日本共産党

2004年4月21日(水)「しんぶん赤旗」

大阪・牛肉偽装事件

浅田容疑者が会長の食肉団体・府同食通じ

買い上げの半数“ハンナン系”


 BSE(牛海綿状脳症)対策を悪用した牛肉偽装事件で、食肉大手「ハンナン」元会長の浅田満容疑者(65)=詐欺容疑で逮捕=が会長を務める大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)の関与が注目されています。府同食を通じた買い上げ申請牛肉量は他団体の扱い分よりきわめて多く、しかもハンナン関連分が半分も。大阪府警捜査二課は、府同食からの申請分に偽装牛肉がなかったかにも関心を寄せており、調べを進めています。

 浅田容疑者は、副会長を務める大阪府食肉事業組合連合会(府肉連)を通じた申請分五百七十三トンのなかに偽装肉を混入させた容疑で摘発されています。

 農水省は二〇〇二年十月、日本共産党の粘り強い要求で、買い取り申請をした全企業名を公表しました。この公開資料や関係者によると、府同食を通じ牛肉が買い取られたのは二十九の企業・団体。このうち、旧ハンナン食肉が二百四十二トン、十勝ハンナンが百七十八トンなど、少なくとも関連十社で計五百七十一トンの牛肉が、二○○一年秋のBSE対策で買い取られました。

 さらにこれ以外にも、浅田容疑者と関係の深い企業からの申請が五、六社あるとみられています。

 浅田容疑者は府同食会長の他、上部組織の全国同和食肉事業協同組合連合会(全同食)の専務理事を務めていました。今回の牛肉偽装事件では、同容疑者のほか、全同食副会長の岩上清二(66)、同事務長の橋本正寿(60)の両容疑者も逮捕されました。

 両容疑者は、浅田容疑者の指示を受け、今回の偽装工作に深く関与したとみられています。橋本容疑者は「浅田容疑者の指示を受けて、その通りやった」などと供述しています。


「同和」利用し勢力拡大事件の背景 徹底解明を

 浅田満容疑者は、「同和」を最大限に利用して勢力を拡大してきた人物です。同容疑者が会長として君臨する大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)の、役員名簿には顧問として「解同」(部落解放同盟)の山口公男大阪府連元副委員長の名があります。

 浅田容疑者は、全国同和食肉事業協同組合連合会(全国同和)で専務理事を務めました。同容疑者は一九八七年、輸入肉の割り当てで、畜産振興事業団(当時)幹部への贈賄で有罪になっています。その全国同和の会長を務めるのが山口顧問です。「解同」は、批判者や意にそわない者を「糾弾会」でつるしあげるなど、暴力的などう喝で利権を得てきました。その暴力的な威圧で、行政の施策がゆがめられたことがたびたびあります。

 同容疑者を知る大阪の食肉業者は、「浅田会長は、『同和』を利権として武器にする手口に精通していた。牛肉の買い取り事業でも、その武器を最大限に活用したのではないか」といいます。

 同容疑者がかかわる府同食、府肉連からの買い取り牛肉申請量が突出して多いのはなぜか。なぜ、全国に先駆けて早々と焼却処分にされてしまったのか―。事件の背景を徹底解明することが求められています。


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