日本共産党

2004年3月28日(日)「しんぶん赤旗」

フルゲン(宗嘉)氏を擁立

日本共産党県委が発表

参院沖縄選挙区


 日本共産党沖縄県委員会の赤嶺政賢県委員長・衆院議員、伊佐真市委員長代理らは二十七日、「参議院沖縄選挙区についての日本共産党の立場」を明らかにし、同選挙区に党県委員会のフルゲン宗嘉(むねよし)書記長(52)を擁立することを発表しました。

 同選挙区の共闘をめぐっては、沖縄社会大衆党との間で四回にわたり協議をすすめてきました。

 日本共産党は二月一日の第一回協議で、(1)憲法擁護、消費税増税反対など国政上の重要問題で「政策協定」を結ぶこと(2)候補者は革新の共同候補として、「無党派・無所属」とし、当選後も無所属をつらぬき、特定の党派に偏らない活動を展開すること―の二つの提案を行いました。

 しかし、社大党の態度は、“民主党の協力がないと勝てない”との立場で革新統一候補者でなく野党統一候補にしたいとの意向を表明。

 同時に、両党協議が続いているさなかの三月十三日に社大党、社民党、民主党の三党で「安保条約廃棄」「基地撤去」「憲法擁護」も欠落させ、選挙後、民主党会派入りを含めて協議するという「協定書」を締結しました。

 那覇市泊の党県委員会で記者会見したフルゲン氏は、社大党が「保守二大政党」づくりの流れにのみこまれ、革新の立場を投げ捨てたもとで、革新共闘の喜屋武真栄参院議員以来かかげてきた革新の旗を高く掲げ、「基地のない平和で豊かな沖縄」の実現のために全力を尽くしたいと決意を表明しました。

 フルゲン(古堅)氏の略歴 一九五二年生まれ、琉球大学卒。民青同盟沖縄県委員長、日本共産党北部地区委員長、ヘリ基地反対協幹事を歴任。一九九六年、二〇〇〇年衆院選沖縄三区立候補。現在、党県委員会書記長。家族は妻、長男。


参院沖縄選挙区についての日本共産党の立場

3月27日 党沖縄県委員会

 日本共産党沖縄県委員会が二十七日に発表した「参議院沖縄選挙区についての日本共産党の立場」は以下の通りです。

 日本共産党沖縄県委員会は、参院沖縄選挙区の共闘に関して、沖縄社会大衆党との間で四回にわたり協議をすすめてきました。しかし、この協議は、社大党の、革新の大義にそむき、政党間の信義にもとる対応の結果、合意をみるには至りませんでした。日本共産党沖縄県委員会は、この間の経緯を明らかにするとともに、沖縄における革新の伝統を守るために、きたるべき参院選で党公認候補の擁立を決断したことを発表するものです。

 一、日本共産党沖縄県委員会は二月一日、社大党との第一回協議で、(1)今回の参院選は二十一世紀の日本と沖縄の進路がかかった選挙であり、憲法擁護、消費税増税反対、安保条約廃棄、基地撤去、有事法制反対など、国政の重要問題で政策協定を締結し、有権者に明らかにすること、(2)両党は共同してたたかう意思のもと、(社大党が候補者として提案してきた)糸数慶子氏(社大党県議)は、革新の共同候補として無所属でたたかい、当選後も無所属をつらぬき、県民への公約実現に努力する、国会内外の活動にあたっては特定党派にかたよらないことを保障する、という「覚書」をかわすことを提案しました。これは沖縄におけるこれまでの革新統一の当然の原則であり、革新の議席を守りぬくうえで最低限まもられるべきことでした。

 ところが社大党は、わが党との協議がつづいているさなかの三月十三日、一方的に民主党、社民党との間で、沖縄選挙区選挙協力に関する協定書に調印しました。この「協定書」の基本政策には、わが党が提起している憲法擁護、安保廃棄、基地撤去、消費税増税反対など、国政の中心点にかかわる内容が欠落しています。しかも「協定書」は、「所属会派は当選後に真摯(しんし)に協議」するとして、当選後に特定会派に所属する可能性を示しています。

