日本共産党

2004年3月20日(土)「しんぶん赤旗」

乗員組合が完全勝訴

東京高裁 就業規則の変更は無効

日航


 日本航空乗員組合(近村一也委員長、千二百十八人)が、会社側が労働協約を一方的に破棄し就業規則を不利益に変更したことは無効だ、として争っていた「空の安全裁判」(就労義務不存在等確認訴訟)の控訴審第二陣(原告八百四十六人)判決が十九日、東京高裁民事十九部(山口幸雄裁判長)でいい渡されました。判決は、昨年十二月十一日の控訴審第一陣判決よりも、乗員に対する不利益変更の許容を厳しく制限した内容。同裁判は一審、二審(第一陣)に続き、九割以上の乗員が提訴した組合側の完全勝訴となりました。

 山口裁判長は、一審からの最大の争点であった交代要員なしの二人および航空機関士を含めた三人編成での運航について、「乗務時間および勤務時間の制限を変更した規程は、乗務員には相当厳しく合理性がない」として、会社側の就業規則を無効と断定しました。

 これにより、国際線二・三人乗務(交代要員なし)で着陸回数が一回の場合、乗務時間は最長九時間、二回着陸する場合は八時間半以上の乗務は無効となりました。また国内線で三日を超える乗務も無効となりました。

 一審判決直前に成田―サンフランシスコ、関空―ロサンゼルス線については二人編成から三人編成に改善されましたが、今回の判決では「配慮されていることと制度的に確立していることは違う」として、会社側の過渡的措置を認めませんでした。

 さらに、控訴審第一陣判決では棄却された副操縦士、航空機関士から機長や先任航空機関士の管理職に昇格した者(機長百九十五人、先任航空機関士二十三人)についても、就労義務無しの訴えが認められました。

 乗務、勤務時間が規程を超えても最終目的地までは飛行しなければならないとする「勤務完遂の原則」については、「不利益に変更したものではなく、安全性が前提になっている」として会社側のいい分を認めました。しかし、決定権は機長にゆだねることになっており、機長が乗員と協議して安全運航上、支障があると判断した場合は、その限りではないとの判断をしています。

上告の方向

 日本航空広報部の話 主張が一部認められなかったのは遺憾。上告する方向で検討したい。


日航は安全レベル上げよ 原告、弁護団が声明

 原告・弁護団は十九日三回連続の勝訴判決を受けて「声明」を発表しました。

 世界の航空会社の中でも例を見ない劣悪な規程を、判決は一審、控訴審第一陣判決と同様、運航乗務員の労働条件(勤務基準)を無効とし、労働条件の切り下げが国民の生命と運航の安全を脅かすものであることが認められた。

 日本航空は欧米他社並みの安全運航のレベルを維持できない現状にあり、それは人間の身体能力と疲労に関する科学的研究結果からも明白である。日航の運航の安全レベルは早急に引き上げられなければならない。日航は判決を真摯(しんし)に受けとめ、上告することなく、あらゆる問題について労使交渉の場で解決することを求める。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp