日本共産党

2003年8月20日(水)「しんぶん赤旗」

ごみ発電 また爆発

消防士2人死亡

三重・多度 貯蔵槽屋根ふき飛ぶ

5日前に事故、その消火中


 三重県多度町にある同県企業庁のRDF(ごみ固形燃料)焼却・発電施設「三重ごみ固形燃料発電所」のRDF貯蔵タンクで、十九日午後二時すぎ爆発があり、高さ二十五メートルのタンクの屋根が約二百メートル吹き飛びました。この事故で、屋根の上にいた桑名消防署消防士の川島章さん(30)と南川平さん(47)の二人が死亡、付近にいた作業員一人がけがをしました。

 同タンクでは十四日にも作業員四人がけがをする爆発があり、この日は、くすぶっていたタンク内のRDFを消火するため、消防士や発電所関係者ら十数人が放水作業に当たっていました。

 同発電所は、ごみを乾燥し圧縮して作ったRDFを市町村から集めて焼却・発電する施設。三重県は「夢のごみ処理システム」だとして昨年十二月、住民の反対を押して強引に稼働を開始しましたが、その直後から貯蔵タンクの異常発熱や発電施設の故障が頻発。同タンクのRDFを仮置きしていた鈴鹿市の倉庫でも先月、自然発火とみられる火災が起きています。

稼働中止求め以前から要請

三重・日本共産党議員、現場へ

 日本共産党三重県委員会と桑名員弁議員団は当初から、RDF発電はごみ減量と矛盾するだけでなく、安全性が立証されていないとして、三重県にたいし再三、施設の建設中止、稼働中止を申し入れています。事故直後にも、児玉悦子、星野公平両桑名市議、大崎潤子東員町議が現場に駆けつけました。


解説

発火・爆発 各地でトラブル/欠陥に訴訟も

 今回の死傷事故は、RDF焼却発電システムの「落とし穴」への警告となっています。

 RDF焼却・発電施設は、一般家庭から出る雑多なごみをペレット状に固め、それをRDF燃料として発電する施設。ダイオキシン対策として、国が大型焼却炉などとともに推進しています。

 多度町の同施設は、三重県企業庁が発注し、昨年十二月から本格稼働していましたが、RDFの発酵が原因と見られる発熱がこれまでもたびたび起きていたといいます。

 RDF焼却発電システムは未熟な技術で、火災や爆発事故が各地で発生。「欠陥施設」として社会問題になっています。

 ことし七月には、火災などのトラブルで維持管理費が見込みの七倍に上ったのは設計ミスが原因として、静岡・御殿場市などが、ごみ処理施設「RDFセンター」の施設を造った企業(三菱商事、石川島播磨重工、荏原製作所、フジタの四社で構成する共同企業体)に七十九億円の損害賠償を求める裁判を起こしています。同施設は一般ごみを固形化燃料(RDF)に変えて再利用を図る施設として一九九九年に完成したものの、試運転中の爆発事故で完成が一年遅れるなどトラブルが相次ぎ、事故の究明も事実上メーカーまかせにされてきました。

 RDF固形燃料の蓄熱発火事故は、何が混入しているのかわからない廃棄物を処理するため、さまざまな化学物質の混入による発熱、悪臭、有害物質の発生などが避けられず、思わぬ反応で事故に至る危険をかかえています。(宇野龍彦記者)


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