日本共産党

2003年11月7日(金)「しんぶん赤旗」

日本の女性は働きづらい

OECDが調査、是正勧告

仕事と家庭両立困難、保育施設が不十分


 経済協力開発機構(OECD)は四日、日本の劣悪な労働条件を鋭く指摘し、男女格差の是正を勧告する報告「子どもと上司 仕事と家庭生活のバランス」を発表しました。出生率の低下により将来の労働力不足をどう回避するかとの問題意識からオーストリア、アイルランド、日本の三国を対象に「仕事と家庭の両立を図るための政策」を調査、比較したものです。(パリで浅田信幸)

 報告は総論部で「日本での長時間労働の習慣は、他のどの国にも増して、母親が無報酬の家事の大半をこなさなければならない状況を生み出している」と指摘。教育レベルで男女差がなくなっているにもかかわらず、「出産は女性労働力の動向を決定する主要因になっている」とし、日本の母親が不利な状況に置かれている事実に注目しています。

 母親支援の政策では、子どものいる世帯への公的支出が国内総生産(GDP)に占める割合で、オーストリア3・3%、アイルランド2・1%に対し、日本はわずか0・9%にとどまっています。特に東京圏で「保育施設が十分でなく、仕事と家庭を両立させる方法を見つけることが困難」な実情を紹介。また、日本で母親の労働市場への参入を阻む最大の障害として、「女性を安い給料の職種に閉じ込めるような、女性に不利な職場の慣習」をあげています。

雇用機会の格差日本が最も顕著

 「雇用機会での男女格差が最も顕著なのは日本」だとし、とりわけ非正規雇用において正規従業員と同じような仕事を与えられている場合でも、平均して正規雇用の女性より収入が33%も少なく、「その賃金格差は驚くべきもの」だとのべています。

 「家庭にやさしい職場作り」では、育児休暇制度やパートタイム勤務、学校の休みに合わせて勤務時間を選べる学期休暇制度などに触れ、日本とオーストリアではこの政策がアイルランドほど「一般的でないことの方が不思議」だと指摘しています。

 税制・補助金制度では、日本の所得税における配偶者控除のあり方が「扶養家族となっている配偶者は財政的にみて、自分の収入の額を制限した方がいいと考える」ように促しており、母親が働きにでることを阻害する要因になっているとしています。

出生率への対策予算はささやか

 報告はさらに、日本では出生率と子どもの福祉にかんする社会政策論議がおこなわれながら、「そうした計画のために配分された予算規模はささやか」だと政府の姿勢に疑問を投げかけました。

 こうした調査にもとづき報告は、▽正規雇用の労働者と同じ保険年金制度を非正規労働者にも拡大して、両者の格差を是正する▽男女間の平等と同一労働同一賃金に関する法律を施行する▽求人における年齢制限を見直す▽保険年金制度で配偶者が仕事をすることにより金銭的に不利になるような状況を改善する▽労働者が家庭生活と両立できる就業時間を設定し、家庭にやさしい職場を確立するよう、使用者や労組に働きかける―などの政策を提言しています。


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