日本共産党

2003年11月11日(火)「しんぶん赤旗」

日産のリコールけた外れ

共通部品欠陥で拡大

部品検査、抜き取りだけ

コスト削減で安全軽視


 自動車メーカーがコスト削減策の一環として、車種や排気量の違いにもかかわらず採用する「共通部品」の欠陥が、けた外れのリコール(無償回収・修理)を生んで問題になっています。(遠藤寿人記者)


 日産自動車(東京・中央区)は先月三十日、二十五車種に採用されたエンジンの回転センサーに欠陥があり、走行中にエンストする恐れがあるとして、百二万五千七百二台のリコール(無償回収・修理)を発表しました。輸出車も含めると全世界で二百五十六万台と空前の規模でした。

 リコール対象車種は「サニー」「マーチ」「キューブ」「ブルーバードシルフィー」「ウイングロード」「スカイライン」など二十三車種。日産の全三十一車種の74%に及びます。これに、同社が相手先ブランドによる生産(OEM)をするマツダ「ファミリア」、スバル「レオーネ」の二車種が加わります。国土交通省リコール対策室も、共通部品による被害規模の広がりに「リコールの様相が変わる」と驚きを隠しません。

ハンダ付け不良

 問題の回転センサー(カム角センサーとクランク角センサー)は、日立ユニシアオートモティブ(神奈川・厚木市)製。エンジンの熱によってハンダが変形、回路ショートで正常信号が発信されなくなる危険があります。日産本社広報部によると、昨年十二月から「エンジンがかからなくなった」などの訴えが二百十五件。事故に至った例はないもののセンサー不良は、走行距離三万キロ程度で発生しているとしています。

 二〇〇一年十一月にも同じ部品メーカー製の同じ回転センサーのハンダ付け不良で日産は、三十万二千台のリコールを出しました。ところが、部品メーカーは抜き取り検査しか実施していませんでした。今後の対策として同社広報部は「二十倍の拡大鏡を使い基板部の全数完成検査を実施する」といいます。また、急を要する欠陥のため「三カ月で回収・修理をやりきる」方針で対策費用は百五十億―百六十億円。

 電子部品に詳しい技術士は「電子部品業界で鉛と錫(すず)の合金であるハンダは欠陥、不良の原因になりやすい鬼門だ。温度、湿度、振動と環境条件の変化が激しいエンジン部では、厳しい安全対策が求められるのは当然だ」と指摘します。

排気量違うのに

 自動車メーカーにとって共通部品の採用は、部品メーカーを絞り、部品を大量生産することでコスト削減になり、種類が少なく品質管理がしやすいなどのメリットがあります。同社広報部は「共通部品の採用は、コスト削減と競争力強化など効率を上げるためのもの」といいます。

 しかし、自動車メーカーの設計労働者はこう指摘します。

 「部品は一番安いところに発注するという世界最適地調達がおこなわれ、コスト削減の目標値は、毎月変わる。一度、品質が保証された部品でも、安くするために材質を改良する。見た目には違いが分からない」

 また、今回リコールの対象エンジンは五機種で、千t「サニー」から、四千五百tの「シーマ」まで排気量が違うのに共通部品が使われていました。設計労働者は、「エンジンの種類や排気量によって振動や発熱量は当然異なる。共通化するうえでそれに耐えうるだけ品質が幅広く保証されているのかが問題だ」と指摘します。

 同社は、九月中間決算で史上最高、四千十一億円の営業黒字を記録しました。その一方でユーザーの安全が脅かされる欠陥車が出回っていたのです。


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