2004年3月12日(金)「しんぶん赤旗」
| マドリード列車爆破 |
【マドリード=浅田信幸】マドリードで十一日朝起きた列車連続爆破テロは、百七十人を超す死者と数百人の負傷者を出すスペインの最悪のテロ事件となりました。事件はスペイン国内はもちろん、欧州中に大きな衝撃を与えています。
各国政府や欧州連合(EU)指導部は相次いでテロ非難声明を発表。欧州議会のコックス議長は「スペイン史上最悪とEU加盟国での記憶に残る最悪のテロ行為」だとの非難声明を出しました。
スペインでは同日朝からテレビ各局が現場からの実況を続けており、とくに被害の多かったアトーチャ中央駅からは、次々に運び出される遺体、周辺にうずくまり放心状態の人々、顔中から血を流しながら救助員に抱かれるようにして救急車に乗り込む被害者など、生々しい状況が伝えられています。
政府はいち早く実行犯を北スペイン・バスク地方の分離独立を主張する組織「バスク祖国と自由(ETA)」の犯行だとする見解を発表しました。一方、ETAの政治組織バタスナは犯行を否定する声明を発表。一部にはアルカイダ説も流れています。犯人は現在のところ特定されたわけではありません。
しかし公式の選挙戦が開始された二月末と三月はじめにもマドリード近郊でテロ未遂事件があり、警察が爆発物を押収。政府はETAのしわざだと発表し、テロ問題と、これに関連した地方の分離独立の動き、スペインの国家としての統一の問題が選挙戦の大きな争点となっていました。
他方、アルカイダ犯行説は、スペイン政府が米国の対イラク政策に無批判に追従し圧倒的な国民世論に背いて昨年のイラク戦争を支持したことにも関連してのことだとみられます。
いずれにしても今回の事件が時期的には民主主義の最も重要な発揚の一つである総選挙という時期を狙ったものであることは明白だと思われます。これが有権者の投票動向に大きな影響を与えるのは必至です。