日本共産党

2003年7月29日(火)「しんぶん赤旗」

武富士35億円支払い 相次ぐ元社員訴え

過大なノルマ、降格人事

時間外110時間で支払い25時間


 武富士が従業員に支払った未払い賃金は三十五億円にのぼりました。同社が社員に長時間のサービス残業を強いていた問題では、三十人を超える同社元社員が、残業代の支払いや精神的苦痛による慰謝料の支払いを求める訴訟を起こし、同社の営業体質を批判しています。この問題では、大阪市の同社JR天満駅前支店長を務めていた御木威(おんき・たけし)さん(29)ら二人が二〇〇一年四月、サービス残業代の支払いを求めて提訴し、これを皮切りに相次いで訴訟が起きました。

 御木さんは、ときには二千人も発生する支払い延滞者への督促電話を数人―十数人程度で「午前十一時までに三回かけろ」などと会社側が社員に過大なノルマを課した上、罵倒(ばとう)や降格人事で社員を追い立てていると告発。ほとんどの男性は午前七時半から午後九時まで仕事し、月百十時間ほどの時間外労働をしているのに、時間外賃金が二十五時間までしか支払われていないと訴えました。ことし二月、武富士が御木さんに謝罪し、請求額全額を支払うなどの内容で和解が成立しました。

 また、御木さんらは〇一年七月、厚生労働省大阪労働局に告訴し、ことし一月、同局はサービス残業をさせていた労働基準法違反の疑いで、武富士本社など七カ所を強制捜索していました。

 同年一月には元支店長ら十人が東京地裁に、六月には元支店長ら計二十四人が東京、大阪、仙台、福岡の四地裁に、未払い残業代の支払いなどを求めて提訴。「従業員には過大なノルマ、長時間のサービス残業、頻繁な降格人事、懲戒処分の乱発など、過度な締め付けをしている」「午前七時には支店に入り、早くて午後九時、遅くて午後十一時近くまで勤務することが常態」(六月の東京地裁での訴状)と訴えています。

 六月の提訴では、ノルマ達成のため規則違反の貸し付けをしたと二千万円の債務の保証をさせられた元支店長が、精神的苦痛を被ったと五百万円の慰謝料を請求(福岡地裁)。過酷な労働実態と休日出社やノルマ未達成のための夜間の「研修」について、三百万円の慰謝料請求(仙台地裁)の訴えも起きています。

解決は経営陣の責任が問われる

 武富士を労働基準法違反で大阪労働局に告訴した御木威(おんき・たけし)さん(29) 未払い賃金が過去二年間にさかのぼって支払われたことは是正の第一歩としてよかったと思います。ただ、労働時間を個別に調べずに男性も女性も一律の額で、支店長には支払われていないという問題があります。武富士がやっていることは犯罪ですから、根本的な解決には経営陣の責任が問われると思います。


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