 私たちは、このような「協定書」は、沖縄県民が、これまでつらぬいてきた革新統一の民主的な原則とは相いれないものだと考えます。

 二、重大なことは、三党が合意し発表した「基本政策」は、県民の利益、革新の大義にそむく内容になっていることです。

 「基本政策」は、十の項目になっていますが、その第一は、「憲法9条を守り、憲法改悪にも反対します」となっています。しかし、記者会見で、憲法への態度を聞かれた民主党代表は、「憲法改悪には反対」と述べる一方、「民主党の立場は、論憲、創憲」などと説明しました。民主党が公然と改憲路線をかかげている政党であることは周知のことです。しかも、社大党代表は、わが党との協議のさい、「民主党は現時点で改憲勢力」と明言していました。

 記者会見で民主党代表が説明した立場は、「民主党が掲げる論憲、創憲の立場で『改正される憲法』は、改悪でないから、『改悪反対で一致できる』」というものです。これでは、「憲法改悪」を「憲法改正」と表現する自民党とどこが違うのでしょうか。

 政策の第四には、「米国追従型の軍隊による安全保障・日米安保体制による安全保障でなく、多国間の平和共存的な安全保障と…」としています。これは多くの県民がもとめる「安保廃棄」とはまったく異なるものです。民主党県連代表は、「民主党は日米安保廃棄ではない、堅持していく」と明言しており、社大党代表も「これまでの安保廃棄の基本政策も整理・検討中」「安保問題については違う表現がいまはされている」「基地も即時無条件全面撤去という方針から段階的に撤去すべきとの意見もあり、整理検討中」とまで述べています。

 マスコミが「『安保廃棄』消える」を見出しに、「九八年の参院選…で…結んだ政策と最も違う点は、『安保条約廃棄』の文言が消えたことだ」と報じるのも当然です。

 九八年の参院選で政策に掲げられた消費税増税反対の立場が、今回掲げられなかったことも重大です。消費税増税問題が今回の参議院選挙で大きな争点になることは明白です。

 憲法改悪、日米軍事同盟推進、消費税増税推進の立場をとる民主党の協力をえるために、このような「基本政策」を合意するまでに至った社大党の現在の指導部は、革新の立場を投げすて、多くの県民の願いに背くものだといわざるをえません。

 三、先に指摘したように、三党の協定書には「三党の統一候補者」、その「所属会派は当選後に、…協力関係にあった政党間で真摯に協議し、また、糸数慶子本人の政治理念が実現できるように配慮し決定」するとされています。

 これは参院沖縄選挙区の候補者は、「統一の無所属候補」「当選後も無所属をつらぬき、国会内外の活動にあたっては特定党派にかたよらないことを保障する」という、これまでの原則を大きくふみにじるものです。そして重大なことは、この確認が「当選後に民主党会派に所属する」という可能性をふくんでいることです。

 わが党との四回の協議のなかで、社大党の代表は、「民主党の協力がないと勝てない」、「民主党は『自分たちは革新でない』と述べており、これまでのような革新統一候補ではなく、野党統一候補ですすめている」「民主党に独自候補擁立を断念するようにもとめ、その妥協点が、『選挙前に会派入りは要求しない、当選後に会派入りを協議する』ということだ」と説明し、当選後の民主党会派入りについて、「可能性は否定できない」とはっきり述べました。そして民主党から「新緑風会に加わったうえで民主党会派に」という提案をうけていることも明らかにしました。

 三党による協定調印後、社大党委員長は、「二回にわたる小選挙区制によって…二大政党的な形にだんだんかわってきている。過去の革新共闘というものが、現実的にはなかなか、革新という立場についてこれないという方々もいらっしゃるということで、…野党統一というものがいいんじゃないかと…認識して」いると述べました。

 これは県民の願いである革新統一を、「二大政党制にかわってきている」ことを口実になげすてると告白したものであり、この点でも、同党指導部が県民の願いに反する道をすすんでいることを示すものです。

 四、社大党の態度は、「保守二大政党」づくりの流れにのみこまれ、沖縄県民がきずいてきた革新・平和の路線を放棄したものと指摘せざるをえません。日本共産党沖縄県委員会は、「基地のない平和で豊かな沖縄」の実現をめざし、党公認の候補者を擁立して、参院沖縄選挙区をたたかうことを表明します。


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