日本共産党

2004年6月4日(金)「しんぶん赤旗」

騒然議場にらみつけ

傍聴者ら「絶対廃案に」

年金改悪法案の強行採決


 「こんな国会でいいのか」「野党に質問の機会も与えないなんて、あまりにひどい」――。三日、自民・公明が参院厚生労働委員会で、年金改悪法案を強行採決。傍聴や抗議で国会にきた人たち百五十人が参院議員面会所で怒りの声をあげました。


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参院厚生労働委で与党の強行採決を目の当たりにする傍聴者=3日午後、参院第43委員会室

 公明党議員の質問が終わる直前の質疑打ち切りの動議に、参院議員面会所に詰めかけ、モニターに見入っていた人たちは総立ち。騒然とする議場のモニターをにらみつけながら、「なんだ」「許さん」の声が重なります。

 「びっくりした。こんなので日本の社会保障が決められるの…」と憤るのは、岡山市からかけつけた岡山協立病院のソーシャルワーカーの女性(23)。「相談に乗っているお年寄りは、七万円の年金で暮らしているのに。その苦しみがわからない」といいます。もう一人のソーシャルワーカーの女性(22)は「この患者さんにはケアハウスがいいと思っても、十万円の年金だとすすめられない。まだまだ質疑も残っているのにめちゃくちゃ」と。

 委員会を傍聴していた人たちも、続々と詰めかけました。群馬・前橋市内の薬局で働いている内山晋二さん(36)は、「窓口で『年金が出るまで待ってくれ』と頼む患者さんが何人もいます。採決強行の瞬間にその人たちの顔が浮かんで、涙が出てきて…」と、言葉を詰まらせます。傍聴席からは、「こんな国会でいいのか」「これでは、税金も保険料も払う気になれない」と声があがっていました。

 「議場が騒然となっても、小泉首相や坂口大臣は知らんぷり。国を治めている人として、なんか違うんじゃない? と思って、怖くなりました」というのは、東京都内で歯科衛生士をしている女性(21)です。「若い人たちは『年金はもらえるかわからない。貯金したほうがまし』って思ってる。その不安にこたえてくれる法案じゃなかった。絶対廃案にしなくっちゃという気持ちが強くなりました」と語りました。

 抗議の行動では、全国保険医団体連合会の室生昇会長(中央社保協代表委員)、全労連の熊谷金道議長もあいさつ。参加者から「がんばろう」「負けないぞー」の声援が飛びました。

自民議員の手に質疑打ち切り動議の紙

 三日午後三時七分。小泉純一郎首相の答弁が終わり、国井正幸委員長(自民)が公明党議員を指名しました。しかし、当人は質問に立たず、委員長は直後に「伊達忠一君」と自民党議員を指名しました。質疑打ち切り動議の紙を握っています。

 このあと、日本共産党、社民党、無所属議員の質問時間が約一時間半も残っていました。「やめろ」「認められない」―質疑権を強引に打ち切る委員長に野党議員が抗議し、委員長席に詰め寄りますが、委員会に所属しない与党議員が“応援”に駆けつけ、もみあい状態に。ほとんどマイクの音声が入らないまま、与党議員が挙手を繰り返し、「採決」が強行されました。この間、小泉純一郎首相と坂口力厚労相は無言で様子を眺めるだけでした。


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