日本共産党

2003年10月25日(土)「しんぶん赤旗」

どこが「安心」なのか公明党の年金プラン

疑問だらけの公明ビラ


 間近に迫った総選挙を「年金改革選挙」と位置づける公明党。同党の「年金100年安心プラン」を紹介した公明新聞十月号外ビラを各戸に配布するなど、「公明が勝てば年金は安心」という宣伝に力を入れています。しかしその中身は、“保険料を値上げし、給付は減らす。財源は庶民増税”という改悪案でしかありません。

給付削減隠して保険料の2倍給付とは

 公明党案では、厚生年金は払った保険料の二倍以上の給付が受け取れるとして、「払い損ではない、安心の年金制度をつくる」としています。

 しかしこれは、年金の給付額がいまよりも削られることを、ごまかしているにすぎません。

 いま、厚生年金の給付水準は、現役世代の手取り賃金の59%です。公明党案は、これを「50%から50%台半ば」に引き下げるというもの。給付が減ることは明らかです。

 たとえば50%まで下がった場合、いまの厚生労働省のモデル年金(夫婦二人分で月二十三万六千円)で計算すると、月に約三万六千円、年間で約四十三万円に相当する大幅カットとなります。

年金額5600億円減らすのに「下げません」とは

 「十月号外」のビラには、大きな文字で「今もらっている年金は下げません」と書いています。

 しかし実際はどうでしょう。今年四月、お年寄りの受け取る年金額が0・9%、総額四千億円もカットされました。「物価が下がったから」というのがその理由でした。すでに受け取っている人の年金を削減したのはこれが初めてです。「わずかな年金までカットするなんて本当にひどい」と、お年寄りの間に不安と怒りが広がりました。

 これを「ご辛抱いただきたい」と切り捨てたのが、坂口力厚労相(公明党)でした。さらに坂口厚労相は、来年四月からも、同じ理由でお年寄りの年金を千六百億円減らそうとしています。これで「年金は下げない」などとよく言えたものです。

保険料もっと上げて「歯止めかける」とは

 公明党案は、厚生年金の保険料を年収の20%(労使折半、本人負担分は10%)以下とし、“保険料負担に歯止めをかける”としています。

 厚生年金の保険料はいま、年収の13・58%(労使折半、本人負担分は6・79%)です。公明党案はこれを20%、いまの一・五倍に値上げしようとするものです。国民年金の保険料も、いまの月一万三千三百円から一万八千円台まで上げるとしています。

 いまでも高い保険料をさらに引き上げる「負担増押しつけ」以外の何物でもありません。

国庫負担1/2引き上げ先送りの上庶民増税

 基礎年金への国の負担を二〇〇四年までに二分の一(いまは三分の一)に引き上げることは、法律の付則で国民に約束していることです。しかし公明党案は「三段階で引き上げる」として、二分の一への引き上げを〇八年度まで先送りしています。これでは約束違反です。

 その財源を国民への増税でまかなおうとしていることも問題です。公明党は、所得税の定率減税の廃止と、お年寄りへの年金課税の改悪による二兆七千億円の増税を提案しています。定率減税が廃止されると、年収四百万円の標準四人世帯(片働き夫婦、子ども二人)で約一万円、六百万円世帯で約三万八千円もの増税となります。

 さらに、「将来的には、社会保障全体のあり方を考える中で消費税引き上げの検討はさけられない」(神崎武法代表、時事通信インタビュー、十六日配信)と、将来の消費税増税にまで言及しています。


公約破りの「年金削減」 “過去”を見ればハッキリ

 「各党のマニフェストが実現可能か口先だけかを見極めることが大事です。それには、政党や政治家がこれまで選挙公約を守ってきたか、実行してきたかどうかという“過去”を見ればハッキリする」(公明党・浜四津敏子代表代行、公明新聞十六日付)。まさに、その通りです。では、公明党は年金について一体何をやってきたのでしょうか。

 一九九九年に与党入りした公明党は、翌年の年金改悪法の成立に大きな役割を果たしました。

 この改悪は、厚生年金の報酬比例部分(支払った保険料に応じて受ける部分)を5%カットするなど、年金額を大幅に削るものでした。さらに、年金の支給開始年齢を遅らせて、現在男性で四十二歳、女性で三十七歳以下の人は、六十五歳になるまでまったく年金がもらえなくなりました。この結果、厚生年金の場合、生涯に受け取る平均年金額は、夫が四十歳の夫婦で一千万円も減らされることになったのです。

 公明党は、こうした大改悪を「何としても早期に実現すべき」(九九年十一月、福島豊衆院議員)、「国民の公的年金制度にたいする信頼感、安心感を揺るぎなきものとするための必要不可欠の改正」(二〇〇〇年三月、山本保参院議員)と評価し、自民党とともに国会内での「数の力」にものをいわせて成立させました。

 こうした姿勢は、安心できる年金制度を願う国民の思いに背くだけでなく、公明党自身の公約にも反するものでした。

 九八年の参院選で、公明党は「年金水準を国の責任で維持します」(法定ビラ)と公約。「『少子・高齢社会では年金の引き下げと保険料負担増は当たり前』といわんばかりに、年金抑制を前提に議論を誘導していく手法には、公明は反対です」(公明新聞九八年六月六日付)と主張していました。

 なるほど、公明党のいう「安心」など信用できないことは、「“過去”を見ればハッキリする」のです。


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