日本共産党

2004年3月25日(木)「しんぶん赤旗」

学生無年金障害者訴訟 東京地裁判決

「不平等」放置と断定


 学生無年金障害者訴訟判決は、憲法一四条の「法の下の平等」に照らして、学生無年金障害者を生み出した国民年金法が違憲であると断じた点で画期的なものです。

 一九九一年三月まで学生は二十歳以上でも国民年金には「加入してもしなくてもよい」という任意加入とされていました。加入していない間に、けがや重い病気で障害を負っても、障害基礎年金が支給されませんでした。

 その一方で、二十歳になる前に、初診日のある病気やけがで障害になった場合は障害基礎年金が支給されています。

 同じ学生なのに、二十歳前にけがや病気で障害になると障害基礎年金が出て、二十歳を過ぎていると無年金とされる、という矛盾で多くの障害者が苦しんできました。

 学生無年金障害者の運動と世論の高まりの中で、一九九一年四月から学生も強制加入になり、二〇〇〇年四月から、「保険料支払いは、社会に出てから」という「学生納付特例制度」が導入されました。

 政府は、このような手直しを重ねながら、学生無年金障害者の年金支給を求める声を抑えつづけています。

 判決は、八五年改正で、それまで障害福祉年金を受けていた人がひきつづき障害基礎年金を支給されたにもかかわらず、学生には支給されないのは「憲法一四条に違反する」としたのです。しかも、大学進学率が高まり、学生と二十歳前に障害をこうむった人との格差は「量的に著しく拡大した」とのべています。

 判決は、学生時代に障害になった人について、学生を強制加入にする、保険料免除制度を適用するなどの方策をとれば、無年金障害者となることを防ぐことができたと指摘。このような是正措置がとられないまま、学生への差別的扱いが放置されたとしました。しかも、こうした事態について「国の故意、過失も認められる」としています。

 一昨年八月に坂口厚労相が「無年金障害者にたいする坂口試案」を発表、この中で、学生無年金障害者四千人、主婦二万人、国籍要件撤廃前に障害が発生した外国籍の人五千人、保険料未納者・未加入期間の障害事故発生九万一千人の合わせて「十二万人を超える無年金障害者がいる」と推定しています。

 国は正確な実態を把握し、学生無年金障害者はもちろん、こうした無年金で苦しんでいる人たちの一刻も早い救済をすべきです。

 鈴木進一記者


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