日本共産党

2004年6月15日(火)「しんぶん赤旗」

母子家庭

「生活苦しい」が80%も

収入は一般世帯の40%

西山とき子参院議員が「母子家庭白書」を読む


 生活が苦しいと感じている母子家庭が八割――。厚生労働省がこのほどまとめた初の「母子家庭白書」(母子家庭の母の就業の支援に関する施策の実施の状況報告)で浮き彫りになりました。母子家庭の経済的困難の解決をめざして、国会で何度も質問してきた日本共産党の西山とき子参議院議員(党国会議員団男女平等推進委員会事務局長)が同白書を読みました。


児童扶養手当の拡充こそ

経済的困難解決へ就労支援も

「母子家庭白書」

写真
西山とき子参院議員

 母子家庭となった理由は離婚が最も多く68%、次いで死別19%、未婚時の出産7%と続きます。離婚数の増加などにともない母子家庭数も増えています。母子家庭に支給される児童扶養手当の受給者は、二〇〇〇年度末の七十万八千三百九十五人から、〇四年一月末現在には八十九万七百七十九人に増加しています。

 母子家庭の年間平均所得は二百四十三万五千円で、一般世帯(六百二万円)の40%です。高齢世帯の平均三百四万六千円より低い水準です。(図1

 母子家庭の母の85%が就業しています。そのうち常用雇用者は51%だけで、臨時・パートは38%です。完全失業率は8・9%で、一般世帯の5・3%に比べ3・6ポイントも高く、深刻です。

 現在の暮らしについて、「大変苦しい」41%と「やや苦しい」41%を合わせると、82%が「苦しい」と回答しています。(図2

パートかけもちして生活支える

グラフ
グラフ

 母子家庭の八割以上が生活の苦しさを訴えていることに心が痛みます。私も、中学入学の直前に父が病死、母子家庭で育ちました。「とき子、お母さんと一緒に死のう」と泣いた、その夜の母の言葉は忘れられません。高校も大学も奨学金をもらって学びました。ひとりで子育てするお母さんは、時には「死んでしまいたい」と思うほど、経済的にも精神的にも心細いものです。

 ところが政府は、母子家庭の母親は児童扶養手当があるから働かないんだ、だから手当を削って自立させるために就労支援をするんだといって、児童扶養手当を大幅に削減しました。とんでもないですよね。

 働きたくても、子どもがいるとなかなか仕事がないのが実態です。以前、二十四時間の保育所を夜十時ごろ視察しました。子どもを預けている人の三分の一は母子家庭でした。夜間も働き、パートを二つも三つもして、やっと生活を支えているんですね。

生活設計狂わせ児童の夢を奪う

 白書をみると、85%のお母さんが働いているけれど、常用雇用は半分だけです。完全失業率は一般家庭より3・6ポイントも高くなっています。白書で政府は就労支援をしていると強調していますが、まだまだです。

 それなのに児童扶養手当は削減されており、苦しさが増しています。

 もともと児童扶養手当は、収入が低い母子家庭の子どもたちが、健やかに育つようにと一九六一年にできた制度です。子どもが高校を卒業するまで母親や養育者に支払われます。夫の暴力に悩んでいた女性から、離婚の決意ができたのもこの手当があったからだと聞いたこともあります。

 ところが小泉首相が厚生大臣だった一九九八年、児童扶養手当の支給対象の上限を年収四百七万円から三百万円へと大幅に引き下げました。これで七万四千人が支給停止になってしまったんです。当時、私は「母子家庭の生活設計を狂わせ、児童の夢を奪う」と国会で反対しました。

 〇二年八月からは、政令で所得制限を年収三百六十五万円に引き上げる一方、百三十万円以上の人は年収が一万円増えるごとに支給額を二千円減らしました。三十三万人が減額され月二―四万円の手当が月一―二万円も減る家庭も生まれました。

改悪の撤回迫り何度も国会質問

 さらに〇三年四月からは、受給開始から五年たったら支給額を最大で半減できることになりました。ひどいですよね。この改悪法案に、自民党と公明党、保守党ばかりか民主党も賛成したんですよ。

 私は国会で何度も質問に立ち撤回を迫りました。〇二年三月十二日の参院予算委員会の私の質問で、政府は初めて、〇二年八月からの改悪で年間三百六十億円も手当削減になると認めました。母子家庭にとっては激痛ですよ。そのうえ五年たったら半減なんて、子育て支援を考えたら説明がつきません。

 〇二年の改悪にともなって厚生労働省は、養育費申告書の提出を求めました。コメや野菜の差し入れまで細かく収支を記入する欄があり「プライバシーの侵害だ」と抗議の声があがりました。党の国会議員団男女平等推進委員会も厚労省に申し入れ、該当欄を削除させることができました。

 ひきつづき児童扶養手当の削減計画の中止と、手当の拡充を求めていきたいと思います。政府の生活保護「母子加算」廃止計画に反対し、就労支援の充実をめざします。


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