日本共産党

2004年5月21日(金)「しんぶん赤旗」

音楽CD問題で林紀子参院議員に聞く

著作権法改正で「還流」を防止


 現在、国会で審議中の著作権法改正案は音楽CDに還流防止措置をとるとされています。参議院で質問した日本共産党の林紀子議員に聞きました。


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 ――還流防止措置とはなんですか。

  日本音楽を海外に普及するため、国内と同じCDが海外でも製作されています。アジア諸国は物価が安いことなどもあり、現地製作されるCDは、たとえば中国では五百円程度と、約二千五百円の国内盤とは大きな価格差があります。海外製作の安いCDが現地で販売されるだけなら問題はありませんが、日本に逆輸入されるようになりました。これが還流です。

 還流CDは増えることが予想されています。安いライセンス料のCDが自由に日本国内で売られれば、音楽家は安いライセンス料しか手に入りません。それでは、音楽文化の発展を阻害することになります。還流は、現在の著作権法では違反にならないので、防止する措置をとることになったのです。

 これは、音楽家や、実演家の集まりである日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会などが要望したもので、私たちも直接要望を受け、検討してきました。参議院で四月二十日に審議し、全会派賛成で可決しました。今後、衆議院で審議されます。

洋盤は「対象外」

 ――欧米からの洋盤CDの輸入が規制されるという心配の声もあるようですが。

  今回の改正は、欧米からの洋盤CDの輸入を規制するものではありません。そんなことは、消費者はもちろん、日本の音楽家、音楽業界も望んでおらず、法改正の趣旨からもあってはならないことです。

 また、欧米からも望まれてはいません。全米レコード協会が輸入規制を求めたとされていますが、その内容は経済力の弱い国から安いCDが日本に輸入されることを防ぐことで、アメリカから日本への洋盤CDの輸入を禁止することを求めているものではありません。

 国会審議では法案が欧米からの洋盤CDを規制するものでないことを、法案にそって質問し、政府から洋盤CDは「今回の措置の対象とはならない」ことを確認しました。

条件を限ったもの

 ――法案では還流防止措置に条件をつけていると聞きましたが。

  それは、日本で同一CDが販売されていることを前提に、(1)「日本販売禁止」という表示があるなど、日本国内での販売禁止と知っていて、(2)不当に利益を侵害する場合に限っていることです。

 不当に利益を侵害するというのは、アジア諸国と日本のあいだのように、著しくライセンス料の格差がある場合をさしています。たとえば、アメリカで製作したアメリカのバンドのCDが日本に輸入され、日本でつくられた彼らの同じCDと競合したとしても、アジア諸国とのあいだであるようなライセンス料の格差はありませんから、不当に利益を侵害するとはいえません。

 そのうえでなお、参議院の審議では、洋盤CDに適用されないよう、日本共産党も提案に加わった付帯決議があげられました。

 音楽家や音楽団体がおかれた状態は、たいへん厳しいものがあります。ひきつづき国民が自由に文化を楽しめるよう、政府に条件整備を迫っていきたいと思います。


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