日本共産党

2003年9月24日(水)「しんぶん赤旗」

中国残留孤児国賠訴訟

「棄民」政策責任問う


 三度にわたる「棄民政策」(注)の国の責任を問い、国家賠償を求めて中国残留日本人孤児が起こした訴訟の原告団総会が二十三日、東京・大田区民ホール・アプリコで開かれ、原告ら約七百人が参加しました。

裁判勝利へ原告団総会

 昨年同じ日に、初の原告団総会が開かれ、六百人を超す帰国孤児が提訴に立ち上がりました。同年十二月の東京地裁への提訴を皮切りに、裁判の動きは全国へ波及し、きょう二十四日には約六百人がいっせい提訴します。東京地裁へは、第三次の三百数十人が提訴します。

 総会では、この一年間の裁判闘争を振り返るとともに、今後一年の活動方針を決めました。「法廷内のたたかいに重点を置くと同時に、世論の支持を得るために法廷外での宣伝を強化する」ことを確認しました。「百万人署名」運動のいっそうの推進や原告団ニュースの発行などを決めました。

 弁護団長の鈴木経夫弁護士が裁判の現状と展望を報告しました。法廷で原告が意見陳述を重ねるなかで、裁判所も正面から取り組む姿勢を示していると指摘し、「いっそう団結を強め、活動を広げ、訴訟を前進させよう」と訴えました。

 副団長の小野寺利孝弁護士は、全国に広がる提訴について報告。「わずか十カ月で帰国孤児の過半数が人権回復の裁判に立ち上がるという、人権裁判のたたかいの歴史上、例を見ない大きなたたかいが生まれた」とのべました。

 来賓あいさつに立った坂本龍彦氏(ジャーナリスト)は、十二歳の時、旧「満州」のハルビンで敗戦を迎え、一年あまり難民生活を送った体験を語りました。残留孤児にとって「戦争はまだ終わっていない」と、孤児たちの抱える困難の根底には、国の誤った政策があることを指摘。「祖国へ帰ってきて良かったと実感できるよう応援したい」と励ましました。

 原告団代表の池田澄江氏が、「(原告団の)隊列が大きくなればなるほど、いっそう団結しなければなりません。必ず勝利する確信をもって、裁判勝利のために奮闘しましょう」と呼びかけました。


きょう4地裁へ提訴

 中国残留日本人孤児の国家賠償請求訴訟がきょう二十四日、東京(第三次)、名古屋、京都、広島の各地裁でいっせいに提訴されます。いずれも残留孤児に対する国の「棄民政策」の責任を問い、一人あたり三千三百万円の国家賠償を請求します。

 これまで東京(第一次、第二次)、鹿児島の両地裁へ提訴した六百五十人と合わせ、原告総数は約千二百五十人となります。帰国孤児約二千四百人の過半数を占めます。

 北海道、大阪、高知、徳島などでも年内提訴の動きがあります。原告は最終的には帰国孤児の八割にあたる二千人規模になる見通しです。

「棄民政策」

 終戦時の混乱のなかで孤児を中国大陸に置き去りにしたまま放置したこと(第一の棄民)、一九五九年の戦時死亡宣告により生きながらにして戸籍を抹消したこと(第二の棄民)、帰国後も十分な日本語教育をおこなわないなど、冷たい施策を続けていること(第三の棄民)を指します。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp