日本共産党

2004年5月25日(火)「しんぶん赤旗」

炭鉱労働者がハンスト

シベリア・ハカシア共和国

賃金遅配・未払いに怒り


 数カ月分の未払い賃金の即時支給を求めシベリア・ハカシア共和国の炭鉱労働者が労組を結成し、百七十人以上が抗議の断食を行っています。うち四十九人が女性。会社側との交渉は長引いており、数人が病院に運ばれました。かつてない規模のハンストに国会も近く、炭鉱関係者を呼び問題を審議する予定です。(モスクワ=田川実)


地図

 ハンストを続けているのは石炭採掘会社「エニセイスカヤ」の労働者たち。十七日からコンビナート前にある本社ビルのホールにソファーや簡易ベッドを運び込み、体を横たえたり、座り込んでいます。

 ロシア石炭産業労組によると、昨年十月から始まった給与の未払い・遅配は、一人当たり平均で約二十万ルーブル(約八十万円)。スト参加者の一人アレクセイ・ペトロビッチさん(42)は、本紙の電話に「支援のミネラルウオーター、ジュースも届いた。給料を受け取るまでやる」と大きな声で話しました。

 同社採掘の石炭は、火力の強い燃料コークスをつくるのに用いられます。建設、製鉄業が好調なロシアでは、ここ数年石炭の高値が続き、会社側は新たな炭鉱建設にも着手していました。しかし、賃金は遅配が常態化。ハンストは、生活の苦しさと怒りが頂点に達していた労働者たちの捨て身の反撃です。

 「エニセイスカヤ」はもともと国営企業でしたが、四年前に倒産。その後所有者が三回代わりました。民営化と経営者の交代で労働者の解雇と新たな雇い入れが繰り返される中、四年前まであった労組は消滅に追いこまれていました。

 労働者たちは四月にも十日間のハンストを行っています。しかし会社側が払ったのは一カ月分だけ、それもスト参加の五十八人にのみ。

 「ばかにするな!」。労働者たちの憤りが五月一日(メーデー)の労組結成と、大規模な二回目のハンストに発展しました。組合員は二十一日現在で四百十人の社員中二百五十人、さらに増えています。

 ロシアの法律では二カ月以上の給与未払いは犯罪行為。ハンストは注目を集め、共和国政府、検察もようやく対応に動きだしました。

 「モスクワにいる会社の大株主が、おれたちの稼いだ金を握ってるんだ」。先のペトロビッチさんは言いました。

 二十五、二十六日に国会で予定されている公聴会には労組の代表も参加し、実情を訴えます。

カット

ハカシア共和国 シベリア中央のエニセイ川西岸に位置し、人口約五十八万人、面積六万一千平方キロ。ロシア人が約八割ですが、ハカシア人も一割を占めます。石炭のほか、アルミニウム、モリブデン、鉄鉱石などを利用した工業が産業の中心。 



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