日本共産党

2004年5月15日(土)「しんぶん赤旗」

年金改悪

自公、党略を最優先

「国会対策」で未納情報“小出し”


3閣僚の未納判明(4月23日)

●「個人の情報について申し上げる必要はない」
 「国会対策でやってる話だから」
    (福田官房長官、4月23日の記者会見)

坂口厚労相が閣僚の未納調査・公表を約束(4月23日)

政府が情報開示を拒否(4月27日)

●小泉首相や各閣僚、副大臣、政務官の国民年金加入実績について「個人に関する情報であり、答弁を差し控える」と答弁書を閣議決定

4閣僚、民主党の菅代表の未納判明(4月28日)

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年金改悪法案を衆院厚労委員会で強行採決(4月28日)

●「正しいことをきちんと報告する義務はあるが、法案を通すか、通さないかの瀬戸際だった」     (福田官房長官、4月28日の記者会見)

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自民・公明・民主が3党合意(5月6日)

福田官房長官が辞任(5月7日)

菅民主党代表が辞任(5月10日)

●「政党のトップとして国民の信頼を損ねた以上、辞任はやむを得ないだだろう」(神崎公明党代表、5月10日)

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衆院本会議で年金改悪法案の採決強行(5月11日)

公明党議員13人の未納が明らかに(5月12日)

 「故意にやっているわけじゃない」「うっかりミス」。閣僚や自民党国会議員の年金未納問題で、小泉純一郎首相や安倍晋三自民党幹事長は弁解にしきりです。

 しかし、問われているのは、年金制度を議論する国会議員としての特別の政治責任と、それを包み隠さず明らかにする国民への誠実さです。とくに、年金法案を提出している政権与党の責任は、より重大です。党略的な情報の扱いはもってのほかのはず――。

 ところが、この問題での政府・自民党の態度は、「国会対策」最優先でした。四月二十三日に、中川経産相、麻生総務相、石破防衛庁長官の三閣僚の未納が発覚すると、ただちに他の閣僚の未納情報を“封印”。辞任した福田康夫官房長官は、同日中にみずからの未納を確認しながら、年金改悪法案の衆院厚労委員会での強行採決後までひた隠しにしていたのです。

 その際、政府が口実にしたのが「個人情報だから」というものでした。福田長官が記者会見で、これを連発。四月二十七日の閣議では、わざわざ「個人に関する情報であり、答弁を差し控える」ということを閣議決定までしたのです。

 福田長官は「これは国会対策でやっている話ですから」(同二十三日)「正しいことをきちんと報告する義務はあるが、法案を通すか、通さないかという瀬戸際のときに、与党の方の苦労も考えなければいけない」(同二十八日)と、あけすけにのべていました。

 各党の調査結果が出そろった五月十三日になって、首相と自民党幹事長がわざわざ「各議員の見識に任せる」と非公開を確認しています。

 公明党の対応も同罪です。国会議員の未納問題が焦点となり、野党が次々と全議員調査を公表するなか、ひたすら沈黙。年金改悪法案が衆院通過(十一日)するのを待って十二日、未納者十三人を公表しました。

 議員の未納率では全政党でトップ。しかも、神崎武法代表は、菅直人民主党代表の未納問題での辞任に際して、「国民の信頼を損ねた以上、辞任はやむを得ないだろう」(公明新聞十一日付)とのべていたのに、みずからは平然と居座っています。

野党はどう対応したか

日本共産党、他党にさきがけて公表

 日本共産党は、市田忠義書記局長が五月六日に記者会見し、他党にさきがけて、全国会議員二十九人の国会議員になって以降の国民年金への加入・保険料納入状況の調査結果を公表しました。このなかで、吉井英勝衆院議員が計十四年間国民年金に加入せず、保険料を納入していなかった事実を明らかにしました。吉井議員は「立法府に身をおく者として政治責任をとる」との立場から、党国会対策委員会副委員長を辞任しました。

 民主党は、三閣僚の未納が四月二十三日に明らかになったのち、他の閣僚の納入状況の公表を迫って、四月二十八日に「次の内閣」のメンバーに限り公表しました。このとき、政府の閣僚の納入状況との同時公表にこだわりました。菅直人代表の未納が明らかになったのは、このときのことです。しかし、全議員の納入状況については公表を先延ばし。自民党に全議員の調査実施を申し入れました。結果的に、三十三人の未納者がいたことの公表は五月十三日となりました。

 社民党は五月十日に公表し、土井たか子前党首の未納が判明しました。


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