2004年4月24日(土)「しんぶん赤旗」
「牛肉偽装を私も体験した」「浅田邸は、一本一億円の松があるほど、超豪邸だった」―。BSE(牛海綿状脳症)対策を悪用した牛肉偽装事件で逮捕されたハンナン元会長の浅田満容疑者(65)。「食肉のドン」とよばれた同容疑者の率いたハンナングループの実像を元社員が証言しました。
「ついにくるべきときがきた」。浅田元会長逮捕の報を受けての率直な思いです。
私は、今回の詐欺事件には直接かかわっていません。でも輸入肉を国産だと偽ったり、国産牛の産地を偽り、安い肉を高級肉にしたてあげるような不正は、たびたびありました。
オーストラリア産の輸入肉を冷凍庫から出して、加工場にまわしたら、スライスされてパック詰めされたものは「国産」になっていた。同僚に聞くと「今ごろわかったんか」といわれた。雪印食品の偽装が発覚したときも幹部たちはテレビニュースを見ながら、「どこも同じやなあ」と笑っていました。
BSE検査済み証明書に産地が書かれていることを利用したこともある。高級牛肉とされる産地の証明書を大量にコピーして、産地不明の肉にペタペタ張り付けて出荷するということもやられていました。これは、日本共産党の大沢たつみ参院議員が国会でとりあげていましたね。
浅田さんの暮らしぶりは、信じられないようなぜいたくぶりでした。
大阪府羽曳野市に二軒豪邸を持っているのですが、新しいほうに招かれたことがあります。お城みたいな広大な屋敷で、庭の駐車場には、高級外車がずらりと並んでいた。浅田さんの親族が邸内を案内してくれました。庭のいかにも名木というふうの松を指さして「この松は一本一億円」と自慢したのには、目玉が飛び出そうでした。一尾一千万円のニシキゴイ、美術の本に出てくるような名画…。浅田元会長の孫の誕生日には、有名お笑い芸人をよんで、数百万円のパーティーをやると幹部から聞きました。「よく、こんなにもうかるなあ」とつくづくと実感したものです。
浅田元会長逮捕後に、ハンナン関係者から電話がかかってきました。先日も幹部から「新聞などからなにか聞いてくるかもしれないが、相手にしないでくれ」と頼んできました。まだまだ知られたくない悪事があるのでしょうか。
今回の事件に象徴されるハンナンの体質が嫌になって辞めた社員はたくさんいます。私も後悔することがたくさんある。この機会に政治家や暴力団との関係も含めて、不透明なベールをはがしてほしいと、日本共産党に期待しています。