日本共産党

2004年5月12日(水)「しんぶん赤旗」

「安心」どころか土台壊す

年金改悪法案 石井副委員長の反対討論


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反対討論にたつ石井郁子副委員長=11日、衆院本会議

 日本共産党の石井郁子副委員長が十一日の衆院本会議でおこなった、年金改悪法案と同「修正」案にたいする反対討論は次の通りです。

衆院本会議

 日本共産党を代表して、「国民年金法等の一部改正案」に反対、自民・公明両党提出の「修正案」に反対の討論をおこないます。

 年金法案は、国民の暮らしと将来設計にかかわる重要問題です。にもかかわらず、十分な審議をおこなわず、公聴会も開かずに採決を強行し、さらに自民・公明・民主三党「合意」で、政府案の成立を国会と国民に押し付けることは、そのやり方においても内容においても、断じて認めることはできません。

 小泉内閣の「国民年金法等の一部改正案」は、今後十数年にわたって、保険料の引き上げと給付水準の削減を自動的に強行するものであり、「安心」どころか年金制度を土台からこわすものであります。

 政府は、保険料引き上げを一定水準に固定し、給付水準は現役世代の50%を確保するとさかんに宣伝してきましたが、この政府の説明がごまかしであり、保険料引き上げと給付水準削減は政府の当初の説明よりもっとひどいものであることが明らかになりました。

 しかも本法案による負担増は、厚生年金では十四年間連続すると累積で一人当たり百万円を超え、国民年金では、年間四万三千二百円の負担増となります。このような負担増が、保険料は「高くて払えない」とする多くの所得の低い被保険者を直撃し、納付率をいっそう引き下げ、年金の空洞化に拍車をかけることは明らかです。

 大企業のリストラや倒産などで、この六年間に正規雇用は三百九十八万人減少しました。その一方で、パート、アルバイト、派遣など不安定雇用者が三百七十九万人も急増しました。この低賃金、不安定雇用を改善し、年金加入に結びつける施策は本案にはまったくありません。財界・大企業の安上がりの雇用政策が放置されたままでは、年金の支え手を増やすことはできません。

 障害年金や遺族年金などの低額年金も含めて一律15%も給付水準を削減することも重大です。

 現在、国民年金しか受給していない高齢者の平均受給月額は四万六千円にすぎません。

 厚生年金でも平均の受給月額は十七万円程度、月額十五万円未満が四割をこえています。女性の場合月額十一万円にしかすぎないのです。この低額年金を改善しないで、一律15%の給付水準削減を強行するなどとは全くの暴挙というほかありません。国自らが、憲法二五条の「国民の生存権」を踏みにじるものであり、断じて容認できません。

 さらに本法案は、年金財源を口実にして庶民増税と消費税増税に道を開くものになっています。

 基礎年金への国庫負担を二分の一に引き上げる国民への約束がほごにされた背景には、二〇〇四年度の「税制改正大綱」で、「平成十九年度を目途に」「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」という、消費税増税の道を公然と踏み出したことにあります。日本経団連が、国庫負担二分の一への財源は「消費税がもっともふさわしい」と主張するように、財界と一体となった策動といわざるをえません。

 自民・公明提出の「修正案」は、こうした政府案の問題点にいっさい手を触れず、二〇〇七年三月を目途に、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め、一体的な見直し」を行うとして、年金ばかりか医療、介護など社会保障全体の財源として消費税の大増税に道を開くものとなっています。消費税は、所得の低い人ほど負担が重い最悪の福祉破壊税です。その消費税を社会保障の財源にあてるなどは言語道断といわなければなりません。

 今、緊急になすべきは、低年金・無年金で多くの国民が苦しんでいる状況をなくし、年金空洞化の現状をあらため、国民誰もが今も将来も安心できる年金制度を確立することです。日本共産党は、「国民の生存権」を保障する見地にたって、「最低保障年金制度」を創設し、国民全体の年金の土台にする改革を提案しています。その実現にひきつづき全力をあげることを表明し、反対討論をおわります。


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