日本共産党

2004年4月5日(月)「しんぶん赤旗」

途切れることない人波

欧州統一行動 社会保障改悪に反対


戦争より社会の将来を

内閣退陣求めるスローガンも

ドイツ
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3日、シュレーダー政権の社会保障削減に抗議してベルリン市中心部を行進する人たち(片岡正明撮影)

 【ベルリン=片岡正明】三日、ドイツで行われた欧州労連の統一行動にはベルリンで約二十五万人が集まったのをはじめ、ケルン、シュツットガルトなど全国で計四十七万人が参加し、シュレーダー政権の社会保障改悪に反対するデモ・集会としては「これまでで最大規模」(ドイツ公共テレビARD)となりました。

 行動の呼びかけにはドイツ労働組合総同盟(DGB)、ドイツ社会協会、市民団体のアタック、民主的社会主義党(PDS)、キリスト教団体などが加わりました。

アジェンダには社会的連帯ない

 シュレーダー政権は社会保障改悪政策「アジェンダ二〇一〇」を実行し、今年一月から失業保険の給付期間の大幅短縮、診療時の一部本人負担の導入、年金給付額引き上げの凍結などを矢継ぎ早に実施しています。ベルリンの集会でゾンマーDGB議長が「アジェンダ二〇一〇には社会的連帯がない。賃金を下げ、労働時間を延長し、企業で労働者の共同決定権をなくそうとする者に断固立ち向かう」と表明しました。

 ベルリンでは午前十時、アレクサンダー広場など三カ所からデモがスタート。集結地点のブランデンブルク門にかけて途切れることのない人波が続きました。「戦争に使う金があるのに社会保障には金がないのか」「労働者、失業者、年金生活者への負担押しつけは、社会の将来を危うくする」などの横断幕やプラカードを掲げて行進しました。「シュレーダーは去れ。アジェンダをやめろ」など内閣退陣を求めるスローガンも見られました。

 ドレスデンから来た失業者ケースティンさん(34)は「このままだと来年から給付額が大きく減らされる。労働者や失業者への予算を削って国はどうするのか」と怒りをぶつけました。

労働者に負担大企業に利益

 「教育、雇用、平和、原発廃止を今」の横断幕を掲げるPDSの隊列に加わっていた学生ファルゴ・ローフさん(25)は「医療保険が改悪され、窓口で十ユーロ(約千三百円)支払わなければならなくなった。支出増が重なると生活にひびく。労働者に負担を押しつけ、大企業に利益をあげさせる経済自由主義政策だ」とシュレーダー政権を批判しました。

 年金生活者、ルディ・ロゴスキーさん(78)は「四十年も働いた後の年金が実質、減らされるのはひどい」と訴えました。

 統一産業労組(ベルディ、組合員二百七十四万人)の旗を持った公務員ビオルン・タウトさん(21)は「緊縮財政のため賃上げなしの労働時間延長や休暇の削減を迫られている。何か行動するしかないと思ってやってきました」と語りました。

 シュツットガルトでは十二万人の参加者を前に、ベルディのブジルスケ委員長が「シュレーダー政権が改悪に先鞭(せんべん)をつけ、キリスト教民主同盟(CDU)がさらに改悪し、使用者同盟はそれでもまだ不足だという。この制度改悪は問題を悪化させるだけだ」と訴えました。

 ケルンでは金属労組(IGメタル、二百六十四万人)のペーターズ委員長が「改悪の結果、失業給付が減り、年金は削られ、医療機関の窓口負担や医薬品の支払い増がやってきた。こんな『改革』はもうたくさんだ」と呼びかけ、参加した十万人から大きな拍手を浴びました。


「明日には私たちの問題」

年金制度改悪に抗議

若者も横断幕持ちデモ

イタリア

 【パリ=浅田信幸】イタリアのローマで三日、生活費の高騰に苦しむもとで年金制度の改悪が強行されようとしている事態に抗議し、三大労組の呼びかけで年金生活者を中心とした集会が行われ、主催者発表で百万人が参加しました。

 報道によると、全国から集まった年金生活者や若者が、「年金制度に手をつけるな」「物価高にノー」などの横断幕やプラカードをもってサンジョバンニ広場を埋め尽くし、物価・公共料金の統制、年金の購買力の回復を要求しました。

 集会では労働総同盟(CGIL)のエピファニ書記長が三労組を代表して演説。「我慢するのは終わりだ。怒りは頂点に達している。政府はやり方を変えるのか、それとももはやわれわれを代表しないのか」と、政策の抜本的転換を政府に迫りました。

 イタリア国営放送のニュースでは、若い女性が「いまの年金では生活は苦しい。明日には私たちの問題になるのよ」と語っていました。また月四百ユーロ(約五万二千円)の年金で暮らしているという老人は「食事はパンと牛乳だけの日が何日もある」と生活の苦しさを語っていました。

 ベルルスコーニ政権は年金保険料を支払わなければならない期間を現行三十五年から四十年に延長する改悪を強行突破しようとしており、三月二十六日には四時間の全国ストが実施されたばかり。政府は所得税の最高税率を50%に下げる減税案も提案していますが、「金持ち減税」として批判の声があがっています。

真の雇用政策が必要

労組の行動に「連帯」

フランス
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3日、「社会的権利重視の欧州」を求めパリ市内を行進する人たち(浅田信幸撮影)

 【パリ=浅田信幸】欧州労連(ETUC)による「社会的権利重視の欧州を」の行動呼びかけに応え、パリで三日、主要労組がそろってデモを組織し、主催者発表で一万五千人が共和国広場からオペラ座まで行進しました。

 先頭には「雇用、社会的権利、社会保障、公共サービスのためにパリと欧州で一緒に」の横断幕。「社会保障の後退に抗して みんな一緒に」「富の公正な分配を」「年金は死活問題だ」など、さまざまな横断幕が続きました。

 デモの先頭に立った民主労働総同盟(CFDT)のシェレク書記長は「欧州、とくにフランスの政府に届けたいメッセージは、真の雇用政策が必要だということだ。欧州の国同士での社会保障切り下げ競争はやめるべきだ。企業税制の統一、雇用と研究への投資を促す政策が必要だ」と語りました。

 デモ参加者は「連帯、連帯」「みんな一緒に、ウイ、ウイ」「雇用の欧州、信じるぞ。金融の欧州、すでにあるぞ。労働者の欧州、それをつくりたい」などのスローガンを叫んだり、フリー演劇人の女性が多い隊列は明るい歌声を響かせながら、春の訪れを感じさせるパリの中心街を行進しました。


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