日本共産党

2003年9月5日(金)「しんぶん赤旗」

全国交流集会 分散会で熱心に討論

地域で 職場で「雇用守れ」


 静岡県熱海市で開かれている「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」は四日、全国から参加した労働者や中小業者、女性、青年、日本共産党地方議員らが五つの分散会で「リストラ雇用について」「雇用と地域経済について」と題した二つの問題提起を受け、真剣で熱心な討論をくり広げました。


議会も企業責任問う

 第一分散会で、徳島県労連の森口英昭事務局長は、JT(日本たばこ)と住友電装の合弁会社、四国ジェイティエス電装が工場を閉鎖して百六十人の雇用を奪おうとしたリストラに対し、労働組合の違いや党派を超えた町ぐるみのたたかいで、代わりの雇用の場を確保し、退職金の大幅引き上げをかちとったと報告。「職場の女性たちが労働組合を結成してがんばるなかで、住民決起集会には六百人が参加し、池田町議会も大企業の社会的責任を問う決議文をあげました。雇用責任を果たせ、地域経済守れと共同を広げるチャンスです」と発言を結びました。

 JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日立精機支部の青木利治さんは、会社の営業譲渡にともなう選別解雇のなかで五人で労働組合を結成し、雇用継続を求めるたたかいを報告。日本共産党県議団の質問に千葉県知事が「一人でも多く雇用を要請する」と答弁していることを紹介し、「三十数年間働いてきて、紙切れのごとく解雇は絶対に許せない。世論を広げてがんばります」と決意をのべ、拍手に包まれました。

 東京都大田区の不況打開実行委員会は、昨年十月から二千四百の工場訪問をすすめています。訪問では、下請け二法も手渡して一軒一軒に内容を知らせています。藤原幸雄区議は、「どこでも工場長、社長が応対してくれ、歓迎された。改めて、小泉『構造改革』は労働者、業者の生活を追いこんでいると痛感したが、不況打開の運動を通じて、共同が広がっている手ごたえをつかんだ」と発言しました。

取引企業要請で成果

 第二分散会では、参加者から地域のなかにたたかうエネルギーも知恵もあることが実感をもって語られました。

 埼玉・川越民主商工会の菊地大輔会長は、行政との関係を重視して提案型の運動で高齢者居宅改装や耐震改装に補助金をつけさせた経験を紹介。「十月から始まるディーゼル車規制にかかわる市独自の補助も提案している」とのべました。

 日本最大の工業ガスメーカーを相手にしたエア・ウォーター闘争について、建交労関西支部の島向高さんは、業界団体や百八十社の取引企業への要請を行い、「こんなにひどいことをしている会社なら、取引先をかえる」などの反応が寄せられ、三カ月の集中したたたかいで解雇を撤回させたと報告しました。

 トヨタ自動車の労働者は「労組の『変質』ともいえる動きのなかで、労働者の要求がし烈になってきている」と強調。過労死や過労自殺が管理職にも及び、国会と協力してサービス残業をなくすシステムを導入させ、労働者から感謝されたとのべ、「“サービス残業なくせ”の世論と運動が職場とともに、地域にも広がったことが大きい」と話しました。

積極提案 条例に実る

 第三分散会で、埼玉県川越市から参加した日本共産党の本山修一前市議は、仕事不足で自殺者まででている建設労働者・職人の深刻な実態を踏まえ、「なんとか仕事を」と埼玉土建労組を先頭に市と交渉をすすめ、小規模工事業者登録制度や住宅リフォーム助成制度を実現したことを報告。年間二億円を超える仕事が市内の小規模事業者に回り、「仕事を受注した業者が誇りを持って働いている」とのべると、大きな拍手がおきました。

 大阪・八尾民主商工会の長廣五二副会長は、市の産業振興会議などに参加し、積極的に提案をおこなってきたことが二年前の八尾市中小企業地域振興基本条例に実ったと報告。第八条で大企業が中小企業とともに地域経済の振興に努力するよう盛り込んだことを紹介しました。また、市長がコクヨの工場閉鎖移転問題で会社に要請したことをのべ、この条例をパンフにして市民に配布していると語りました。

 「ファミリーランド廃園反対で市民と共同してたたかっている」(兵庫・宝塚映像労組)、「できることから始めようと、各地域ごとに労働問題の相談会を開催。どんどん知名度があがっている」(日本共産党群馬県委員会)、「アパレル業界をどう再生させるかとシンポを開催し、業者など多く参加した」(日本共産党岐阜県委員会)と発言が相次ぎました。

「青年に仕事を」で署名

 第四分散会で福島県労連の小川英雄議長は、三年つづけてきた県内自治体キャラバンの経験を報告しました。撤退する工場に金を出させたり、自治体の幹部職員の給与を減額して若者の新規採用を増やすなど、少なくない自治体が雇用確保のために知恵を絞っていると紹介し、「共同にいっそう力をつくす」とのべました。

 鳥取県から参加した民青同盟県委員長の山崎良子さん(29)は「青年に仕事を」署名にとりくんだことを報告。「鳥取の多くの青年が仕事を求めて東京や大阪に出ていくが、夢と希望を失って戻ってくる。ここで学んだことを大いに参考にして、青年の雇用問題解決のためにがんばりたい」と語りました。

 日本共産党の森脇徹今津町議は「たくさんのことを学んで、自分たちの活動の不十分さも痛感した」と話し、学校給食に地元野菜の使用を実現させたものの、給食センターの調理機械が大きさや形のそろった野菜にしか対応できないことが発覚。「もっといろんな人と対話し、力を合わせていきたい」と結びました。

要求実現へ「ぐちる会」

 第五分散会では、退職・再雇用に応じざるをえなかったNTT子会社の労働者が賃金30%カットで月額十二万円、年で二百万円以上が減収になったと発言。住宅ローンや子どもの教育費が深刻な状況になり、サービス残業(ただ働き)と長時間過密労働のまんえんや自殺者が相次ぐなか、職場で要求実現の運動組織の「ぐちる会」をつくり、花見やプロ野球の観戦、ときには一杯飲み会を行い、「みんなでぐちる」と同時に、労働条件をよくするための活動を強めているとのべました。

 セメント業界40%のシェアを持つ太平洋セメントの身勝手な工場閉鎖・解雇攻撃とのたたかいを報告したのは、建交労関西支部の組合員です。国民救援会や日本共産党地方議員団の支援もえて、ゼネコンや業界団体に理解と協力を求める要請をくり広げ、約五カ月間のたたかいで七人全員の職場復帰をかちとったと話しました。

 日本共産党の福島かずえ仙台市議は、当選した市長が選挙中に公約した地域の雇用、経済問題解決のために「経済活性化雇用対策本部」と「雇用対策推進室」を設置したと発言。また、一千社に雇用実態アンケートを実施し、誘致企業の撤退に対して、不十分ながらも助成金の返還を行わせたり、地域からでていくときにはペナルティーを科すという要求も突きつけているとのべました。


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