日本共産党

2003年12月4日(木)「しんぶん赤旗」

イラクへの自衛隊派兵――
この歴史的暴挙をくいとめる行動に立ちあがろう

二〇〇三年十二月三日 日本共産党第十回中央委員会総会


 イラクの状況が悪化し、日に日に泥沼化の様相を深めています。イラク国民の意思を尊重した復興のために、国際社会の道理にたった努力がいまつよくもとめられています。ところが、小泉内閣は、米国からもとめられるまま、イラクへの自衛隊派兵を強行しようとしています。これは、イラク国民にとっても、日本国民にとっても、とりかえしのつかない災いをもたらす最悪の選択です。日本共産党は、平和を願う国民のみなさんに、この歴史的暴挙をくいとめるための行動にたちあがることを心から呼びかけます。

(1)

 イラクの状況は、米英軍当局自身が「イラク全土が戦争状態」と認めざるをえないほど、深刻化の一途をたどっています。十一月二十九日には、日本人外交官二人が殺害されるという痛ましい事件も発生しました。米英軍兵士の死者は五百人近くを数え、十一月の死者は八十人と、開戦後最悪の事態となりました。米英以外の駐留軍も、イタリア、スペインなどすでに四十人近くの犠牲者がでています。被害は、国連や赤十字の施設・関係者などにもおよんでいます。そして何よりも、この戦争によって万をこえる罪なきイラクの民間人が殺されていることは、きわめて重大です。

 こうした深刻な泥沼化をまねいた根本原因はどこにあるでしょうか。米英軍がおこなったイラク戦争が国際法を無視した無法な侵略戦争であったこと、その後も米英主導での不法な軍事占領支配がつづいていること――このことがイラク国民の怒りと憎しみをよびおこし、暴力とテロの土壌をひろげる原因となっているのです。

 イラク問題の道理ある打開の方向は明りょうです。一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道復興支援にきりかえること、その枠組みのもとでイラク国民にすみやかに主権を返還し、米英軍を撤退させること――このことこそ道理ある解決の道筋です。国際社会の大多数も、この方向での解決を強く願っています。いま日本にもとめられているのは、そのための自主的な外交努力です。

(2)

 ところが、小泉内閣は、こうした道理ある解決のための努力はいっさいおこなわず、「テロにひるんではならない」と、自衛隊派兵に固執する態度をとっています。

 しかし第一に、米英占領軍を支援するために自衛隊を派兵することは、イラクにたいする無法な侵略戦争と不法な占領支配に、軍事力をもって加担することになり、そこには何の大義もありません。

 民間人を無差別に殺傷するテロが許されないのは当然です。しかしイラクでテロと暴力の荒廃がまん延する事態をつくりだしているのは、無法な侵略戦争と不法な占領支配です。これこそ事態を悪化させた根源です。この不法な占領支配に、日本が軍事力をもって加担することは、米英軍の軍事占領に反対しているイラク国民はもちろん、イスラム諸国民全体から、日本が憎しみの対象とされるという、とりかえしのつかない結果をもたらすだけでしょう。日本が不法なテロの標的となる危険をみずから招きよせることにもなります。

 第二に、イラクへの自衛隊派兵が、「戦争はしない、軍隊はもたない」ときめた憲法九条を正面からふみにじる暴挙となることは、いまやだれの目にも明らかです。イラクの現状のもとで、イラク派兵法の「戦闘地域には送らない」という建前が、いよいよ通用しない虚構であることは、日本の外交官のいたましい犠牲がしめしています。イラク全土が戦場化するもとで、米英の軍事占領を支援する自衛隊は、文字どおり占領軍の一部となり、攻撃の対象とされることは避けられません。

 このままイラク派兵を強行するなら、日本の軍隊が戦後はじめて他国の領土で他国民を殺害するという、恐ろしい道に日本を引き込むことになります。また、戦後はじめて自衛官から戦死者を出すという事態に道を開くことになります。小泉首相のいう「殺し、殺されることになる」という発言が、現実のものとなるのです。自衛隊員やその家族のなかから、「自衛隊に入隊したのは、イラクに行くためではない」など、不安の声があがっているのは当然のことです。

 この歴史的暴挙を、絶対に許すわけにはいきません。

(3)

 いま日本は、歴史の重大な岐路にたっています。恥ずべき戦争と占領への本格的加担の道を選ぶのか、憲法九条を生かした平和の道を選択するのかが、問われています。

 「イラクに自衛隊を送るな」「憲法九条をまもれ」の国民的世論と運動を、ただちに広げましょう。宣伝、署名、デモ、集会など、草の根からの取り組みを、いまこそ日本列島のすみずみからおこそうではありませんか。

 日本共産党は、党創立いらい八十一年間、命がけで反戦・平和をつらぬいてきた党として、国民のみなさんとともに、この歴史的暴挙をくいとめるために全力をあげて奮闘するものです。


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