日本共産党

2004年4月10日(土)「しんぶん赤旗」

家族も「すぐ撤退して」命第一 時間がない

日本人拘束

「見殺しにしないで」

国会周辺、市民ら口々


 「人命を最優先してほしい」「自衛隊は撤退を」「自衛隊派兵は人道支援活動の妨げ。派兵で危険が高まった」――三人の日本人がイラク国内で武装勢力に拘束された事件で九日、北海道と宮崎県から被害者の家族がそれぞれ上京、政府に人命最優先の対応とそのための自衛隊の撤退を求めました。首相官邸と国会周辺では、イラクで人道復興支援活動をしてきたNGO(非政府組織)など団体・市民が集まり、朝から夜まで「政府は人命優先で三人救出を」「小泉首相はただちに自衛隊を撤退させよ」と声をあげました。

 三人の人質の家族は九日夜、都内の北海道東京事務所で二度目の記者会見をしました。

 今井紀明さんの父、今井隆志さん(51)は「自衛隊員の家族もわれわれ同様に心配でたまらないのでは」と語り、人質解放の意味で自衛隊の撤退を要求しました。母の直子さん(51)は「息子の仲間が六千二百筆の署名を集めてきてくれた。行き詰まっている時にありがたい」

 高遠菜穂子さんの弟、高遠修一さん(33)は「拘束されている家族としては、具体的な先が見えない。無理を曲げても努力してもらいたい」。

 外務省は午後七時半ごろ家族に電話連絡。(1)犯行グループとの連絡を模索している(2)外務報道官が「アルジャジーラ」のインタビューを受け「三人は民間人でイラクの国民を心から愛し、ボランティアをしている。人質にとるのは納得がいかない」と述べた――と伝えた、といいます。


穀田、佐々木両氏人質の家族を激励

 日本共産党の穀田恵二国対委員長と佐々木憲昭同副委員長は九日夜、イラクで人質となった今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠菜穂子さんの家族を滞在先の北海道東京事務所に訪ねました。

 穀田氏らは、日本共産党の緊急申し入れを家族に手渡し、三人の安全と解放のためにあらゆる努力をつくすよう政府に求めたこと、国会質問でこの問題を取り上げたことを伝え、「大変でしょうが、がんばってください」と激励しました。


小泉首相の責任重大

市民団体が緊急行動

 イラクで人質になった日本人三人の救出を求め、九日、市民団体「ワールドピースナウ」が緊急行動をおこない、政府に自衛隊の即時撤退をアピールしました。

 衆院議員面会所前の行動には、市民団体、宗教者、イラクで活動するNGOのメンバーなど三百人が参加。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員や民主党、社民党の国会議員があいさつしました。

 「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さんは「『撤退しない』との福田官房長官の発言は人命軽視もはなはだしい」と政府の対応をきびしく批判。人質の高遠菜穂子さんの友人でイラクで支援活動してきたフリージャーナリストの志葉玲さんは「自衛隊派遣でNGOの活動が危険にさらされた。自衛隊は復興支援の妨げになっている。小泉首相の責任は重大だ」とのべ、自衛隊の即時撤退が事件解決に不可欠と訴えました。

 高橋議員は、人質救出と自衛隊の即時撤退を党として強く求めていくことを表明。

 参加者は、小泉純一郎首相あての緊急アピールを内閣府職員に手渡しました。


北海道

首相へ怒りの声次々

今井さんの友人ら宣伝 

 「人質をとって脅迫なんて許さない!日本政府はあらゆる努力を尽くし、自衛隊の速やかな撤退を」と北海道高校生・学生ネットワーク「Peace Wind」と民青同盟北海道委員会は九日、札幌市中央区の狸小路で街頭宣伝しました。ビラを配り、小泉首相への抗議の一言メッセージを書いてもらうように訴えました。

 高校生と学生を含めて二十四人の青年が参加し、一時間で百十七人のメッセージを集めました。「人の命をもっと大切に考えてほしいです。あなたの判断で人の命がどうなるか真剣にもっと考えてください」(高校二年生)、「自衛隊を派遣した責任をとるためにも三人の命を一番に考えてください」(大学一年生)、「どうして自衛隊を返さないんですか?お願いですから三人を助けてください」(高校一年生)などたくさんの青年が怒りのメッセージを書いていました。

 江別からきた大学二年生の女性は「戦争は絶対反対。憲法に違反している自衛隊派兵は早く撤退してほしい」と強い口調で語っていました。

 イラクで拘束されている今井紀明さんは「Peace Wind」の会員で、友人の田崎遊君(総長)は、「今井君は劣化ウラン弾の問題など一生懸命取り組んでいた。ニュースを聞いてとても驚き心配だ。自衛隊派兵はイラクの復興支援を行うどころかアメリカの占領を支援していたにすぎません。政府の見解は間違っている。迅速な撤退を求めます」と訴えました。


“自衛隊は給水に4百億円も” 新宿

 東京・新宿駅東口で九日夕、日本共産党の不破哲三議長がおこなった演説の感想を聞きました。 都内の大学に通う大田朝子さん(19)は、「給水するのに、ボランティアが一億円あれば十万人分の水を給水できるのに、自衛隊は四百億円もかけて、一万六千人分の水しか供給していないという。マスコミは役に立ってきたボランティアを報道せずに、自衛隊のことばかりうつしているのは方向がおかしい」と語りました。「自衛隊を撤兵させないために、ボランティアの三人が殺されたら大変。自分のまわりに広げたい」と述べました。

 東京・武蔵野市のフリーター、椎野遼太さん(22)は、「自衛隊を派兵したために、一人でも亡くなったら、何のための人道支援かと思う」と怒ります。「外交官が亡くなったときに、派兵を中止していれば、こんなことにはならなかった。政府は怠慢だと思う。明確に撤兵を求めている日本共産党にがんばってほしい」と語りました。

 東京・墨田区の専門学校生、松永美奈子さん(20)は「話を聞いて、NGOは民間人の身近なところで頑張っているのに、自衛隊はお金をかけて攻撃の対象となり事態を悪化させていることがわかった。政府は自衛隊を撤退して三人の命を優先してほしい」と語りました。

 東京・杉並区の無職の男性(32)は「小泉首相や福田官房長官に拘束されたのが自分の身内だとしたらどうする?といいたい。日本外交の危機的事態だからこそ日本共産党は存在意義を前面に押し出し頑張ってほしい」と話しました。


自衛隊撤退求める

各団体、労組が声明・談話

 日本人三人がイラクで拘束された事件で九日、各団体・労組などが、三人の安全と釈放、自衛隊のイラクからの撤退を求める声明・談話を出しました。

 自由法曹団(坂本修団長)は「三邦人を見殺しにしてはならない」との声明を発表。「イラク戦争が大義のない違法な戦争であることも、自衛隊が、こうした戦争と占領を支援するためのものであることも、すでに明白」としています。

 全国保険医団体連合会(室生昇会長)、全日本民主医療機関連合会(肥田泰会長)、「核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどい」常任世話人会、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、それぞれ自衛隊のイラクからの撤退を求める声明を発表しました。


首相に申し入れ

日本宗平協

 日本宗教者平和協議会(鈴木徹衆理事長)は九日、イラクで日本人三人が拘束された事件について「イラクからの自衛隊即時撤退を英断されるよう強く要望いたします」との「申し入れ」を小泉首相に出しました。自衛隊派兵を強行した小泉政権の責任も重大だと指摘。すべての占領軍の撤退と、国連中心の復興、自衛隊の即時撤退を求めています。


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