日本共産党

2004年2月18日(水)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

所得税法改悪案の趣旨説明

3兆円負担増の一環


 衆院本会議で十七日、来年度予算案の歳入にかかわる国税関連法案(所得税法等「改正」案、公債特例法案)の趣旨説明が行われ、予算関連法案の審議が始まりました。

 「公的年金等控除」の縮小、「老年者控除」の廃止などの庶民増税の一方、大企業減税が盛り込まれています。小泉自公政権が計画している三兆円の新たな国民負担増の一環です。

 六十五歳以上の高齢者が受け取る年金に所得税を課税する場合、現行では所得控除の「最低保障額」となる百四十万円を差し引いた金額に課税します。これを公的年金控除の縮小によって所得控除の最低を百二十万円に引き下げ、課税ベースを大きくして増税にするものです。

 老年者控除は、六十五歳以上で給与などの合計所得が年間一千万円以下の場合、五十万円の控除を全廃します。

 両控除の縮小・廃止は所得税で二〇〇五年四月から、住民税で〇六年四月から実施。高齢者を狙い撃ちにした国民負担増となります。課税所得が増えるため、国民保険料や介護保険料の引き上げにつながるのも見逃せません。

 その半面、法人税制では、欠損金の繰越期間の延長や連結付加税の廃止など大企業減税が目白押し。大企業の減税分は、高齢者から吸い上げた税金で補う仕組みです。

 公債特例法案は、国民いじめ・大企業優遇の予算案の歳入不足を補てんする国債発行(国債依存率は戦後最悪の44・6%)を許容する内容であり、財政赤字をさらに拡大させるものです。


解説

年金生活者への増税で

国庫負担引上げ財源に

 今回の所得税法等「改正」案に盛り込まれた公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止は、年金生活者への増税によって、基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げる「財源」の一部を生み出そうというものです。

 そもそも、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げは、二〇〇〇年の年金改悪の際に、〇四年度までの実施が盛り込まれていたものです。政府与党は、その実施を〇九年度まで先送りしたうえ、年金生活者への増税でまかなおうというのです。

 これが、実施されると、六十五歳以上の夫婦世帯の課税最低額は、現行の二百八十五万五千円(年間)から二百五万三千円に下がります。夫の年金収入が二百五十万円、妻の年金が八十万円の世帯で、所得税が年間二・九万円の負担増になります。これに加えて、税法上の所得が増加することによって、住民税や国民健康保険料、介護保険料など新たな負担が増えることになります。

 今回の年金増税で基礎年金の国庫負担にあてられるのは、〇四年度で二百七十二億円、〇五年度以降は年間約千六百億円です。二分の一への引き上げには、二兆七千億円の「財源」が必要です。足りない部分を確保するため小泉内閣は、〇五年度から所得税の定率減税の廃止による庶民増税を計画し、さらに〇七年度をメドに、消費税増税を計画しています。今回の年金生活者への増税を皮切りにとめどもない増税路線が国民に押しつけられようとしています。(山岸嘉昭記者)


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