日本共産党

2003年11月28日(金)「しんぶん赤旗」

国立病院の賃金職員守れ

来年3月末の切捨て狙う 厚労省は無責任


 全国の国立病院が来年四月から独立行政法人に移行するのにあたり、厚生労働省が「賃金職員」とよばれる定員外非常勤職員の雇い止め・パート化、民間業者への業務委託を打ち出しています。独立行政法人化の対象となる百五十四病院では六千人以上の「賃金職員」が地域住民・患者の医療を懸命に支えています。「賃金職員」制度が導入され、拡大されてきた歴史とその勤務の実態をみれば、厚生労働省の仕打ちは、賃金職員をまともな人間として扱わず、安心・安全な医療を求める国民の切実な願いに背を向けることがはっきりします。

医療サービス低下は必至

 来年四月一日からの独立行政法人化にともなって、そこで働く賃金職員の雇用継続は、大きな問題となってきました。坂口力厚生労働大臣は、「(賃金職員は)お気の毒な立場」(二〇〇二年十二月、国会答弁)、「賃金職員は中途半端な立場。誰が考えたのか。なくすべきだと思っている」(二〇〇三年十月九日、国会答弁)などと無責任な答弁を繰り返してきました。

 全国の賃金職員から、「気の毒だと思うなら、ちゃんと正職員にしてほしい」「中途半端というが、そんな制度を拡大してきたのは、厚生労働大臣、あなたの責任なんだ」と怒りの声があがっているのも当然です。

 いまでも、国立病院の職員数は、圧倒的に不足しています。

 全医労(全日本国立医療労働組合)が実施したアンケート調査でも、賃金職員のうち、40%が十年以上勤務しています。「長年劣悪で、差別的な労働条件のもとで国立病院の医療を支えてきた賃金職員にたいして、謝罪の言葉の一言もして、全員正職員にすることこそ、当然です」(全医労保木井秀雄委員長)というのは、国立病院で働く職員に共通する思いです。

 賃金職員を含めて、患者の治療、サービスがギリギリ維持されているのが現状です。これが切り捨てられると運営に重大な障害がもたらされ、住民、患者の医療サービスが低下するのは必至です。

 ところが厚労省は、そんなことにはおかまいなく、賃金職員全員を来年三月末で雇い止めにし、看護師の賃金職員のうち、夜勤可能な職員だけは試験のうえ正職員にするものの、それ以外は正職員化の道を閉ざし、「短時間パートになるか、業務委託先へのあっせんも考える」ということを一方的に通告。二十五日、二十六日と全国で看護師以外の賃金職員への説明をおこない、「パートでの再雇用を希望する者は、十二月二日までに申し出よ。四日に採用試験を実施し、八日に合否を発表する」と迫っているのです。

 「厚労大臣、あなたには血も涙もないのか」という悲痛な声があがっています。国民の命と健康をあずかる厚労省がその直接指導する病院で、効率第一主義を徹底し、労働条件の向上と雇用状況の改善に責任を負う厚生労働省みずからが六千人もの雇い止めを強行し、不安定な雇用への置き換えを率先して行うなどは、許されることではありません。

夜勤や残業も正職員と同様

賃金職員の数
職種人数
事務職405
看護助手、調理師、
ボイラー技士など
現業職
1,966
検査などの技師244
看護師3,604
保育士326
その他10
6,555
(2003年7月1日現在)

 「賃金職員」とは、「非常勤職員」といわれているものの、正職員とまったく同じ資格、責任をもち、夜勤や残業も含めて正職員と同様の働き方をしている職員のことです。

 看護師のほか、看護助手、検査助手、医療事務、調理師、ボイラー技士、保育士などさまざまな職種があります。(表参照)

 「賃金職員」は、国家公務員の定員を定めた「総定員法」の枠内では国民のもとめる医療要求にこたえることができないために、人件費以外の物件費から費用を捻出(ねんしゅつ)して雇用された「定員外」職員です。

 初めて国立病院に賃金職員が導入されたのは一九六七年。七十人でした。「次年度には全員を定員化する」(厚生省)との言明とは反対に、定員削減の強行と、医療技術の高度化と国民の医療要求の高まりという矛盾の拡大を埋めるために、賃金職員は膨れ上がります。

 当初、国家公務員法や人事院規則にも明確な定めがないことをさいわいに、厚生省(当時)は通勤費もボーナスも、年休もいっさい与えず、劣悪で不安定な労働条件で働かせていました。

 賃金職員は全医労に加わって正規職員とともに待遇改善をもとめて運動し、病院ごとに労使協議で労働条件の改善をさせてきました。



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