日本共産党

2004年2月14日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

年金「百年安心」言ってきたが…

厚労相「なかなか答えにくい」

山口議員が追及


 衆院予算委 政府の年金改悪法案は、国民の暮らしに深刻な影響を与え、将来不安を拡大し、景気にも深刻な影響を与えます。十三日の衆院予算委員会での、日本共産党の山口富男議員の質問で明らかになったことは――。

保険料の負担増17年度に4兆円

 法案では、会社員の加入する厚生年金保険料(現行13・58%、労使折半)を今年十月から毎年0・354%値上げし、二〇一七年度以降は18・30%で固定します。

 山口議員 平均的な収入の会社員の場合、今回の保険料引き上げによる負担増は本人負担分で、年間、どれぐらいになるか。

 坂口力厚生労働相 一年間で一万円程度引き上げる。

 山口 引き上げによる国の増収はどうなるか。

 坂口 一年分で〇・五兆円、被保険者分はこの半分だ。

 法案では、国民年金保険料を〇五年四月から月額二百八十円、毎年値上げします。坂口厚労相は、値上げが始まる〇五年度でみると、平年度ベースで「保険料収入の増加額は約四百億円だ」とのべました。

 山口氏は、一七年度には、厚生年金の保険料の増収分が現行と比較して三兆数千億円にのぼると指摘。坂口厚労相は「単純計算で、だいたいそうなる」と認めました。国民健康保険料の増収分と合わせると、十七年度以降は、現行と比べて四兆円を超える保険料負担となります。

 山口氏は、政府案で国の年金制度に対する不安、不満が「解消されない」という人が88・1%を占めている世論調査(一月二十九日付「読売」)も示しながら追及。小泉首相は「不安がないかといえば、ないという人は少ない。誰だって不安がある」と認めました。

大企業リストラ給付下げに拍車

 法案はまた、少子化など「公的年金被保険者数の減少」を理由に、給付水準を自動的に引き下げる仕組みになっています。

 山口 今度の法案で、給付水準は上がることがあるのか。

 坂口 少子高齢化社会でこれから人口は減っていく。掛け金のほうも上がるが、給付のほうも徐々に下がってくる。払う人の数が減るのだからやむを得ない。

 開き直る坂口厚労相に山口氏は、保険料収入が減っているのは「大企業がリストラや賃下げを実行しているのが大きな問題だ」と指摘。リストラを支援する政府の政策をただしました。

 山口 リストラ、賃下げ方針に歯止めをかけなければ、年金の給付水準は下がりっぱなしになるではないか。

 坂口 現在、解雇、リストラがあるのは事実だが、経済動向と関係するわけであり、いつまでも続くわけではない。

 山口 単なる経済の動向にとどまらない。雇用を抱えている大きな部隊(企業)が、新規採用を抑制している。

 山口氏は、青年の深刻な就職難と高い失業率が、年金制度の支え手を減らしていることを指摘し、そこに手を打たない給付水準の「自動調整」は、「マイナス調整にならざるをえない」と指摘しました。

「50%確保」は根拠もあいまい

 政府は、給付引き下げを合理化するため、厚生年金の「モデル世帯」(夫がサラリーマンで四十年加入、妻は専業主婦)を例にとって、現役世代の平均所得の「50%を確保」するとしています。その前提条件は、〇九年度以降、賃金上昇率2・1%、物価上昇率1・0%、積立金の運用利回り3・2%など、きわめてあいまいな条件にもとづくものです。

 山口 こういう数字が、今後百年間、確保される保証があるのか。

 坂口 百年先にどうなるかと言われても、なかなか答えにくい。

 山口 「百年安心だ」といっているが、それさえきちんと答えられないのはひどい話だ。

 山口氏は、小泉内閣の三年間だけ見ても、賃金は下がる一方で、可処分所得もマイナスであることを示し、「50%確保」の根拠もあいまいであることを明らかにしました。

 さらに山口氏は、保険料引き上げ、給付引き下げの「やり方が問題だ」として、法案が保険料の連続値上げ、給付水準の自動的な引き下げを、国会の審議ぬきで決める問題をとりあげ、「保険料値上げ、給付引き下げを国会の審議なしで決めることは許されない」とのべ、法案の撤回を求めました。


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