日本共産党

2004年2月28日(土)「しんぶん赤旗」

「命の重み 一顧だにせず」

松本被告に死刑判決

オウム事件で首謀者認定 東京地裁


 地下鉄、松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害など十三事件(別項)で殺人罪などに問われたオウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(48)の判決公判で、東京地裁(小川正持裁判長)は二十七日、十三事件すべてを有罪と認定、求刑通り死刑を言い渡しました。

 小川裁判長は量刑理由で「犯行の態様が人命の重さや人間の尊厳を一顧だにしない無慈悲かつ冷酷非情で残酷極まりなく、わが国や諸外国の人々を極度の恐怖に陥れた」と断罪。弟子に責任を転嫁する被告の態度を厳しく批判し、「犯行の回数、目的、社会に与えた影響、被害者感情などからすると一連の犯行の首謀者である被告人に死刑をもって臨む以外に道はない」としました。

 死者二十七人をはじめ、空前の被害をつくり出した「教祖」に、遺族や被害者は「法廷で沈黙を続け、事件の真相は今も闇に包まれたままだ」と怒りをぶつけました。

 地下鉄サリン事件被害対策弁護団の宇都宮健児団長は、松本被告の謝罪と教団の解散があれば被害者も少しは癒やされたのではないかと指摘したうえで、「未曽有のテロを防げなかった国、宗教法人を認可した東京都にも責任がある。政府は真っ先に被害者に手厚い保護をすべきだ」と強調しました。

 判決理由で裁判長は、十二人の死者、五千五百人以上の負傷者を出した地下鉄サリン事件について、松本被告がリムジン車内で故村井秀夫幹部に「総指揮を指示した」として、謀議の成立を認定。

 また、七人の死者、五百人以上の負傷者を出した松本サリン事件についても「サリンの殺傷能力を実験的に確かめ」「オウムの裁判をしている裁判官らを殺害するため噴霧を指示した」と指摘しました。

 坂本堤弁護士一家事件では「将来教団にとって非常な障害になるから『ポア(殺害)』しなければならないと幹部に一家全員の殺害を命じた」と認定しました。残る十事件についても松本被告の共謀を認めました。

 国選弁護団は、即日控訴しました。一連のオウム事件では、百八十九人が起訴され、松本被告は最後の一審判決。一審で十一人に死刑が言い渡されています。


判決を言い渡された13事件(時期、罪名)

 (1)田口さん殺害(1989年2月上旬、殺人)

 (2)坂本弁護士一家殺害(89年11月4日、殺人)

 (3)サリンプラント建設(93年11月〜94年12月、殺人予備)

 (4)落田さん殺害(94年1月30日、殺人、死体損壊)

 (5)滝本弁護士サリン襲撃(94年5月9日、殺人未遂)

 (6)自動小銃密造(94年6月〜95年3月、武器等製造法違反)

 (7)松本サリン(94年6月27日、殺人、殺人未遂)

 (8)冨田さん殺害(94年7月上旬、殺人、死体損壊)

 (9)水野さんVX(毒ガス)襲撃(94年12月2日、殺人未遂)

 (10)浜口さんVX殺害(94年12月12日、殺人)

 (11)永岡さんVX襲撃(95年1月4日、殺人未遂)

 (12)仮谷さん監禁致死(95年2月28日〜3月4日、逮捕監禁致死等)

 (13)地下鉄サリン(95年3月20日、殺人、殺人未遂)


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