日本共産党

2003年8月18日(月)「しんぶん赤旗」

戦前の彫刻家・長谷川昂氏の遺作

遺族が日本共産党に寄贈


写真

 戦前のプロレタリア美術彫刻家、長谷川昂(はせがわ こう、一九〇一−一九四〇年、本名三角泰・みすみゆたか)の遺族である三角亨さん(73)と佐藤カヤ子さん(68)から、このほど、長谷川氏の遺作のブロンズ像「習作(搏られた前衛)」(写真)が日本共産党に寄贈されました。

 同作品は、長谷川氏が一九二九年に日本プロレタリア美術家同盟の第二回プロレタリア美術大展覧会に出品した彫刻で、約一メートルの台座にのった高さ約五十五センチ、幅約五十八・五センチの胸像です。前年の二八年の「三・一五」、二九年の「四・一六」など、一連の弾圧が続く激動の時期にこの作品はつくられました。長谷川氏自身も三二年七月、治安維持法によって検挙されています。

 『日本共産党の八十年』では、同時期は「文化分野では…ナップが結成され…文化分野における進歩的、民主的な人びととその運動を励ますものとなり、文学、芸術創造のうえで、国際的にも注目される業績をあげ」たとかかれています。

 作品について、長谷川氏は「腕を縛られているのは止むことなきプロレタリアート闘士『闘争然らずんば死』を現すためだ」とのべたといわれています。天皇制政府のもと、侵略戦争に反対し、民主主義をもとめた不屈のたたかいを激励する意図が込められた力作です。

 長谷川氏の死後、作品は妻の正子さんら遺族が保存。原作品は石こうでしたが、遺族が交流のあった野呂栄太郎夫人・塩沢富美子さんと相談してブロンズ化しました。費用は正子さんの妹で若いころ国民救援会で活動していた小川嘉代さんが出資しました。同作品は、東京都世田谷区の野呂栄太郎・塩沢富美子学習記念館に寄託されていました。

理想実現の時代の記録

 寄贈について札幌市に住む長男の三角さんは、「父をはじめとした人間集団が、熱情をもって理想を実現しようとした時代の記録として、残していただければ幸いです」といいます。横浜市在住の二女・佐藤さんは「たくさんの仲間の手によって、大事に守り続けられてきた作品です。皆様にみていただけて、父も母も喜んでいると思います」と話します。


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