日本共産党

2004年3月19日(金)「しんぶん赤旗」

小泉「改革」

負担増に批判意見

参院予算委 公聴会で紺谷氏ら


大門議員が質問

 参院予算委員会は十八日、二〇〇四年度予算案に関する公聴会を開き、六人の公述人が意見をのべました。エコノミストの紺谷典子氏は小泉「改革」について「国民生活の健全性を犠牲にして財政の健全化を優先するのは本末転倒だ」と批判。景気の現状について、数値は多少改善しても小泉政権以前と比べると悪化したままで「重病人の小康状態だ」と指摘しました。(4面に要旨)

 日本共産党の大門実紀史議員が小泉「改革」の評価を尋ねたのに対し、紺谷氏は「国民の将来不安をあおって負担増や社会保障削減を“納得”させるやり方で『改革』を行うほど国民の不安は高まる。まず国民に安心を与えることこそが本当の改革だ」と答えました。

 連合の久保田泰雄副事務局長は政府の年金改悪案について、給付削減と負担増だけを先行させ、国民の年金不信を増大させると指摘。「年金空洞化が広がって財政悪化になる」として強く反対していくと表明しました。

 年金改悪案で生活保護水準にも及ばない国民年金がさらに削減されることを質問した日本共産党の大沢辰美議員に対し、駒村康平東洋大助教授は「指摘の点は非常に問題だ。名目価値が増えたとしても実質価値が下がり生活保護とのバランスが崩れる」とのべました。


参院予算委公聴会

国民生活犠牲の「改革」は本末転倒

エコノミスト 紺谷典子公述人の要旨

 十八日の参院予算委員会公聴会での紺谷典子氏(エコノミスト)の陳述(要旨)を紹介します。

 なぜ、「改革政権」が出てくるたびに国民生活は悪化し、国民の不安は高まるのでしょうか。国民のための改革ではないからだという疑いを強く持っています。緊縮財政・増税で財政再建に成功した国は一つもありません。バブル破裂以降の日本経済を振り返っても、緊縮財政をとると景気が悪化し税収が細ってより多くの国債を発行せざるを得なくなり、その結果さらに財政が悪化する事態を繰り返してきました。

 年金の問題も、景気対策をきちんとやり、経済回復を図ることが最良の方策です。社会保障制度の見直しは必要ですが、不況のなかで給付を引き下げ、保険料を上げるほど年金財政が本当に悪いのかどうか。政府は本当のことを公表していません。年金積立金が百四十七兆円といわれますが、厚生年金の代行部分三十兆円、共済年金の積立金五十兆円が含まれていません。年金財政の危機を実際以上に大きくみせかけて、給付の削減や保険料値上げを納得させるためではないかと考えたくなります。

 年金、医療、財政改革をみても、国民に痛みを求めてまで財政の健全化を図る。国民生活の健全性を犠牲にして財政の健全化を優先するのは本末転倒もいいところではないでしょうか。小泉政権でも財政改革の結果、税収が十兆円も減りました。九〇年代以降に減った二十兆円の税収のうち約半分をたった二年で減らしました。改革というのは名ばかりで、単なる国民負担増、社会保障の削減で、国民は何ら安心も安全も得ていないということです。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp