日本共産党

2003年7月30日(水)「しんぶん赤旗」

国立大学法人化を問う(3)

今後に生きる答弁

法運用に制約加える


 国立大学法人法の論戦で文部科学大臣が答弁不能におちいり、答弁の撤回や謝罪が繰り返されました。そこまで追いこんだ厳しい追及の中で、今後のたたかいに生かせる答弁をえたことは重要です。法制定時の国会答弁は、付帯決議とともに法の運用で政府に制約を加えることになります。

“教特法ふまえる”

 法人法の成立によって、国立大学の教授会がもつ権限や審議事項が法的裏づけを失い、その内容は各大学の判断に委ねられます。これによって教授会が形がい化しないように、児玉健次衆院議員が追及しました。「国立大学法人では、今まで国立大学を律してきた二つの法律(教授会の権限・審議事項を規定した教育公務員特例法や国立学校設置法)を踏まえてそれぞれに判断すべきだ」と迫り、河村副大臣に「そういう精神を踏まえてとおっしゃることは理解できる」と答弁させました(五月十六日)。

 国立大学法人では学長の権限が異常に強くなるため、学長選考手続きがどういう内容になるのかが重要になります。児玉議員が「(学長選考にあたって各大学が行う)学内者の意向聴取手続(投票など)の是非について文部科学省がのべるべきではない」と質問したのに対し、遠山文科相は「どのような形で学長を選んでいくかというのは、各大学でお決めいただくもの」と答弁しました(同日)。

再編統合強制せず

 地域からの反対で計画がストップしている教員養成学部の統廃合が、国立大学法人化の下で強引にすすむのではないか。こうした各地域の懸念をふまえて、畑野君枝参院議員は「中期目標の原案に大臣が再編・統合と書かせることはあるのか」と質問しました。遠山文科相が「文科省が大学の意に反して再編・統合等について記載を強制するというふうなことはございません」と答弁したことは、文科省による強権的な大学の再編・統合に対して一つの歯止めとなるものです(七月一日)。

“病院借金に措置”

 全国の国立大学付属病院がもつ一兆二六三七億円の長期借入金残高について、法人法は各大学病院が負担することを求めています。石井郁子衆院議員がこの問題をとりあげ、「借金返済によって大学病院のあり方が変質する。そうならないように償還責任は個々の大学病院に負わせるべきでない」と追及したのに対し、文科省は「付属病院は独立採算性ではないので、きちんとした必要な予算措置をし、そのための運営交付金の積算をする」と答弁しました(五月十四日)。

“違法回避へ全力”

 来年四月一日に国立大学法人になれば、労働者の安全確保を定めた労働安全衛生法が適用されます。しかし、大学の廊下に所狭しと並ぶ実験設備、棚に無造作に置かれる化学薬品など、現状では違法状態となるような実態が各大学で放置されています。児玉議員が現場の実態を示して政府に「違法状態を放置するなら法案は凍結せよ」と厳しく迫り、河村副大臣は「そういう事態の起きないように全力をつくす」と答弁しました(五月十六日)。

 また、林紀子参院議員は、政府が示した各大学の安全管理対策に要する経費三百六億円について、机上の数字ではないかと独自調査にもとづく各大学の実態を示して繰り返し追及し、文科省に「三カ月ごとにフォローアップし、もし(調査で)大学に漏れか不備がありましたら、その時点で訂正し、必要なものは是非やるということで適切に対応する」と答弁させました(五月二十九日)。(つづく)


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