日本共産党

2004年3月27日(土)「しんぶん赤旗」

参院本会議

必要なのは国民生活守る予算

04年度政府予算案 林議員の反対討論

(大要)


 二十六日の参院本会議で日本共産党の林紀子議員がおこなった、二〇〇四年度政府予算案にたいする反対討論の大要は次の通りです。

 日本共産党を代表して政府予算案に対する反対討論をおこないます。

年金や税金…連続で負担増

 反対の第一の理由は、今後十数年にわたる際限なき年金保険料の引き上げや庶民増税など、連続負担増予算だからです。

 小泉内閣発足以来、医療保険の三割負担など四兆七千億円もの負担増と給付削減を押し付けてきました。これに年金制度の改悪など今後三年間で新たな国民負担増は二兆五千億円以上、合計七兆円もの負担増がしいられることになります。

 くらしはますます深刻になり不安をいっそう増大させます。とりわけ不安をかきたてているのは年金制度の大改悪です。

 年金保険料は、今後十四年間にわたって毎年七千億円も連続的に引き上げる一方、給付は物価上昇分すら割り込む引き下げが行われます。二〇二三年度に受け取る年金額は、今と比べて15%も引き下げられます。国民年金はじめ低額な年金をさらに引き下げることは生存権保障の憲法の原則を踏みにじるものです。

 年金改革というなら、国民への約束である基礎年金の国庫負担を二分の一にただちに引き上げ巨額の年金積立金を計画的に取り崩し給付を支えることです。何よりも雇用の拡大など年金の安定した支え手を増やすことです。基礎年金部分を発展させて、だれもが一定の年金額を受け取れる「最低保障年金制度」への移行をめざすべきです。

 日本では大企業の社会保障への負担がヨーロッパなどと比べ著しく低くなっています。税金の使い方を徹底的に見直し、大企業や高額所得者に応分の負担を求めれば財源は十分に確保できます。

 地方財政の「三位一体改革」と称して、国が責任を負う国庫補助負担金を廃止・縮減し、福祉や教育の水準を後退させていることも重大です。地方交付税圧縮とあわせて三兆八千億円も地方への財源を切り捨てる一方、税源移譲は四千五百億円と削減額の12%にすぎません。地方財政を危機に追い込み、地方自治の破壊と住民サービスの大幅な後退をもたらすものです。いま必要なのは国から地方への税財源の移譲と財源調整機能としての地方交付税の原点にたちかえることです。浪費を温存し財政は破たん 第二は、大企業奉仕や公共事業の浪費を温存する一方、国債の新規発行は二年連続史上最高となり財政破たんを進めるからです。税収は歳出総額の半分にすぎず、国債の新規発行は、当初予算としては史上最高の三十六兆五千九百億円、国・地方の長期債務は七百十九兆円にも達しています。浪費構造にメスを入れることは待ったなしです。

 ところが羽田空港拡張事業や関西国際空港二期工事などに多額の予算が計上され、高速道路未整備の二千キロもほとんどの区間の建設がすすめられます。道路公団問題は、巨額の借金、天下り、政治家への資金還流など、自民党政治の縮図にほかなりません。「改革」というなら高速道路整備計画を廃止して未整備区間は抜本的に見直すこと、利権と癒着の構造にメスを入れるべきです。

 政府は、景気回復の芽が出たと自慢していますが、大企業が史上最高の利益を上げているだけです。労働市場の規制緩和・労働法制改悪で正社員は七年間で約四百万人減少し、パート、派遣労働という低賃金、不安定雇用に置きかえられています。そのため国民の平均賃金は三年連続減少し、フリーターは四百二十万人に急増しています。

 一方で、一般歳出に占める中小企業対策費の割合は、史上最低水準のわずか0・6%、農業の価格・所得補償の予算は農業分野全体の三割以下にすぎないなど、国民にとって切実な予算は切りちぢめられたままです。

 鳥インフルエンザは国の責任で法改正も含め防疫対策の確立、感染拡大を防ぐための抗インフルエンザ剤の確保、被害をうけた農家、関連業者への補償などに万全を期すべきです。米軍事戦略に組み込むもの 第三は、イラク占領支援や弾道ミサイル防衛システムなどアメリカの軍事戦略に日本をいっそう組み込む予算であり、憲法九条改悪とも軌を一にしたものだからです。米英軍が無法なイラク戦争を開始して一年がたちましたが、大量破壊兵器の発見はおろか存在すらしなかったとの証言もあります。大量破壊兵器があると断定し、自衛隊派兵を強行した小泉内閣の責任は重大です。

 戦争状態が続く他国に重火器で武装した自衛隊を派兵し占領支配へ合流・加担することは、憲法が禁ずる武力の行使・交戦権の行使にあたることは明らかです。求められるのは米軍主導の軍事占領をやめ、国連中心の枠組みでの復興支援です。イラク国民に主権を返還し、自衛隊はただちに撤退すべきです。

 米軍への戦争支援を無制限に拡大し、自治体・公共施設を「軍事優先」で利用し、国民を戦争に強制動員する有事関連法案の撤回を強く求めます。

 弾道ミサイル防衛システムは地球規模のアメリカ核戦略に日本を巻き込み、アジア・太平洋地域の国々との緊張を激化させるものです。

 北海道警察などによる捜査費などを流用した組織的な裏金づくりの調査はなおざりで、捜査もされていません。警察による組織ぐるみの犯罪だからです。第三者による外部監査制度を実施すべきです。

 最後に、いま求められているのは、社会保障、雇用・中小企業対策など、景気回復と国民生活防衛のための予算の拡充であることを強く主張して反対討論を終わります。


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