが消費税だったら、もろに全部が国民にかかってくるわけです。大企業は消費税分をみんな価格に転嫁しちゃいますから、痛くもかゆくもない。ですから、財界には、民主党の消費税増税案の方にしようじゃないかという世論が強いんです。

 このように、どっちに転んでも国民負担が増えるだけというのが、自民、民主の論争なんですね。

貧しい年金を本気で改革しよう――日本共産党の提案

 それにたいして私たち日本共産党は、まったく別の提案をしています。

 改革という以上は、いまの貧しい年金をまず底上げして、すべての国民にとってプラスになる。そういう年金に切りかえようじゃないか。それが、だれでも月五万円の年金が保障される「最低保障年金」という私たちの提案であります。そして、これまでにおさめた掛け金については、それに応じた上積みをちゃんとやる、こういう年金制度です。最低五万円は少ないという意見もありますけれども、やっぱりいまの予算のなかで財源の見通しを立てる必要がありますから、まずここから出発しようという考えで、状況がよくなったらこれをもっと改善してゆく道が開かれます。

 もらう年金の額を引き上げる提案なら国民の負担がよほど大きくなるだろうと心配されるかもしれませんが、さきほどいいましたように、私たちは日本の経済の一番の問題である、税金の使い方の逆立ちぶりをあらためようじゃないかという立場です。これは別に無理をやろうといっているわけではない。同じ資本主義国で、フランスでもドイツでもイギリスでもすでに実行されていること、税金の使い方の第一は、国民の暮らしを支える社会保障への支出に回す。こういう方向に流れを切りかえれば、いまのような思いきった改革が、国民の新たな負担なしにできる、このことを私どもは提案しているわけです。(拍手)

 みなさん、本当に安心できるまともな年金制度をつくるために、社会保障と日本経済の本当の弱点がどこにあるかを見定めて、これを本気で立て直す国民的討論を今度こそやろうじゃありませんか。(拍手)

 もちろん、年金というのは長い命をもった制度ですから、新しい財源が必要になることは当然出てきます。そのときにも私たちは、「応能負担」――能力に応じた負担、大企業や高額所得の方など、より大きな負担ができるところにはそれに応じた負担をしてもらう、こういうしくみで対応しようではないか。実は、この面でも日本の財界・大企業は、ヨーロッパに比べてうーんと軽くなっているんですね。そのことを頭に入れた負担のかけ方が適当だと考えて、この提案をしているわけです。

 そういう議論を国会でやっている最中に、大きな問題が二つ出てきました。

国会議員の未納問題――各党の姿が見えてきた

 一つは、みなさんがよくご存じの国会議員の掛け金未納問題です。この問題が起きたとき、国民のみなさんから、国会議員の実態はどうなっているか知りたいと、たくさんの声があげられました。

 私たちは、国の年金制度を決める立場にある国会議員の責任をきっちり考えて、問題は、その国会議員が、加入義務があるのに(一九八六年以後)未加入だったり未納だったりしたところにあると、問題の基準を明らかにし、国会議員全員の調査をおこなったうえで、各党に先がけて、五月六日、その結果を発表しました。残念ながら、二十九人の国会議員のなかで一人未納の方がいました。そのことも率直に発表しておわびをし、その方が国会で占めている役職を辞任する、そういうけじめもつけました。

 なかには調査や発表を渋る政党もいましたが、私たちが発表したあと一週間ほどのあいだに、自民党を除いて、すべての党が発表しました。その発表の仕方を見ますと、私たちが考えた基準を全部の党が採用して“右にならえ”していましたから、日本共産党がとった調査の方法が公正だったということも明らかになりました。

 しかし、そのなかでも、この問題にたいする与党の扱いは、ちょっと悪さが際立っていました。

 まず、発表はしたものの、国会で改悪案を通したうえで発表するやり方が繰り返されました。

 福田官房長官の未納問題があったでしょう。あの人は、自分が未納だということを早くから知っていたのに、いまそれをいったら衆議院の委員会の討議にひびくというので、委員会での強行採決を終えるまで隠していたのです。それで強行採決がすんだあとで、「実は私も未納でした」との記者会見でした。こういうのを党利党略、手練手管というのでしょう。そして、それをそのまま受け継いだのが公明党でした。

