日本共産党

2004年1月9日(金)「しんぶん赤旗」

「売り上げ減少」が7割

商業・流通の低迷は依然深刻

全商連 昨年下期の営業動向調査


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「改悪消費税凍結・大増税阻止」「不況打開」をアピールした全国中小業者総決起集会=2003年10月10日、東京・明治公園

 全商連(全国商工団体連合会)付属中小商工業研究所はこのほど、二〇〇三年下期の営業動向調査(同年十月実施)の結果をまとめました。製造業に持ち直しの動きが見られるなど、一部に「底離れ」の傾向が現れているものの、売り上げ・利益ともに依然として厳しい状態にあり、本格的な「底離れ」には遠い実態が明らかになりました。

 全体としては、売り上げに若干の回復傾向が見られます。前年同期比で売り上げが「増加した」のは7・7%で、前期(二〇〇三年上期)の7・6%と同程度ですが、「減少した」は72・7%で、二〇〇二年下期の81・6%、二〇〇三年上期の75・6%に続き、わずかですが改善しています。

 その結果、景気動向指標(DI値、売上高が「増えている」企業割合から「減っている」企業割合を差し引いた%)も、二〇〇二年下期の77・6から65・0と改善しています。

 なかでも、製造業のDI値は二〇〇二年下期の74・5を「底」に今期は51・0まで上昇。全体のけん引となっています。一方、流通・商業のDI値は二〇〇三年上期(70・3)に改善傾向が見られたものの、今期は79・2に悪化するなど、業種別に大きな差が現れています。

 こうした「底離れ」現象について全商連では、「輸出依存の他律的要因であり、流通・商業の低迷に示されるように国内消費をも巻き込んだ本格的『底離れ』とはいえない。自立的回復力を生み出す構造こそ期待されるべきである」と指摘しています。

消費税転嫁が経営上の問題

 経営上の困難点では、「仕事・顧客の減少」(63・5%)、「競争の激化」(28・5%)、「低い下請け単価」(26・9%)などが目立ちます。今期で特徴的なのは「消費税問題」で、前期の21・9%から27・1%に急増しています。二〇〇二年の「営業とくらし、健康実態調査」(全商連実施)では、消費税を「全く転嫁できない」「部分的に転嫁」が六割を超えています。四月から予定されている消費税免税点の引き下げ(三千万円から一千万円)が実施されれば、営業破壊が一気にすすむのは明らかです。

 また、経営上の対策では、「経費節減」「サービス強化」など、これまで力を入れられてきた項目が減り、逆に「特に何もしていない」が増えています。長期の不況で対策も限界に達していることが懸念されます。

長期不況の生活への影響

 一部に「底離れ」減少が見られるものの、依然として売上減少業者が全体の七割を超えており、長期の不況が及ぼす生活への影響は深刻です。

 生活に困っていることの第一位は「国保の保険料の支払い」で36・3%、「生活費」28・1%、「介護・病気」18・4%と続きます。国保料については、全体の16・6%が「滞納が有る」と回答。なかでも四十代がもっとも高く、四人に一人の24・5%が滞納です。

 こうしたなか、本業以外の副収入で所得を補う様子もうかがえます。とくに副収入として「パート・アルバイト収入」への依存が、調査を始めて以来もっとも高い14・7%となっています。

 「ひとこと」欄には、業者の苦しい実態がつぶさに書きこまれています。「単価はあってないようなもの。適正な単価工事は行われていない。ひどい所は原価で工事をして人件費は持ち出し、倒産は時間の問題で自転車操業の工事会社は多く有ります。政府として単価是正に直接介入が必要」(設備工事業)、「単価が低く、何とかやっているのが現状です。仕事はありますが、同じ時間働いても前の三割は確実に少ないです」(輸送機器)、「消費税滞納あり。分納しているが、とにかく負担がきつい」(繊維工業)、「消費税が上がったら廃業するしかない」(電気機器)、「赤字でも払わねばならないような消費税は廃止にしたい!」(金属製品)など、単価低迷や消費税に怒りが噴出しています。


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