日本共産党

2004年4月9日(金)「しんぶん赤旗」

乳児、児童5人保護

栃木の自己啓発セミナー施設

虐待通報で相談所


 自己啓発セミナーなどを主催する栃木県那須町の「ホームオブハート」(加田順子代表)で子どもが虐待されているとの通報があり、栃木県の県北児童相談所が八日までに、児童虐待防止法に基づき立ち入り調査し、施設にいた児童と乳児計五人を保護しました。乳児は段ボールに入れられ、児童らが育てていました。児童らは肉体労働をさせられ、食事が午前一、二時になることもあったといいます。児童らは就学年齢に達していましたが、通学していませんでした。

 通報した弁護士は九日、日弁連に人権救済の申し立てをするとともに、損害賠償や刑事告発を検討します。

 相談所によると、この相談所には六日に通報があり、七日夕に調査を実施。施設には未成年者が七人いました。二歳の乳児以外は全員女の子。十九歳の子は父母ともおらず、約十年間、施設に入れられていました。

 相談所はこのうち小学生以上の児童三人を宇都宮市の児童相談所で保護、乳児二人は地元の病院に収容しました。乳児らに明らかな虐待の跡は残っていませんでした。

 弁護士によると、ホームオブハートは自己啓発セミナーを主催したり、その関連の商品を販売したりしています。約四十人が栃木県那須町と黒磯市の施設に分かれ共同生活しており、施設内では暴力や長時間労働が繰り返されているといいます。セミナー参加者の中には多額の借金を抱えた人や自己破産した人もいました。ホームオブハートは、テレビアニメのテーマソングなどを歌った元男性アイドルが主導しています。

「事実無根だ」

ホームオブハート

 栃木県那須町の「ホームオブハート」の広報担当の女性は八日、「『スタッフの子どもが虐待されている』という通告が児童相談所にあり、児童相談所が調査に来た。調査が終わるまでは何も申し上げられない。個人の問題、親と子どもの問題で、ホームオブハートは関係ない。虐待というのは事実無根だ」などと述べました。


 自己啓発セミナー カウンセリングの方法を応用し企業化した“こころの産業”。外部と遮断した場所で問答やゲームを繰り返して受講者の心をコントロールし、のめり込みを促すのが特徴。画一的で過度の刺激により精神のバランスを崩す危険も指摘されています。これに宗教的装飾を加えて“ミイラ事件”を起こしたのがライフスペース。従順な人づくりのために企業の社員教育に応用する例もあります。


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