 公明党は途中までは、“私らは何も関係ありませんよ、公明正大ですよ”という顔をしていた。ところが、改悪案を衆議院の本会議を通過させた翌日、「実は」といって、代表の神崎さんと幹事長の冬柴さんと政調会長の北側さんが三人そろって“三つぞろい”で頭を下げました。この人たちの多くはついこの間まで「私は払っていましたよ」といっていたのです。記者会見で「未納がいつわかったか」と聞かれたら、「昨日わかりました」と、これも口をそろえての答弁でした。

 ですから、ある評論家がテレビで「一番ずるがしこい政党が公明党だということがわかった」といっておりましたが、こういう時には、政党の姿が現れるんですね。

 しかも、いまだに全員調査も発表もしないと頑張っている政党があります。これは自民党です。まだ四十人近い方が自分のことを発表していません。小泉さんは「自民党は自由な政党だから個人にまかせる」と弁明していますが、その自民党を束ねている幹事長の安倍さんもいまだに発表していないのですから、これは「自由」という言葉を悪用する典型でしょう。

 今度の未納問題というのは、そういう形で、国民の年金制度を決める場にいる国会議員が、国民にたいして責任をどう負うか、そのことが各党それぞれなりに試される場になったということを、みなさんにご報告したいのです。

「一〇〇年安心」宣伝の真相が明るみに出てきた

 二番目の事件ですが、私は先ほど、政府の年金「改革」は掛け金はどんどん増えてゆく、もらう年金はどんどん減ってゆく、国民にとっていいことは何もないといいましたが、それを自民党、公明党は「一〇〇年安心」の年金制度といって大宣伝してきました。去年の総選挙のときなど、公明党の「一〇〇年安心」のビラが日本中でまかれました。

 では、何が「一〇〇年安心」なのか。安心できることは何もないじゃないか、とだれでも思うのですが、自民党、公明党の言い分はこういう説明でした。

 「掛け金はどんどん上がってゆくが、そこまでいったらこれ以上、上がらないという『上限』がある」、「もらう年金はどんどん減ってゆくが、これ以上は下げないという『下限』が決まっている」。だからそこまでいったらあとは「安心できる」、これが「一〇〇年安心」の中身だったのです。(笑い声)

 いま笑われた方がいます。実際そんなことで「安心」といわれても国民は困るのですが、その「安心」が大うそだったのです。

 衆議院を通過して法案が参議院にまわってから、日本共産党の政策委員長の小池さんが国会の本会議で質問したのです。「あなた方は『上限』があるといっていたが、ちょっと条件を変えたら、掛け金はもっともっと上がってゆく仕組みじゃないか」と数字を挙げて示したら、厚生労働相の坂口さんは「その通りでございます」と答弁。みんなびっくりしたわけですね。「もらう年金は下がってゆくが、『下限』がある、現役世代の50%は確保するといっていた。しかし、条件がこうなったら、45%、40%と下がってゆくじゃないか」という質問にも「その通りでございます」との答弁。さすがに議場がどよめきました。「一〇〇年安心」の二枚看板が全部インチキだったんですよ。

 つづいて厚生労働委員会になって、小池さんが、今度、「政府は衆議院のときにはそんなことは一言も言わなかった。なぜ隠していたんだ」と追及したら、小泉さんは「たしか坂口さんが一度くらい答弁したはずですよ」。しかし、いくら調べてもそんな答弁はみつかりません。つまり、衆議院ではそのことをひた隠しにして、だれも気がつかなかったら最後まで隠し通しちゃおう。そういう大うそだったんですね。

 それがわかって大問題になりました。テレビでも批判がおきました。いよいよ本格的に追及する段階になったら、いきなり討論の打ち切りで強行採決です。どこで打ち切られたかというと、政府が一番怖い小池さんの質問の直前で打ち切っちゃったんです。

 みなさん。そういう無法が国民のみなさんがみている前でやられたのですから、世論全体が「なんだあの法律は」ということになっているんですね。

 そんな無法なことを平気でやるいまの政府・与党―自民党、公明党を許すわけにはいかない。この怒りを国民がぶつける場所はまさに選挙であり、選挙での審判なんです。この審判があって初めて、国会で改悪年金法の実施を中止させて、年金の討論を国民的な規模でやり直そうという私どもの提案も、新しい国会で力を発揮できます。みなさん、そういう審判をどうか下していただきたい、このことを心からお願いする次第であります。(拍手)

