日本共産党

2004年4月9日(金)「しんぶん赤旗」

社保庁事業でも高値受注

『選択』関連企業 同庁職員に監修料

井上議員追及に 政府、調査を約束


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質問する井上美代議員=8日、参院厚生労働委

 国民健康保険中央会の補助金事業を高値で受注したことが問題となっている会員制雑誌『選択』の関連会社が、社会保険庁の事業も高値で受注、元自民党国会議員秘書に報酬、同庁職員に契約額の一割程度の監修料をそれぞれ支払っていたことが本紙の調べで分かりました。この問題は本紙(二日付)が報道したもので、八日の参院厚生労働委員会でも日本共産党の井上美代議員が追及。同庁の薄井康紀運営部長は監修料について調査する意向を示しました。

自民党国会議員元秘書に報酬

 受注したのは『選択』の関連会社、選択エージェンシー社。社会保険庁が購入する出版物「わかりやすい国民年金Q&A」を納入していました。すべて随意契約で、一九九八年度から三年間の総契約額は三千六百三十万円にのぼります。

 関係者などによると、同社はこの事業で高い利益をあげていた、といいます。

 二〇〇〇年度分では契約金額千二百万円にたいして外注費は約六百万円で、契約金額の半分近くが利益。出版関係者によると出版物の平均的な営業利益率は5%前後で「利益率が五割近くあるなど普通ではありえない」と語っています。

 この事業はもともと元自民党国会議員秘書が発案し、手がけていたもの。元秘書は本紙の取材に「私が事情でできなくなったため、選択エージェンシーにこういう事業があるとアドバイスをした」と語っています。元秘書は同社と「営業委託契約書」をかわしており、同事業についても利益から一定額の「取り分」を受け取っていました。

 同社はさらに発注官庁である社会保険庁の職員らに「わかりやすい国民年金Q&A」の監修を依頼。監修料として契約金額の一割程度、総額三百万円程度を支払っていた、といいます。

 選択エージェンシーをめぐってはすでに国保中央会発注事業でも所管している厚生労働省国民健康保険課の職員らに支払っていたことが判明。今回は、発注官庁の職員に直接、監修料を支払っているだけに、今後の調査が注目されます。

 選択エージェンシーは本紙の取材に「制作、書店販売する過程できちっとした監修が必要で、社会保険庁の担当の方にお願いした。その役務として監修料が発生したのは事実だ。私どもは適正であると信じています」と話しています。


厚労省関連事業

すべてが随意契約

井上議員調査

 厚生労働省の補助事業の受注に関連し所管している同省職員らに多額の監修料を支払っていた会員制雑誌『選択』の関連会社が、社会保険庁や国立病院特別会計から二〇〇二年度までの五年間に五十五件、契約金額で約二億三千三百八十万円を受注、そのすべてが随意契約だったことが、日本共産党の井上美代参院議員の調査で分かりました。井上議員が厚生労働省に、『選択』の関連会社・選択エージェンシー社への発注一覧を求め、それに回答してきたもの。

 社会保険庁は年金や健康保険の各保険料や税金が財源。国立病院特別会計は税金や診療収入などが財源となっています。


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