日本共産党

2003年12月27日(土)「しんぶん赤旗」

徳山ダム

建設容認の不当判決

岐阜地裁 水需要予測見直し提言


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 徳山ダム(岐阜県藤橋村に建設中)の事業認定取り消しを求めた裁判(被告・国土交通大臣)と、岐阜県知事らにたいし、同ダム事業費用負担の一部について公金支出差し止めを求める裁判で岐阜地裁(林道春裁判長)は二十六日、公金支出差し止めについては原告の請求を「却下」、事業認定取り消しと収用裁決取り消し請求についてはいずれも「棄却」の不当判決を下しました。

 数分間の主文が読み上げられた後、傍聴席から「そんな判決があるか。きちっと判断しろ」と怒りの声があがりました。

 判決は、「適法性判断の基準時」を建設大臣が事業認定した一九九八年十二月二十四日とし、「その時に存していた事実を基礎として判断」。最大の争点であった水需要予測について「当時においては建設大臣の裁量の範囲を逸脱するものではない」としつつ、「現時点においてはウオータープラン21の水需要予測の方がより合理的」「水資源機構としては、早急に水需要予測を見直し、最終的な費用負担者である住民の立場にたって、水余りや費用負担増大等の問題点の解決に真摯(しんし)に対処することが望まれる」としました。

 同日午後から原告ら十八人が岐阜県知事に事業費増額への同意撤回などの申し入れを行いました。水資源対策室長が応対しました。

 裁判所が訴えを棄却しながらも判決の付言として現段階における岐阜県などでの水余りを認めている事を指摘。これまでの水需要予測の誤りを直視し科学的な水の需給調査を行い事業の必要性を洗い直すこと、大垣市の水害問題への抜本的対策に早急に取り組むことなどを求めました。


 徳山ダム 水資源開発公団(現水資源機構)が岐阜県藤橋村(旧徳山村)の揖斐川上流で建設を進める多目的ダム。ロックフィル(石塊えん堤)式で高さ百六十一メートル、総貯水容量は六億六千万トンで国内最大級。利水、治水、渇水対策、発電を目的に、一九五七年に計画され、七六年に事業認可。二○○○年五月に本体工事が着工、既に約三分の一ができている。総事業費は膨らみ続け、三千五百億円。完成予定は○七年度末。


水余りは明らか/運動さらに 報告集会

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横断幕を掲げ裁判所に向かう原告・弁護団=26日、岐阜市

 徳山ダム裁判の判決をうけ、原告と弁護団は二十六日、岐阜県弁護士会館で報告集会を開きました。

 在間正史弁護団長は「判決は、被告側の書類をそのまま写したに等しいもので、不当な判決だ。しかし、一九九八年の事業認定時にはよかったが、現時点においては合理的でないとすることを付言した。この判断に立つなら、判決の判断は否定される。いまフルプランの改定作業に入っているが、水余りは明らか。今後、フルプランの改定のなかで徳山ダムの中止へと運動をすすめていかなければならない」と述べました。

 原告の一人、上田武夫・徳山ダム建設中止を求める会代表は、「あちこちで、ダムの中止がされているのに、時代錯誤もはなはだしい。これで納得するわけにはいかない。控訴していく」。

 原告の近藤ゆり子同会事務局長は「これ以上工事を進めることなく、凍結してほしい。これからもさまざまな運動を形成していきたい。皆さんのご支援をよろしくお願いします」と訴えました。



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