日本共産党

2003年11月13日(木)「しんぶん赤旗」

「日韓併合」を正当化、開き直り

植民地支配を「人道的」と美化

石原都知事発言に内外から批判の声


 東京都の石原慎太郎都知事が、戦前の日本の朝鮮半島の植民地支配(日韓併合)を正当化し、免罪する発言をくり返し、国内外から大きな批判を浴びています。


 石原知事は、これまでにも、日本の侵略戦争を美化し、韓国人・朝鮮人、中国人をはじめ、アジア諸国の人々をべっ視、侮べつする言動をくり返してきました。

 十月二十八日、都内で開かれた集会で石原知事は、日韓併合(別項参照)について「決して武力で侵犯したんじゃない」、「彼らの総意で行われた」、「どちらかといえば彼らの先祖の責任」などと発言。同月三十一日の記者会見でも、「日本がやった植民地主義は、人道的で、人間的だった」などと開き直り、今日に至るまで、発言の撤回も謝罪もしていません。(語録参照)

 日本の朝鮮半島支配は、“武力侵犯でなかった”などと言えるものでは決してありません。

 一八九五年、当時、朝鮮の王妃だった閔妃を、日本の公使・三浦梧楼の指示によって王宮に乱入した日本人が惨殺した事件をはじめ、軍事力による脅しで支配を拡大。

 「日韓併合条約」は、韓国政府や国民の反対を抑えこむために、陸上で騎兵と歩兵の部隊が二千数百人、海上で艦隊が示威行動をおこない、首都ソウルを戒厳下においたもとで結ばれたものです。

 創氏改名、神社参拝、宮城(いまでいう皇居)遥拝、国旗掲揚、君が代普及など、民族の誇りを奪った日本の支配に対し、激烈きわまる弾圧のもとでも、朝鮮半島で命がけの独立運動が行われたのは、日韓併合が石原氏の言う「彼らの総意」ではなかったからなのです。

 歴史の真実をねじ曲げ、日本の侵略を美化する石原発言に対し、日本共産党都議団は十月三十一日、「戦前の日本帝国主義による朝鮮半島の植民地支配という歴史的事実をゆがめるもの」、「都知事として断じて許せるものでない」と批判し、発言の撤回・謝罪を要求。

 在日本大韓民国民団(民団)や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が二十九日、「韓民族の心情を強く踏みにじる」、「荒唐無稽(むけい)な妄言」として、発言の撤回と謝罪を要求。民団東京都本部が七日、都庁前で四百人の抗議集会を開いたのをはじめ、撤回・謝罪を求める抗議行動が広がっています。

 韓国では、外交通商省が「日本の責任ある政治家が誤った歴史観に基づき、時代に逆行するような発言をしたことに深く失望せざるを得ない」との論評を発表。新聞各紙は、石原知事の発言を批判し、「あなた方の本音なのか」(中央日報)と日本社会に問う社説を掲載しました。(別項2参照)

 日本大使館前での抗議行動も続いています。

 歴史の真実をゆがめ、アジア諸国との友好関係を断ち切る石原知事の暴言を許容するのか。日本社会に問われています。(中村圭吾記者)


日韓併合条約

 一九一〇年八月、日本が当時の韓国を「併合」し、同国にたいする植民地支配を本格化した条約。日本政府は第二次大戦後、“「条約」は合法的に締結された”という立場を崩さず、一九六五年の日韓条約交渉で、「併合条約」を無効とはしたものの、植民地支配が不法であったことは認めませんでした。

 九五年十月十七日の参院予算委員会で村山富市首相(当時)は「当時の力関係の背景を考えた場合、けっして平等に結ばれたものではない」とのべています。


韓国各紙 社説で告発

「日本国民の代弁か」

 「石原妄言」日本国民の代弁か 朝鮮日報(電子版)社説 十月二十九日付

 日本国民は石原都知事を通し、一体どんなメッセージをアジア諸国に伝えようというのか。過去の侵略の歴史を消し去ることで、新たな侵略の可能性を開拓したい欲求を、石原都知事が代弁していると受け止めてもいいというのか。

 そうでなければ、日本国民はもう「石原シンドローム」を整理しなければならない。日本は、石原都知事のような政治家が幅を利かすよう放置しておく限り、アジア国家との和合はあきらめざるを得ず、世界の指導国はおろか、「異質国家」として空回りするほかないだろう。

 石原都知事のふらちな妄言 韓国日報(電子版)社説 十月三十日付

 政府が合併条約にはんこを押したから、国民が望んだものじゃないのかと言うなら、数多くの愛国烈士たちの殉国と義兵たちの蜂起、そして最後まであきらめなかった独立運動と光復軍闘争を、どのように説明するのか。(略)

 公の席で特定国家に対して憎悪にみちた言葉をこぼす癖は公人としてのマナーではない。すればするほど彼の人気があがる日本社会の雰囲気がもっと心配だ。

 石原都知事の妄言は日本の恥 中央日報(電子版)社説 十一月三日付

 われわれは、日本国と日本社会に厳しく問いたい。そうした妄言が、あなた方の「本音」なのか。(略)

 現在、アジアは、躍動的気運に満ちている。民主主義的制度と精神も広がりつつある。こうした状況の中で、日本が、過去についての反省と懺悔(ざんげ)なしに、再び極右の妄想にとらわれるとすれば、それは、日本だけの退嬰(たいえい)を意味するだけだ。

 日本の良心が日本を救わなければならない。日本が誤った過去の歴史を反省し、アジアの周辺諸国を尊重、世界と共存できる正常な国家になるよう期待したい。


石原知事語録

 総意で合併 先祖の責任 「私たちは決して武力で侵犯したんじゃない。むしろ朝鮮半島の国々が分裂してまとまらないから、彼らの総意で、ロシアを選ぶか、シナを選ぶか、どっちにするかということで、近代化著しい同じ顔色をした日本人に手助けを得ようということで、世界中が合意した中で日韓合併が行われた」

 「私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはない。彼らの感情からすればいまいましいし、屈辱的でもありましょう。しかし、どちらかといえば、彼らの先祖の責任」(十月二十八日、都内で開かれた集会で)

 日本の植民地主義は人道的、人間的 「(フランスのインドシナ半島支配やアメリカのフィリピン支配)こういったものに比べれば、日本がやった植民地主義というのはまだ人道的で人間的だったと思う」(十月三十一日、都庁記者会見)


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