日本共産党

2003年8月7日(木)「しんぶん赤旗」

捕虜の待遇にかんするジュネーブ条約とは?


 〈問い〉 イラク特措法で派遣される自衛隊員は対象外になるという、捕虜の待遇にかんするジュネーブ条約とはどういうものですか。(石川県・一読者)

 〈答え〉 強制労働や虐殺、人体実験など、未曽有の人道犯罪が行われた第二次世界大戦の惨禍を経て、一九四九年にスイスのジュネーブで傷病兵や捕虜、非戦闘員の保護を定めた四つの条約が締結されました。「戦争犠牲者保護条約」「一九四九年のジュネーブ諸条約」と総称され、赤十字の活動についても規定しているため「赤十字諸条約」とも呼ばれています。十九世紀以来の赤十字に関する条約や捕虜条約などをさらに発展させたもので、戦争を違法化する現代国際法の基本的な条約といえます。

 四条約には多くの共通規定があり、共通の第三条では、非戦闘員や武器を放棄した兵士、傷病兵に差別なく人道的に待遇すべきことや、暴行・虐待・拷問・「侮蔑的で体面を汚す待遇」などの禁止を定めています。

 とくに第三条約は「捕虜の待遇に関する」条約となっています。戦争当事国の正規軍を構成しない民兵や義勇軍などにも捕虜待遇の資格を広げ、捕虜をとらえた個人や部隊の責任いかんにかかわらず抑留国がつねに待遇に責任を負うこと、捕虜は氏名・階級などを除く情報を黙秘でき、個人用品も引き続き所持できることなど、詳細な規定があります。日本は一九五三年に条約締約国となっています。

 政府・与党は七月に、イラク特措法の成立を強行しました。政府によれば、特措法でイラクに派遣される自衛隊員は、捕虜になってもジュネーブ第三条約の諸規定は及びません。政府はイラク派遣と憲法との矛盾を取り繕うため▽イラクで自衛隊が行う活動は武力行使にあたらない▽紛争当事国にならないよう「非戦闘地域」で活動する−としましたが、そうすると紛争当事者を対象とする条約の“らち外”となるからです。国際法上も不安定な活動に日本をまきこむ、イラク派遣を許さないたたかいが重要です。

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 〔2003・8・7(木)〕


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