日本共産党

2003年11月16日(日)「しんぶん赤旗」

コイヘルペスウイルス

01年、英で日本産が感染

農水省は知りつつ対策とらず


 全国各地に広がるコイヘルペスウイルス(KHV)感染問題で、英国で二〇〇一年に感染したコイが日本産だったとして、英国が日本からの輸入停止をしたにもかかわらず、農水省は当時、詳しい調査や対策などをおこなっていなかったことが十五日までにわかりました。

 新潟県内水面試験場病理環境課の調査報告によると、日本でのコイヘルペスウイルスの感染が指摘されたのは二〇〇一年に開催されたヨーロッパ魚病学会の国際会議。英国でのコイヘルペス発症例として「輸入された日本のニシキゴイがKHV症の発生を引き起こした」と報告され、日本から英国へのコイの輸出がストップしました。

 コイヘルペスウイルス感染・発症はそれまで日本国内ではないことになっており、本来なら徹底的に調査して感染ルートを特定し、対策をとるべき事態でした。

 しかし、農水省消費安全局衛生管理課などによると、当時コイヘルペスは怖い病気だと知っていたものの、日本国内の感染状況など調査をおこないませんでした。当時、「発症例がない」とし、「輸入時に感染していた証拠があるわけではない」という判断で、コイ輸入にも対策がとられませんでした。

 輸入したコイから感染した疑いがあったにもかかわらず、法律で輸入時に感染の有無について証明書を義務付けたのはやっとことしの七月でした。

 新潟県内水面試験場は昨年十二月に「県内ニシキゴイのコイヘルペスウイルス保有調査」を実施しました。この報告では、「ニシキゴイの養殖は、国内需要の冷え込みから輸出に依存する傾向が強いが、最近、日本のニシキゴイがKHVを保有しているとの疑いがもたれ、輸入国政府あるいは受入業者がKHVの無病証明を要求する事例が増加してきている」と指摘。「二〇〇二年にアメリカ合衆国で、インターネット販売された新潟県産のニシキゴイを愛好家が購入したところ、飼育池でKHV症が発生するという事例が数件生じた」として、ウイルスの保有調査の必要性を強調していました。

 それでも農水省は、日本全国のコイヘルペスウイルスの感染調査なども行わず、国内で同ウイルス感染被害の拡大防止策もとられませんでした。


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