日本共産党

2004年1月21日(水)「しんぶん赤旗」

04春闘本番

大企業の横暴許すな

財界 空前の利益でも“賃下げ大合唱”

全労連、国民春闘委が行動開始


グラフ

 二〇〇四年春闘が本番を迎えました。日本の大企業が多国籍企業として本格的な海外展開をはかるために、従来の日本的労資関係をうち壊す一方で、定期昇給の廃止・縮小、さらにはベースダウンも明言しているもとでたたかわれます。

賃金体系改悪

 大企業・財界は、経済のグローバル化(地球規模化)のなかで、国際競争に日本の企業が勝ち抜くことを口実に、賃金体系改悪による賃下げや社会保障の削減を大胆にすすめようとしています。

 労働者・国民のくらしは、深刻さを増しています。平均年収は大幅にダウンし、〇三春闘でのベア・ゼロ、定昇廃止・縮小で四百四十八万円に低下。ILO(国際労働機関)が基準としている「貧困ライン」(平均年収の50%、二百三十万円)以下が24%、一千万人にものぼっています。

 賃金がその国でどれだけの商品が買えるのかという購買力平価で比較すると、日本の賃金はアメリカの70%、フランスの75%、ドイツの57%にすぎません。(グラフ)

 財界・日本経団連がくり返す「日本の賃金はトップレベル」どころか、低賃金構造は歴然です。

 こうした状態悪化がすすんでいるもとで、財界の春闘対策方針、日本経団連の「経営労働政策委員会報告」は「グローバル化のもとで日本企業が存立していくためには、あらゆる分野で世界に通用する仕組みを再構築」し、国内外の「ヒト、モノ、カネ、情報の活用」で国際競争力を強化していくとして、「賃金水準の調整」をするとのべています。「能力・成果・貢献度に応じた賃金制度に切り替えていくべきである」としています。

 「一律的なベースアップは論外であり、賃金制度の見直しによる属人的賃金項目の排除や定期昇給制度の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象になりうる」と、従来の「ベアは論外」の主張から、「ベースダウンも労使の話し合いの対象」と賃金「ダウン」へと初めて踏み込んでいます。

 日本経団連の奥田碩会長(トヨタ自動車会長)は、全国の経営者が春闘対策を話し合う「労使フォーラム」(十四日)の場で、「企業の存続や雇用の維持・確保を考えると、所得を増やして家計を豊かにするという選択肢は、非常に限られている」と強調。「企業もリストラにとりくんでいるように、家計も構造改革の痛みをこうむり、消費支出の見直しを模索すべきだ」とのべ、労働者と家族にいっそう“激痛”を押しつけています。

軒並みの増益

 日本の大企業は軒並み増益となり、空前の利益を拡大しています。

 とりわけ奥田氏が会長を務めるトヨタ自動車は、〇三年九月の中間決算でも八千百二十億円の連結経常利益を記録しました。

 〇四年三月決算は、〇三年三月決算の一兆四千百四十億円の経常利益を更新し、一兆六千億円という莫大(ばくだい)な経常利益をあげると見込まれています。

 上場企業全体では、二〇〇四年三月期に連結経常利益で過去最高を見込む企業が二割に達すると報じられています。(「日経」九日付)

 日本経団連の会長、十五人の副会長、評議員会議長を出している十七社について、〇二年三月期と〇三年三月期決算の連結経常利益を調べると、十七社中十五社が経常利益を増やし、十七社合計では、一兆八千五百八十九億円だった経常利益を二・九倍の五兆三千三百五十七億円へと増大させています。(表)

 ため込んだ内部留保も莫大です。全労連調べでは、〇三年の主要二十社の連結内部留保は三十九兆一千五百十三億円に達し、前年より二兆二百三十五億円も積み増ししています。トヨタ自動車の連結内部留保額は、〇三年度の国家予算の一割強、八兆五千二百二十四億円もの巨額です。

