日本共産党

2004年3月28日(日)「しんぶん赤旗」

これだけ!?年金額

調べてビックリ

予想20万円→試算13万円弱 58歳・病院職員 中西さんの場合


 「これでどうして百年安心なの」。中身を知れば知るほど「許せない」の声が広がる年金改悪法案。自民・公明両党が四月一日にも審議入りを狙う中で、国民春闘共闘委員会がよびかけた「4・15年金スト」に向けた取り組みも列島各地に広がっています。

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 「自分の年金はいくら?」―定年を前に気になることです。東京都内の病院職員・中西勝彦さん(58)もそんな一人。「政府はいま年金は現役時代の収入の六割っていうから、月二十万円くらいはあるかな」と見込み額を社会保険事務所へ調べに行きました。ところが…。「たったこれだけ? 六割なんてとんでもない。改悪でさらに15%減る? 公明党の坂口さん(厚労相)いい加減にしてよ」

 年金の受給見込み額は、五十五歳以上になれば、最寄りの社会保険事務所や年金相談センターで調べてもらえます。

 中西さんが向かったのは都内の社会保険事務所。「待ち人数は二十三人」。年金相談コーナーは人であふれていました。「年金相談受付票」に氏名、住所、生年月日、基礎年金番号などを書き込みます。このとき必要なのが基礎年金番号が書かれている年金手帳。本人と確認できる健康保険証か免許証も必要です。

 ひっきりなしに相談者が訪れます。待つこと二時間。やっとカウンターに呼ばれました。受付票を渡すと職員がコンピューターを操作し、印刷された紙が出てきました。

 「加入期間は十分です。六十歳で退職されれば、年金を請求できます」

 ホッとする中西さん。老後の年金は原則二十五年以上の加入期間がなければ支給されません。

 いよいよ年金見込み額の説明です。

 厚生年金は一九九四年、二〇〇〇年と連続する改悪で、支給開始年齢が六十歳から段階的に遅らされてきました。中西さんの場合、六十歳からの三年間は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分しか支給されません。

 その三年間の見込み額は年「九十二万五千四百円」と出ました。月額七万七千円余り。「これじゃ暮らせないよ。働かなくちゃ」と中西さん。

 「六十三歳以降はこの金額です」。職員はもう一枚の紙を示しました。共働きの妻が厚生年金を満額もらうまでの五年間は「配偶者加給」がついて年「百九十二万四百円」。そのあとは年「百五十二万一千九百円」に。月額に直すと約十二万六千八百円でした。

 「これだけ? 定時制高校行って、四十年以上働いてきたんだよ」。予想額とはかなりの開きがあります。それもそのはず…。

 いま政府が年金は現役時代の収入の約六割といっているのは、平均的収入の勤労者の生涯の平均年収の六割という意味。しかも夫が四十年働くサラリーマンで、妻は四十年専業主婦という限られたケースです。

 「なんだそうだったの。ぼくはてっきり、みんな定年前の収入の約六割の年金かと思っていた」。けげんな顔つきの中西勝彦さん(58)=病院職員=は続けます。「で、今度の改悪でまた減らすっていうんでしょ?」

 中西さんがいう通り、政府が今国会で成立させようとしている年金改悪法案は、給付を徐々に削り二〇二三年には約15%もカットする内容です。中西さんの場合、改悪されれば実質月一万九千円の減額。年金は実質月十万円台ということに…。

 「ウソっ…。どうやって暮らせっていうんだよ。ひどいね!」。思わず声を上げた中西さんは憤慨していいました。まだ高校に通う子どもがいるという中西さん。年金をもらいながらアルバイトをしなければ、暮らしていけそうにありません。

 中西さんはいいます。

 「公明党が自民党とくっついてから、どんどん政治が悪くなってる。坂口厚労相がテレビに出てるの見たら、またなんかやるのかってドキッとするよ。だけど、社会保険事務所に押しかけてる人をみて、不安を抱えた人が多いって分かったよ。こんな改悪は絶対許しちゃいけないね」内藤真己子記者


「講師団」とび回る

学習を力に広がる反対運動

 「年金のことは前から興味があったんです。でも、難しいというイメージがあって…」。そう話すのは、国公労連の共済会で働く●原久美子さん(24)です。二十六日に共済会の連合会が千葉県内で開いた年金学習会に、初めて参加しました。

 「学校を出ても、就職できない友人がたくさんいます。若い人がちゃんと就職できて、保険料を納められるようにしてほしい。それをやらないで、国民に負担増を押しつける政府には、納得できないです」といいます。

 学習会の講師は、全厚生労働組合の「年金講師団」です。「専門知識を生かして、年金改悪反対の運動の力になろう」と、講師団を結成。昨年十月から五カ月間で、三百四十二カ所に講師を派遣してきました。要請があればどこにでも出かけます。参加した人は、のべ一万二千七百二十人にのぼります。

 学習を力に、草の根の運動が広がっています。二十三日から二十五日まで、年金者組合、全労連などの呼びかけで、のべ八百人以上が「年金改悪反対」を掲げて、国会前に座り込みました。

 全労連などでつくる〇四年国民春闘共闘委員会は、年金改悪阻止を今春闘最大の課題に位置付け、四月十五日にはストライキに立ち上がります。大量宣伝、年金改悪と増税反対署名(百五十万人分を国会へ提出)、自治体首長や地元国会議員、中小企業や老人クラブ訪問と、国民的共同へ全力で取り組んでいます。


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