日本には経済のまともなルールがない

 私はさきほど、年金の問題に関係して、税金の使い方をヨーロッパ並みに変えてゆこうといいましたが、実はここに日本経済の改革の、一番の問題があるんですね。

 私たちは、共産党だからといって、いますぐ資本主義をやめようという、一足飛びの考えをもってはいません。いまの日本の経済は、資本主義国のなかでもあまりにも大企業・財界中心にゆがみすぎている。そのゆがみを、せめてヨーロッパが到達しているところまで直そうじゃないかというのが、私たちの日本経済改革の大方針なんです。

 このゆがみには、まず、いまみたような税金の使い方のゆがみ、ゼネコンや大企業中心という逆立ちぶりがあります。

 軍事費の問題でも、日本は憲法第九条で戦力をもたないはずの国なんだが、軍事費の大きさは、アメリカに次ぐ第二位をイギリスと争うところまでふえています。

 この税金の使い方を、まともにあらためようじゃないか。これが改革の大方針の一つです。

 もう一つは、日本という国は、国民の暮らしと権利をまもるルールが、ないか、あってもあまりにも弱いのです。これがヨーロッパとの大違いです。

 たとえば、いま、ヨーロッパの経済も不況で、リストラもあります。しかし、ヨーロッパと日本で何が違うかというと、ヨーロッパでは、リストラのときにも、企業がまもるべきルールがあるのです。ヨーロッパでは、企業が労働者を解雇するとき、こういう点をまもらなきゃいけないというルールが法律で決まっています。どこでも解雇規制法や解雇制限法があります。だから、会社が勝手な首切りはできないのです。日本にはそのルールがない。

 それから、解雇されて失業した場合の、社会の対応も違います。日本では失業保険が、定年で五カ月、リストラだったら十一カ月です。ところが失業保険がドイツでは三十二カ月、フランスは四十二カ月。つまり二年、三年は自分にあった仕事をさがしながら、また経済情勢が変わるのを待ちながら、用意できるだけの仕掛けがあるわけですが、日本にはそれがない。

 それから、業者の方、農家の方は、税金の時期になると、いろんなトラブルに見舞われるでしょう。抜き打ちで税務署に調査されて、めちゃをやられたとか、確定申告を出しても、認めてくれないとか。そして、トラブルになると、だいたい日本では、結果はたいてい納税者に不利になるんです。

 なぜ、そんなことになるのか。国や地方の運営は、国民の税金でやるのですから、納税者こそ主人公なんですよ。ところが日本では、税金を取り立てる側の法律はあっても、納税者の権利をまもる法律はないのです。

 この法律を「納税者憲章」といいますが、いま、資本主義では「納税者憲章」をもつのが当たり前なんですね。サミットといって、おもな資本主義国が八カ国集まる会議があるでしょう。八カ国のうち、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、こういう国は、みんな「納税者憲章」という納税者の権利をまもる法律をちゃんともっています。税務署に行くと、その権利が大きく書きだされているところも多い。しかし、日本にはそれがない。サミットの国でこれをもってないのは、日本と最近資本主義の仲間入りをしたロシアだけです。

 いくつかの例をあげましたが、ほんとうに日本は、資本主義国の中でも、国民の暮らしと権利をまもるルールがないか、弱い国なんですよ。

国民の力で本当の改革に道を開こう

 税金の使い方を変える、ルールを確立する、せめて、ヨーロッパ並みのところまで経済の流れを変えてゆく。これをやればみなさん。年金の問題だろうが、介護の問題だろうが、いま日本の国民がぶつかっている大きな問題を、道理のある、納得できる立場で解決する改革に道が開けます。それをやろうというのが、日本共産党の経済改革の大方針――「日本改革」と呼んでいる方針であります。(拍手)

 そんなことをやったら、企業がこまるんじゃないかと、心配されるむきもあるかと思いますが、みなさん、いまは「世界化」の時代、「グローバル化」の時代でしょう。日本の大企業もどんどんヨーロッパにいって、もうけ仕事をやっています。そういうときには、ドイツやフランスのルールをきちんとまもって、払うものは払い、働くものの権利をまもる。そういうことをちゃんとやって、もうけをあげているのが、日本の企業じゃありませんか。なぜ、おひざ元の日本でだけ、それができないのか。政治がそういう横暴勝手を放任しているからじゃないでしょうか。

 国民みんなの力で、そういう改革に道を開きたい。これが私のお願いであります。(拍手)


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