日本共産党

2003年11月16日(日)「しんぶん赤旗」

会長の決裁印

武富士 盗聴会社への報酬

本紙が稟議書入手

他幹部も了解


 サラ金大手「武富士」(東京都新宿区・武井保雄会長)の盗聴事件で、同社幹部に依頼され盗聴を実行した「アーク横浜探偵局」代表重村和男容疑者(57)にたいし、武富士が社内決裁のうえ報酬を支出していたことが十五日までにわかりました。本紙が入手した稟議(りんぎ)書と添付メモのコピーには武井会長の印鑑がありました。


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調査会社に支払いをするための武富士の稟議書と添付メモのコピー。武井会長の決済印があります

 同社に批判的なジャーナリストや元社員の自宅の電話を盗聴していたこの事件では、武富士の元法務課長中川一博容疑者(42)や元専務小瀧国夫容疑者(61)らが逮捕されており、中川容疑者は、盗聴は武井会長の指示で行ったと陳述しています。

 本紙が入手したのは、「アーク」に報酬を支払う稟議書計十二枚。二〇〇〇年八月−〇三年三月の分で、ジャーナリスト宅盗聴の時期、元社員らを盗聴したと中川容疑者が陳述する時期と符合します。金額は合計で約千七百万円。

 稟議書には、広報、法務などの担当者、担当役員と、「経理部長」「審査部長」「法務課長(中川容疑者)」の印鑑が押されています。〇〇年九月までの三枚は武井会長の決裁印があり、「常務会決裁済」の印もありました。

 〇〇年十二月以降の稟議書には武井会長の印鑑はありませんが、代わりに同額の金額を書き、武井会長の印鑑を押したメモがありました。

 中川容疑者は別事件の法廷でこれらは盗聴行為の稟議書だと陳述。「(幹部が承認印を押すのに)内容はどうでもいい。武井氏が二百十万支払うと了解したかどうか。武井氏のはんこで、幹部も了解していた」「武井氏にはんこをちょうだいし、その後各部署にはんこをもらった。メモに武井氏のはんこがあるのは、武井了解を裏付けるものとしてもらった」とのべています。

 稟議書には「人事調査費用支払い」「企業信用調査費用支払い」などと記されています。

 印鑑をおした武富士関係者の一人は、「中川容疑者がおしてくれと持ってきた。中身は知らない。武富士では、何百万もの臨時の現金払いは、会長の承認が必要。(承認が)なければ、(会長の直接指示で動く)中川容疑者といえども、経理が出さないだろう」と話します。

 「中川容疑者は『会長の決裁は取った』と言っていた。具体的な説明はなかった」と話す同社関係者もいます。警視庁捜査二課は十五日も前日につづき武富士本社を家宅捜索。調査費用が決裁された経緯など、武井会長らの関与について調べをすすめています。


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