日本共産党

2004年2月13日(金)「しんぶん赤旗」

舞台芸術支援施策の改善・充実求める

文化審議会文化政策部会が提言


 文化審議会文化政策部会は三日、提言「今後の舞台芸術創造活動の支援方策について」を発表しました。一般紙はほとんどとりあげませんでしたが、芸術・文化団体の要望を反映した部分も少なくなく、注目される内容となっています。

現実の困難、支援の必要性

 第一に自主的な舞台芸術活動の困難を直視し、支援の必要性をのべていることです。提言は、「現に今日では、民間劇場の閉鎖などが見受けられ、創造活動の停滞が憂慮される事態が生じている」と指摘し、「稽古場等の活動場所の恒常的な不足や借料等の財政的な負担」という活動条件の困難をあげています。これらはかねてから要望され、党も国会でとりあげてきた問題です。

 提言は、舞台芸術創造活動が、「本質的に採算がとりにくい分野であ」り、「市場原理だけに委ねてしまうことは避けなければならない」とし、「国の施策として文化芸術活動への支援を充実させていく必要がある」と強調しています。

 第二に、国の支援策の改善・充実を求めていることです。昨年、「小泉改革」で芸術文化振興基金を扱う日本芸術文化振興会が独立行政法人化させられ、効率化や大幅な経費削減が迫られています。こうした動きのなかで、提言が「様々な芸術的価値の創造に挑戦する機会を多くの団体に多様な形で提供することが必要」として、幅広い団体への支援を担う芸術文化振興基金に光をあてていることは注目されます。

 また、現行の文化庁重点支援である文化芸術創造プランは、分野による偏りや主催公演に限定される問題が指摘されてきました。提言は、「創造活動の実態に即して、弾力的に考えていくべき」であり、「各分野一律ではなく、それぞれの分野の特性に応じた支援となるよう留意していくことが望まれる」として柔軟な運用を求めています。

 さらに、提言は民間劇場への支援や公的な高等教育機関の設置・充実までは踏み込んでいませんが、「基盤を形成するための事業への支援は、創造活動への支援と両輪をなすよう進めていくことが必要」と強調しています。昨年、現代舞踊協会と日本劇団協議会が、東京芸大に演劇・舞踊学科を求める署名を集め、話題となりました。人材養成機関やけいこ場の充実など条件整備は、国がもっとも力を入れるべきことであるのに、実際には行政でもっとも遅れた部分となっており、強化が必要です。

積極的内容を生かすよう

 一方、文化庁の来年度予算案が発表されました。昨年、文化庁の映画懇談会から提言があった映画フィルムの保存事業など一定の前進はありましたが、舞台芸術は、文化芸術創造プランの重点支援も単価の切り下げで微減、芸術文化振興基金への増資もありません。提言の積極的な内容を予算案や実際の施策に生かしていくことが必要です。

 提言は最後に、支援は「国から独立した公的な機関が行うのが適当ではないかとの意見」もあると紹介し、今後の支援について文化団体と協力して検討するよう求めています。政治がこうした声にこたえていくことが期待されています。

 (辻 慎一 党学術・文化委員会事務局次長)


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