日本共産党

2003年9月17日(水)「しんぶん赤旗」

チリの軍事クーデターとは?


 〈問い〉 最近、「もう一つの9・11」として言及される、チリの軍事クーデターとはどんな事件ですか。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 チリの軍事クーデターとは、三十年前の一九七三年九月十一日、ピノチェト将軍が率いるチリ軍部が米国と共謀し、大統領官邸などを襲撃して政府を暴力的に転覆した事件です。当時のアジェンデ大統領は官邸で死亡しました。

 クーデターで倒されたアジェンデ政権は、共産党・社会党・急進党など六政党が人民連合を結成し、一九七〇年九月の大統領選挙で勝利して誕生した政府です。米系資本に独占されていた銅産業の国有化や土地改革などで一定の成果をあげ、経済も長年の低迷から上向く兆しをみせました。七三年二月の総選挙では大統領選を上回る得票率で勝利していました。

 軍部はクーデター後に戒厳令を布告して大弾圧を行い、七三年末までに千人以上が殺害されるか「行方不明」となりました。七四年以降も秘密警察「国家情報局」(DINA)を創設し、反対派人物などの誘拐・拷問・殺害を継続しました。チリでは一九九〇年まで軍事独裁が続き、弾圧による死者・行方不明者は公式発表でも三千人を超えます。また数万人にのぼる市民が拷問・虐待を受けました。

 クーデターや弾圧には米国が深く関与していました。二〇〇〇年九月に米中央情報局(CIA)が米議会に提出した報告書も、▽クーデター計画をCIAが事前に知っていた▽弾圧を実行したDINAとも情報提供関係があり、CIAが訓練にあたった−などを確認しています。

 合法的に誕生した政府を共謀して暴力的に転覆したことは、米国自身の「国家テロ」にほかなりません。

 二〇〇一年九月十一日の同時多発テロを契機に、米国は国際法も無視する「対テロ戦争」を進めていますが、米国自身が犯した「もうひとつの9・11」の責任を告発する声が、チリをはじめ世界で強まっています。

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 〔2003・9・17(水)〕


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