日本共産党

2003年10月23日(木)「しんぶん赤旗」

学童保育の拡充急いで

全国連絡協が実態調査 増えたが まだまだ不足


 少子化が進み、一人の女性が産む子どもの数は平均一・三二まで低下しています。安心して子どもを産み育てられる社会にすることは緊急の課題です。学童保育は、子どもにとって「ただいま」と帰ってこられる生活の場であるとともに、親の育児と仕事の両立を応援する重要な役割を果たしています。その現状と課題はどうなっているのでしょうか。


専用施設や指導員複数配置など

安全で安心できる場に

■小学校の6割

表

 学童保育が法制化されて五年。全国学童保育連絡協議会(片山恵子会長)がこのほど実施した全国実態調査で、この間の変化が明らかになりました。

 一つは学童保育と入所児童数が急増し続けていることです。五年前の一九九八年に約九千六百カ所だった施設数は、今年五月現在で一万三千七百九十七カ所に。ここ数年は毎年千カ所程度増加しています。入所児童は、五年間で二十万人増え五十四万人です。

 増えたとはいっても、小学校数の六割程度。待機児が生まれたり、大規模化して問題になっている所が増えるなど、まだまだ不足しています。

■数も質向上も

 「質的拡充」も緊急の課題になっています。

 「障害児の入所」「入所できる学年や保育時間・開設日」などは改善されていますが、子どもと直接かかわる指導員は、非正規職員化が進んでいます。

 公営の正規職員は20%から15%に減り、「臨時」「パート・アルバイト」が増加。毎日勤務して子どもとかかわる指導員に代わって、交代勤務が増えているのです。「学童保育には継続性と安定性が必要。これでは学童保育としての質が保てません」と同協議会事務局次長の真田祐さんは指摘します。

 入所希望の増加で、深刻な大規模化もみられます。同協議会が「上限」(これを超えれば分割)にすることを主張している児童数四十人以上が44%を占めています。百人を超す「超マンモス学童保育」も百三十カ所以上あります。

■親の願いに…

 近年、空き教室などを使った「全児童対策事業」が、政令市などで実施されています。学童保育とは目的も内容も違う施策ですが、この調査に「小学校数を上回る学童保育を実施」とアンケートに回答している川崎市では、全児童対策の「わくわくプラザ」開始を理由に学童保育を廃止しています(議会での反対は日本共産党のみ。自民・公明・民主・神奈川ネットが賛成)。

 高津区のある保護者(40)は「二年生の娘が通うプラザの登録は四百人。ローテーション勤務のスタッフは『子どもの名前が覚えられない』『一人を相手していると、ほかの子に目が届かない』と悩んでいます。ケガが多く、骨折も二件で親は心配。市は学童保育だとして国に補助金を申請していますが、学童保育としての専用室・専任スタッフは実態がありません。ちゃんと別々にやってほしい」。

 真田さんは言います。「働く親の願いにこたえるものになっているのか、入所している子どもたちにとって安全で安心できる生活の場となっているのかが問題です。専用施設や指導員を専任・常勤で複数配置することなどは最低必要です。私たちの調査が、実態の抜本的改善に役立つことを願っています」


遊びと生活の場にふさわしい充実を

日本共産党が実現へ全力

写真
親や関係者の願いにこたえて全力。全国学童保育連絡協議会と懇談する日本共産党国会議員団=6月27日

 日本共産党は、一九七四年に国会で初めて「国の制度」化を要求、父母や指導員など関係者と力を合わせて国の制度実現と補助事業の充実に一貫して努力してきました。

 総選挙を前に次のような政策をかかげ、実現を求めています。

 ○すべての小学校での学童保育をめざし、国の補助金を増額します。

 ○「全児童対策事業」への解消をやめさせ、学童保育の独自の拡充をすすめます。「遊びと生活の場」にふさわしい設置基準を明確にし、国からの補助金を増額させます。(この項「各分野の政策・子育て支援」から)



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