2004年2月13日(金)「しんぶん赤旗」
アフリカなど世界で一億三千万人が犠牲になっているといわれる女性の性器切除に対し国連児童基金(ユニセフ)は廃止の呼びかけを強めています。今月ベラミー事務局長が声明を発表し、この風習をやめさせようと訴えました。国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルも、風習の非合法化を求めました。
外性器を切除したり縫合する風習は、尿路・骨盤感染、感染症を引き起こし、不妊、性交時の痛み、妊娠・出産時の障害につながります。
アフリカ二十八カ国、インドネシア、イエメンのほか、これらの国々から欧州諸国やオーストラリア、北米などに移民した人たちの間でも行われています。二〇〇二年の国連子ども特別総会では二〇一〇年までの廃絶の目標が設定されています。エチオピアの首都アディスアベバで昨年二月六日、三十カ国代表が参加して開かれた「女性と子どもの健康に影響をもたらす風習にかんするアフリカ諸国委員会」では、二月六日を「国際女性性器切除(FGM)不容認デー」とすることを決議しました。
ベラミー事務局長は、西アフリカのセネガルではユニセフと国内非政府組織トスタンの活動によって、六十万人が生活する千三百近い村々でこの風習に終止符が打たれるなどの成功例があることを指摘しながらも、まだ世界で年間二百万人の女性がFGMを受けていると指摘。「この風習は健康に重大な危険となっているばかりでなく、重大な人権侵害である」と廃止を訴えました。
アムネスティ・インターナショナルの声明は、「諸国政府には女性と少女の身体的、精神的に完全な状態を保護する責任がある」と訴えています。また、「FGMに反対する行動は女性を暴力から守り、社会で平等な地位を保障するための包括的なアプローチの一環でなければならない」とし、昨年七月に採択されたアフリカ女性の権利付属議定書の批准を訴えました。同議定書はFGM禁止を含め、女性の性と生殖のための健康権を保護することを決めています。