日本共産党

2003年8月20日(水)「しんぶん赤旗」

守ろう 雇用と地域経済

9・3〜4 全国交流集会

仕事おこし、町おこし新たな運動広がる

共産党が各地で対話と懇談


党リストラ闘争本部が全国調査

 日本共産党リストラ反対・雇用を守る闘争本部の山下芳生事務局長らは六月下旬から八月にかけて、大企業によるリストラや雇用と地域経済を守る運動と実態を調査するために各地を訪れ、草の根で運動をおこしている人たちとともに、県副知事、市長、町長ら自治体関係者を含め対話や懇談をくり広げてきました。これまでに岩手、新潟、埼玉、長野、静岡、京都、大阪、和歌山、高知の九府県を回り、調査の内容を九月三、四の両日に開く「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」で発表しようと奮闘しています。

2億円近い事業生み出す 埼玉

 埼玉県内の調査では、党国会議員が川越市を訪問し舟橋功一市長と懇談しました。

 川越市は、市が発注する小規模の修理・修繕を市内の小規模事業者の受注機会拡大に結びつけるため、小規模修理・修繕契約希望者登録制度を一九九九年十月に実施。三十万円だった上限も〇一年からは五十万円に拡大しました。九割が小中学校の修理・修繕です。

 また、二〇〇〇年度から住宅リフォーム補助金制度を実施し、改修工事に要した経費のうち、百分の五に相当する額で十万円を限度として補助金が支給されます。これらの制度は、公共施設の修繕や住宅リフォームという市民生活への援助になると同時に、地元の中小建設業者へ二億円近い(〇三年度)事業を生み出しています。

 市側は「不況のなかで最も苦しんでいる小規模事業者に仕事が回るシステムをつくるのが、行政の仕事」「地域経済の担い手である中小業者が元気になることが大切」と語りました。

 埼労連では原冨悟事務局長と懇談。原冨氏は、地域経済を守る労働組合運動の一環としてとりくみ、埼玉土建労組などの粘り強い運動で小規模事業登録制度が二十一市町村に、住宅リフォーム補助金制度が十九市町に広がったと紹介。「運動を通じて地域での共同が大きく広がり、自治体との連携も生まれ、地域労働運動の新しい前進を切り開く一歩になった」とのべました。

直接売る感動生産の励みに 和歌山

 黒江漆器で知られる和歌山県海南市。住金和歌山製鉄所関連工場の閉鎖もあり、県内七市中一番人口が減少し、二年前の大型スーパーの撤退で、中心市街地の空洞化に拍車がかかっています。

 七月に訪問すると、中央通り商店街役員は、大型スーパー撤退で人通りが三分の一まで激減したと訴えました。「商店街のみなさんはもとより消費者、利用者の声を広く集めることが必要では」との山下氏の提案に、役員は「大事なことを聞いた」とうなずいていました。

 ここでは、生産者や消費者、中小業者などが共同し二〇〇一年十一月、(1)地産地消(2)高齢者や障害者の仕事おこし(3)住民みずからの手でのまちおこし−を掲げた産直市「元気市イン海南」をスタート。撤退したスーパー前で月二回の「元気市」を続けています。

 また、一番街商店街婦人部が中心となり、フリーマーケットや空き店舗を利用した市民の情報発信基地「通りゃんせ館」の運動にとりくんでいます。

 神出政巳市長は「『元気市』が商店街の応援団になっている。多くの市民参加で、中心市街地の活性化をはかりたい」と期待を込めました。

 山下氏らは「元気市」に出店している農民と懇談。榎真一さん(81)は、「消費者に直接自分のつくった農産物を売る感動が生産の励みになっている」と話しました。

行政と連携、サービス開始 京都

 幕末の新撰組の屯所跡や壬生狂言で知られる京都市中京区の壬生地域。山下氏らは六月下旬、地域経済と商店街振興、まちづくりの現在と今後について、地域の台所を担う西新道錦会商店街振興組合の安藤宣夫理事長と懇談しました。

 京都では野放しの大型店の出店と身勝手な撤退が続くなか、小売店舗が大きく減る深刻な事態に直面しています。同振興組合は、大型店に負けない活気ある商店街をと、年間四十数回に及ぶさまざまなイベントや事業、商品情報や注文して宅配が受けられる「ファクス・ネット」など、“お店や商店街に行くと得する”とりくみをしています。

 安藤理事長は、空き店舗を改装して高齢者が会食ができる場をつくったり、インターネットを活用したサービスを開始するなど行政との連携を紹介。「行政をどうみるかが大事で、行政とも情報交換して、その力を借りるのは大事なこと」とのべました。

 商店街が地域に目を向けるきっかけとなったのが、近くの市立病院労組がとりくんだ買い物デモだったと振り返り、「いま改めて労働組合と商店街が地域で共同して運動することが大切ではないか」と強調しました。

 山下氏らは、京都市内の全商店街(百六十八)の実態調査を三百人余の組合員で行った京都市職労の宮内尚志副委員長とも懇談。宮内氏は「これまで付き合いがなかった商店街にじかにふれ、労組が地域と一体になって地域経済を考えていく第一歩になった」と活動を紹介しました。

8割が観光業支援がほしい 静岡

 全国交流集会のメンバーは八月上旬、開催地の静岡県熱海市や同市議会、商工会議所などを訪れ、懇談しました。

 熱海商工会議所の鵜沢精一、渡辺勉両副会頭や観光協会の佐藤実専務はこもごも語りました。「市の経済の八割以上が観光。宿泊者が最高時の七割以下となっており、固定資産税や水道料金を滞納する旅館が続出している。支援がほしい」「熱海で開かれるこういう集会に期待している」

 川口市雄市長、笹嶋洋市議会議長からは、集会を歓迎し、当日あいさつしたいとのべました。


来月3、4日に交流集会

 全国交流集会は九月三日午後一時から、四日正午まで。会場はニューフジヤホテル(JR熱海駅から歩いて約十分)。

 問い合わせ、参加申し込み=全労連、全商連、新日本婦人の会、自由法曹団、日本共産党の実行委員会構成各団体へ。


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