日本共産党

2003年11月25日(火)「しんぶん赤旗」

シリーズ どうなる年金

現受給者の給付水準

10年後は1割減

厚労省案で試算… 結果に言葉失う

東京・府中 北村さん夫妻のケース


 厚生労働省の年金改悪案で、いま年金で暮らしているお年寄りにどんな影響が出るのか―。同案にもとづいて試算してみると、十年後にはいまより一割も年金水準が下がることが明らかになりました。東京・府中市に住む元共働きの北村寛さん(73)、玲子さん(68)夫妻のケースで、暮らしはどうなるか見てみました。

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物価下がり給付減

 年金改悪案は、現在年金を受けている高齢者の年金水準も引き下げていくために、「マクロ経済スライド」調整なるものを盛り込んでいます。これは物価が下がった場合には年金を減らす一方で、物価が上がったときは「調整」して、年金給付額の上昇を抑えるというものです。

 今年度の北村さん夫妻の年金は、寛さんが年二百三十四万八千八百円、玲子さんが同百五十六万八百円です。〇二年に物価が0・9%下がったという理由で、〇三年度はその分が減額されました。その結果、年額で寛さんは約二万一千円、玲子さんは約一万四千円減らされています。

 さらに厚生労働省は、一九九九年から三年間の物価下落のスライド凍結分、1・7%の年金引き下げを打ち出しました。来年度一気に実施されると、〇三年の物価下落分0・4%と合わせて2・1%分の年金を削減することになります。実施されれば、新たに二人分で年八万二千円の減額になります。

 その後も厚生労働省案通り実施されていくと、物価は〇四年は0・3%下落しますが、その後は上昇し、二〇一三年度にはいまより約7・9%上昇。一方、年金額はいまより約1・8%も下げられたままということになります。年金水準は、いまより約一割も下がってしまいます。

 電卓をたたいて計算した寛さん。試算結果に口をポカンと開けたまましばし言葉を失いました。そしていいました。

 「これはすごいねェ。『自分はまだましだ』なんて思っている人が多いと思いますが、とんでもない。怒りの声を上げないと絶対ダメだ」

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医療、介護負担は増

 一方、この間、医療費や介護保険料の負担は増加しています。とくに昨年十月の老人医療改悪と、今年四月の健保三割負担が家計を圧迫しています。

 内科や整形外科などに通院している玲子さん。国保の退職者医療ですが二割負担が三割負担になって、医療費は一・五倍増。月一万円近くかかるようになりました。寛さんも歯科に通院し、四カ月にわたって月一万円近くかかりました。改悪前の三倍近い負担増です。

 「選挙中、公明党は『いまもらっている年金は下げません』というビラを出していましたが、うそだということですよね。改悪案の内容を一刻も早く広く国民に知らせることが必要だと思います」と寛さんは話しています。


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