日本共産党

2004年5月14日(金)「しんぶん赤旗」

やっぱり廃案しかない

年金自公政府案


 政府与党が年金法案を「安心のプラン」だとしてきた根拠を小池晃政策委員長の参院本会議質問(12日)がくつがえし、マスメディアも注目しました。国民年金保険料の引き上げには上限があり、厚生年金給付の引き下げには下限があるから、それ以上の負担増・給付削減はありませんと説明を繰り返してきた自民・公明両党。「上」も「下」も両方いつわり。その中身は――。


グラフ写真

給付 50%を下回る

 改悪法案は厚生年金給付について給付水準を下げていきます。毎年引き下げていくのですが、与党は、現役世代の平均収入の「50%以上を確保」とイメージグラフ(上図)をつけて宣伝。これは「経済動向や出生率が変化しようとも、50%以上の“暮らせる年金”は保障するという宣言」(北側一雄政調会長、公明新聞二月八日付)とのべ、「安心の年金」の根拠としてきました。

 厚生年金の給付は、現役時代の平均収入(賃金から税などを差し引いた可処分所得)の一定割合を老後に支給する仕組みになっています。厚生労働省は、モデル世帯(夫は四十年加入で妻は専業主婦)で現行59%の給付水準になっていると説明しています。改悪法案は、この給付水準をどんどん引き下げていきます。どこまで下げる気か、国民の大きな不安ですが、政府与党は、下がっても50%、左上図にあるように「これ以上下げません」と断言し、国民を「安心」させようとしています。

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小池晃政策委員長の質問に答弁する坂口力厚生労働大臣=12日、参院本会議

 これが「50%」よりさらに下がるのです。坂口力厚労相は十二日の参院本会議で小池議員に迫られ、厚生労働省内部の試算として動かせない数字で示しました。

 国会審議ではじめて明らかになった事実。改悪スタートの年となる〇四年度で六十五歳の男性(モデル世帯、一九三九年生まれ)のケースでは、年金を受け取り始める時点で59・3%が、二十年後の八十五歳では43・2%まで下がります。五十五歳(一九四九年生まれ)は同様に54・0%から40・8%に。四十五歳(一九五九年)は50・2%から40・5%になります。なぜこうなるのか。

 実は、政府与党のいってきた「50%確保」とは、年金を受け取り始めたときの給付水準をさしていたのです。

 受け取ったあとの給付水準の低下は、「マクロ経済スライド」による削減(二〇二三年度までの期間)のほかに、賃金スライド廃止による給付削減(二〇〇〇年改悪で実施されたもの)が加わり、40%台に落ち込んでいくことに。給付水準の基準となる平均収入は賃金上昇(厚労省は〇九年度以降2・1%増と推計)で高くなっていくのに、給付額は物価上昇分(賃金上昇より低い推計)だけの伸びに抑制されるので、給付水準が低下していくのです。

 「50%確保」は年金を受け取り始めたときだけという説明は、法案要綱では省略。厚さ五センチにもなる難しい法案の条文のなかに隠されていました。厚生労働省のホームページに法案の条文が国民向けに掲載されたのは四月末のこと。国民にはまったく知らされてきませんでした。

 それどころか国会で日本共産党の山口富男衆院議員が50%割れがないのかただしたのにたいし小泉首相は「50%を維持することを明確にしている」(四月一日、衆院本会議)と断言しました。真相を隠し、偽りの宣伝を繰り返していた政府与党の責任は重大です。


 マクロ経済スライド 加入者数の減少(少子化の伸び)、寿命の伸び(受給者の高齢化)を年金財政のマイナス要因とし、厚生労働省は二つ合わせた影響率を平均0・9%と推計。毎年の物価や賃金の上昇率からこの0・9%を差し引いて、年金水準を低下させる仕組みです。


保険料 天井知らず

 「保険料の上限を固定」という政府・与党の説明は本当でしょうか。

 政府・与党は現在、月額一万三千三百円の国民年金保険料を、〇五年度から十三年連続で毎年二百八十円引き上げるが、二〇一七年度以降は一万六千九百円に固定する、「これ以上、上がりません」(公明新聞二月八日付)と説明していました。

 ところが、政府が国民に隠してきたことがあります。それは、〇六年度から「名目賃金上昇率の変動を乗じて得た率を基準」として、保険料額を決める仕組みになっていることです。

 月額一万六千九百円で「固定」される一七年度の保険料額は、賃金上昇率を反映させると実際には二万八百六十円になり、四千円以上も高くなってしまいます。〇五年度から一七年度まで、平均すると毎年月額五百八十一円の連続引き上げです。

 しかも、十三年連続の引き上げが終わる一七年度以降も、名目賃金が上昇すれば、保険料が上がります。厚労省の試算では、二七年度には月額二万五千六百八十円になり、政府が「固定」されるとしていた一万六千九百円より約一万円も高くなってしまうのです。

 年金改悪法案は国会審議抜きで国民年金保険料の十三年連続の引き上げを可能にするだけでなく、際限のない保険料引き上げまでも可能にするものなのです。

 「保険料の上限を固定」どころの話ではありません。

 これだけ重要な事実を国民にひた隠しにしておきながら、十二日の参院本会議で小泉純一郎首相は「物価や賃金が上昇していけば、実際に徴収される保険料の名目額が上がっていくのは当然」「現在の賃金水準との比較で表示することは合理的であり、国民をあざむくものではない」などと開き直りました。

 国民をあざむいたうえ、際限のない痛みを押しつけることに、反省のひとかけらもありません。


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