日本共産党

2004年5月21日(金)「しんぶん赤旗」

有事関連法案に対する

塩川議員の反対討論

衆院本会議


 日本共産党の塩川鉄也議員が二十日の衆院本会議で行った、有事関連法案に対する反対討論(大要)は次の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、有事関連法案に反対の討論をおこないます。

 今回、政府が提案した米軍支援法など有事関連七法案とACSA協定(日米物品役務提供協定)は、昨年成立した「武力攻撃事態法」の枠組みにそって、日本が米軍の戦争を支援し共同して軍事行動を遂行する体制をつくりあげるものであります。憲法九条の平和原則を真っ向から踏み破って、日本をアメリカといっしょに「戦争のできる国」にするものであり、断固反対であります。

 いま世界の平和をめぐる最大の問題として、イラク戦争への態度が国際社会に問われています。国連憲章を踏みにじり、国際社会の圧倒的な声を無視してイラク戦争を仕掛けたアメリカは、開戦の根拠が総崩れした今なお、イラク占領を継続し、町を包囲して掃討作戦を繰り広げ、ジュネーブ条約違反の虐待事件までひきおこしています。国際社会の強い批判と憤りが巻き起こっています。国連のイニシアチブのもと、米英の占領支配をやめさせ、憎悪と報復の悪循環をたちきって、イラクの主権回復を実現できるかどうかが問われています。

 ところが小泉内閣は、今なお大義なきイラク戦争を支持し、戦争状態が続くイラクに自衛隊を派兵し、米軍主導の占領支配の一翼をになっているのであります。

 こうしたもとで、小泉内閣は「武力攻撃事態法」を成立させ、日本が攻撃を受けてもいない段階から、自衛隊をはじめ政府機関・地方自治体・公共機関・民間など、まさに官民あげて米軍の戦争を支援する体制をつくりあげようとしています。きわめて重大です。

包括的な支援

 米軍支援法は、政府の判断一つで、無限定かつ包括的な米軍支援を可能とするものです。自衛隊による弾薬の提供をはじめ、日本全土の空港・港湾の優先使用など、米軍支援措置を「政府の責務」として遂行する仕組みであります。ACSA改定案は、日米の軍事兵たん支援の対象を「武力攻撃」から「予測事態」、さらには「国際の平和・安全への寄与」にまで拡大しているのであります。

 ところが日本が支援する米軍の軍事行動には、何の制約もありません。アメリカは、軍事行動をいついかなる理由ではじめるのか、国際社会や同盟国の意向とかかわりなく、独自に判断し行動してきたのであります。政府は、日米間で「緊密に調整する」と言いますが、結局、アメリカの一方的判断と行動に日本が従うことになることは、イラク戦争を支持する日本政府の姿勢から言っても明白であります。

戦争の協力へ

 政府は「国民の保護」を強調しますが、この有事体制は、政府と地方自治体、指定公共機関・事業者などに戦争協力の責務を課し、協力と動員の「指針」や「計画」づくりをすすめ、それにもとづく日常的な「訓練」や「啓発」によって、平時からの国民総ぐるみの軍事動員即応態勢づくりをすすめるものにほかなりません。国民の日常生活・社会のすべてにおいて軍事モードを醸成していくことは、憲法に基づく人権保障や社会のありようと根本的に矛盾するものであります。

 自民・公明・民主三党の共同修正は、この有事体制の枠組みを、「武力攻撃事態」から、重要施設や公共交通機関の破壊までをも「緊急対処事態」と称して拡大し、今後さらに大規模自然災害にまで広げようとしています。

 そもそも武力攻撃や戦争は、自然災害と異なり、人間の力で発生そのものを防止することが可能です。国家間の平和友好関係を構築し、武力紛争をおこさない外交努力こそ、国民の平和と安全のために必要なことです。

 二十一世紀の日本の進むべき道は、憲法九条を踏み破ることではありません。九条を擁護し日本外交の柱として生かすことによってこそ、アジアと世界の平和に積極的な貢献ができるのであります。

 わが党は、憲法違反の有事関連法案の廃案のため、全力で奮闘する決意を表明し討論をおわります。


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