成果主義賃金

 従来の定昇=年功賃金の代わりに導入しようとしているのが成果主義賃金です。大企業各社はいま、年功賃金から成果主義賃金への本格的な置き換えをすすめています。

 成果主義では定昇という概念自体がなくなります。経営側は「努力して良い成果をあげれば報われる」といいますが、多くの場合賃下げがともなっています。総額人件費を削減しながら主観的・恣意(しい)的な評価で競い合わせ、労働者をばらばらにし、一方的な賃下げと“自発的な”長時間・過密労働を強制するのが成果主義賃金です。賃金決定権は完全に経営側に奪われます。

 経済同友会の北城恪太郎代表幹事は、六日の財界三団体の記者会見で、「人事制度そのものの改革、特に成果主義を主体とした人事制度にしないと、日本の企業の活力がでない。大胆に決断して実行していくことが大事だ」とあおっています。

 成果主義賃金がすでに導入された大企業の職場では、「実力が正当に評価されない」「個人目標だけを重視し、他人を助けない」「大局的な仕事をだれもしなくなった」と労働者が声をあげ、矛盾が広がっています。

 無法なリストラがあいかわらず続き、正社員を切り捨て、パートやアルバイト、派遣など不安定雇用への置き換えに拍車をかけています。

 大手スーパーの西友は十六日、正社員の25%にあたる千六百人の希望退職を募集する一方、大型店の副店長や社員を廃止し、店頭でのパート比率を85%以上に高めるというリストラ計画を発表しました。百貨店の松坂屋も、大阪の二店舗閉鎖に伴い、従業員の約一割にあたる三百八十人の希望退職を募集しています。

 「賃下げも、リストラも」という攻撃を強め、いっそうの大もうけの体制をつくりあげようとする大企業の身勝手がむきだしになっています。

未来を開こう

 財界と小泉内閣の攻撃に対し、全労連や国民春闘共闘委員会は「春闘で明日を変えよう、未来をひらこう」と九日、出足早く新春早朝宣伝行動に立ち上がりました。

 二十一日には、「闘争宣言行動」と位置づけ、〇四国民春闘での第一次の全国統一行動を展開します。中央段階では、日本経団連「経労委報告」への抗議とともに、大もうけのためには労働者・国民に犠牲を押しつけるトヨタ自動車など大企業包囲と国立病院・NTT・国鉄の三大闘争の共同行動をくり広げ、その社会的責任を明らかにしていくことにしています。

 連合は十六日、東京都内で中央闘争委員会を開き、「我慢も限界。雇用と生活のこれ以上の悪化は許せない」との「春闘開始宣言」を確認しましたが、三年連続でベア要求を見送りました。

日本経団連役員輩出企業の連結経常利益(億円)

 役員名 企業名 2003年3月期連結経常利益 2002年3月期連結経常利益
 奥田 碩(会長) トヨタ自動車 14140 11135
 槙原 稔(副会長) 三菱商事 7185 1161
 香西昭夫(同上) 住友化学工業 680 670
 千速 晃(同上) 新日本製鉄 688 167
 西室泰三(同上) 東芝 531 −3766
 樋口公啓(同上) 東京海上火災保険 1598 737
 吉野浩行(同上) 本田技研工業 6097 5513
 御手洗冨士夫(同上) キヤノン 3300 2815
 柴田昌治(同上) 日本ガイシ 159 145
 三木繁光(同上) 東京三菱銀行 −3602 −1858
 宮原賢次(同上) 住友商事 188 830
 庄山悦彦(同上) 日立製作所 968 −5860
 西岡 喬(同上) 三菱重工業 781 679
 出井伸之(同上) ソニー 1854 927
 武田國男(同上) 武田薬品工業 4051 3592
 和田紀夫(同上) NTT 14050 7182
 森下洋一(評議員会議長) 松下電器産業 689 −5480
 合計  53357 18589

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