日本共産党

2004年5月8日(土)「しんぶん赤旗」

国民は「そっちのけ」

年金大改悪 自公民の“談合”


 衆院厚生労働委員会で年金法案をめぐりお互いの主張を激しくぶつけあっていた与党の自民、公明両党と、民主党が一転、「三党合意」をむすび、十一日の衆院本会議採決の道筋までつけました。マスコミから「談合」と書きたてられるほど国民不在の「合意」であり、法案の重大な改悪をただすものはありません。



3党合意骨子

 、衆参厚生労働委に小委員会を設置し、年金一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、2007年3月を目途に結論を得る

 、11日の衆院本会議で、税、保険料の負担と給付のあり方を含めた見直しをするなどとした、政府案の修正を行う

負担増・給付減 正さず

 「合意」の大きな問題は、政府の年金改悪法案にもりこまれている保険料の連続引き上げ、給付水準の一律15%削減という重大改悪をなんら是正していないことです。「合意」では、「社会保障制度全般の見直し」をあげ、保険料について「必要に応じ検討を加えていく」と「修正」をにおわしています。しかしこれは、財界の要望に配慮しただけです。衆院厚生労働委員会での参考人質疑(四月二十二日)のなかで日本経団連の矢野弘典専務理事は、保険料連続引き上げの「一時停止」措置を法律の付則や付帯決議にもりこむように求め、これを法案賛成の条件としました。

 「合意」は、この意向を受けたものですが、修正案に保険料負担を「見直し」するとは明記されていません。

 自公両党が審議も十分尽くさず成立を急ぐ年金法案は、厚生年金で35%(現行13・58%から18・3%に)もの保険料を引き上げ、国民年金でも27%(月額一万三千三百円から一万六千九百円に)という大幅負担増を国民に押しつけるものです。給付水準の15%削減は月二万、三万円という国民年金受給者にまで適用され、憲法にある「生存権」さえ奪う改悪です。

 暮らしの支えを奪う年金の重大改悪になんら手をつけず、衆院本会議の採決日程を受け入れた民主党の責任も重大です。

消費税増税のレール

 「合意」にもとづいて十一日の本会議で採決される「修正案」には、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行い」と明記されました。

 今回の改悪法案提出にあたっての与党合意(昨年十二月十六日)は、年金財源の確保(基礎年金の国庫負担引き上げ)について、「社会保障全般の改革の動向等を勘案(かんあん)し、所要の安定財源を確保する税制の抜本改革を行った上で施行する」と決めました。この税制の「抜本改革」の内容について与党の「税制改正大綱」(同十七日)は、二〇〇七年度をめどに「社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ…消費税を含む抜本的税制改革を実現する」とのべ、期限を切って実施する方針を明確にしました。

 「修正案」のいう“税の見直し”とは消費税増税以外の何物でもありません。「三党合意」文書は、社会保障制度全般の見直しを、二〇〇七年三月を目途に結論を得ると明記し、時期的にもつながります。

 「合意」は、民主党の消費税増税の主張も取り入れ、実施への道筋を明確にしました。民主党が政府案への対案として提出している年金法案は、年金目的消費税の導入を柱にしています。新制度のスタートは二〇〇九年としていますが、それに必要な年金目的消費税の導入時期は〇七年。法案審議のなかで枝野幸男政調会長は「勇気を持って消費税を国民の皆さんにお願いする。これは二〇〇七年から先行して行っていく」(四月九日、衆院厚生労働委員会)と明言しています。

 政府案の重大改悪を是正するどころか、消費税増税の悪政推進がくっきり浮かびあがった「合意」です。

未納者公表に触れず

 「内閣提出法案の取りまとめ役である内閣官房の責任者として、政治不信を増幅してしまった」

 辞任した福田康夫官房長官がこう述べざるをえないほど、相次ぐ閣僚の国民年金保険料の未納問題は、公的年金に対する国民の信頼を損なう結果となりました。

 「合意」は、この公表措置にいっさい触れず、未加入・未納者への通知・督促や事後納付ができるよう法的措置をするなど、未納対策の検討にとどまっています。合意づくりの協議で自民、公明両党は全国会議員の調査・公表に強く反対しました。

採決日程を押しつけ

 「長時間にわたって意見が出されたが、だれ一人として『合意』を認める議員はいなかった」。国会内で七日に開かれた民主党「次の内閣」の会合から出てきた藤井裕久衆院議員(「次の内閣」財務大臣)は、強い調子でいいました。

 民主党内からも不満がくすぶるのは、「合意」が、国民に見えない密室協議のやりとりのなかで出てきた妥協の産物で、まったく道理がないからです。

 自民、公明の与党は、広く国民の意見を聞く公聴会も開かず、わずか三十時間たらずで衆院厚生労働委員会で年金改悪法案を強行採決しました。日本共産党など野党側は、この暴挙を許さず、法案の委員会への差し戻しを求めてきました。

 ところが「合意」は、与党による強行採決を事実上容認。しかも、十一日の衆院本会議での通過の出口まで一方的に決め、その日程を国会に押しつけるものとなっているのです。自民、公明、民主の三党のみの「合意」でことをすすめようとするのは、議会制民主主義を踏みにじるやり方です。

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3党合意文書
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年金「改革」に合意した与野党幹事長・国対委員長会談に臨む(左から)岡田克也民主党幹事長、安倍晋三自民党幹事長、冬柴鉄三公明党幹事長=6日夜、国会内


消費税増税では

自民・公明も民主も同じ

 与党税制「改正」大綱(03年12月17日)から

 07年度をめどに、年金、医療、介護等、社会保障給付全般に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する。

 民主党の年金法案(04年4月8日提出)から

 公的年金の支給の財源に充てる目的税として年金目的消費税を創設するとともに、消費税の在り方について検討を行うこと。

 枝野幸男政調会長の発言(同日)から

 国庫から年金にまわされる金額をベースにして、それに加えてどの程度必要かということで計算し、今後30年程度は(消費税)3%程度でもつだろうと申し上げている。



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